ホワイト・ドワーフ
【二百文字小説コンテスト・参加作品】
私は「死に体」である。
もう燃え尽きてしまった星だ。
最初の水素だけが燃えてヘリウムは点火しなかった。
幸いなのは惑星状星雲も形成せずに静かに燃え尽きたことだ。
熱源を喪失し、後はひたすらに冷えていくだけだ。
完全に冷えるまでにまだ何十億年も掛かるだろう。
一つだけ心残りがある。
それは水素が燃え尽きる間際に発生した生命のことだ。
私が彼らに物理的に与えられるものは何も無い。
せめて黄昏の余韻だけでも味わってくれ。
お読みいただき、ありがとうございます。