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それ以来、咲樹は授業中でも休み時間中でも
誠也の視線を感じるようになった。
『アイツって、何者?……』
正体がわからない誠也に咲樹は少しずつ、恐怖を
感じ始めていた。
獣の気配を完全に消し、誠也のことを遠くで観察していた
夏華は
『奴ね!……』
誠也がハンターと言うことを気付いた。
「何とかしないとあの子が危ないわね……」
夏華はそんなことを思いながら、遠くの方から
誠也に獣の鋭い視線を送った。
夏華の獣の鋭い視線を感じた誠也は遠くの方で
自分のことを見詰めている夏華のことを探し出し、
対抗するように夏華のことを睨み付けた。
学校から帰った真希は夏華に
「ねえ、お姉ちゃん…… 今、学校で私に
鋭い視線を送ってくる者がいて、怖いんだけど……」
と相談をした。
夏華はすぐに真希が言っているのが誠也のことだとわかったが
「あら、モテルわね!……」
咲樹のことを冷やかして、誤魔化した。
誠也は咲樹らがいる洋館を鋭い目つきで見詰めながら
「さて。どう料理をしようか?……」
と独り言を呟いた。
「そうだ! アイツを使おう!」
誠也の脳裏に純平の姿が浮かんだ。
「ふふふ……」
誠也は不適な笑みを浮かべるとその姿を消した。
翌日。咲樹が友達と帰ろうとすると咲樹の机の上に
四つ折に畳まれた一枚のメモ用紙が置かれたあった。
「咲樹。誰からよ……」
咲樹が友達から冷やかされながら、そのメモ用紙を開くと
「純平先生は預かった。助けたいなら、港の倉庫に来い!」
誠也からの呼び出しが書かれてあった。
咲樹はそのメモ用紙を握り潰し、ポケット中に押し込むと
「ごめん。ちょっと、用事が出来た。 先に帰って!」
咲樹は教室を飛び出していった。
咲樹は港の倉庫に着くと中をゆっくりと歩きながら
「コラ! 何処にいるんだよ!先生は関係ないだろう。
出て来い!……」
と言い、辺りを見回し、誠也のことを探した。
咲樹が倉庫の真ん中ほどに来ると
「咲樹さん。来てはいけない!」
純平の声が聴こえてきた。
「先生……」
立ち止まって、咲樹が辺りを見廻すと縛られ、
天井から吊るされている純平の姿を発見した。
「大丈夫ですか? 先生。今、助けに行きます!」
咲樹がそう言って、純平のもとに駆け寄ろうとすると
「来ちゃダメだ! これは罠だ!」
純平は身体を揺らし、暴れると咲樹を
自分の方に近づけまいとした。
だが、そんな中……
純平を縛っていた縄が
ブチッ!……
と音共に切れ、純平は下へと堕ちた。
「あぶない!」
咲樹は咄嗟に獣の力を解放し、堕ちてくる純平を
ジャンプし、優しく受け止めた。
その次の瞬間、
パシャリ!……
カメラのシャッター音と共に物陰に隠れていた誠也が
咲樹の前に現れ、
「君の正体をバッチリ、撮らせてもらったよ!……
これで君は終わりだ!」
咲樹に言い残すとその姿を消した。
咲樹は気を失っている純平のことを切なそうに
見詰めると
「ごめんなさい!」
と言うと純平を倉庫に残し、倉庫を去った。




