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88:【全学年合同ダンス】

 後半戦最初の競技【玉入れ】は、結局“中止”という形で幕を下ろした。まぁ当然といえば当然だろう……。なんせ団対抗競技なのに、全団を巻き込む騒動に発展したわけだし。

 そんなわけで配点もなく、団の得点にも変動は無い。


 【玉入れ】競技直後の出来事だが、グラウンドから女子の波が引き、樺島先輩と高嶺先輩を二股かけていた彼氏(以下:ボロ雑巾)は、それはもう悲惨なものだった。

 なんせ女子からは「女の敵」だといわんばかりの軽蔑を多量に含んだ眼差しを向けられ、男子からは「男の恥さらし」だの「俺たちの高嶺(樺島)さんを弄びやがって!!」と、罵声と殺気立った視線を浴びせられたのだから……。

 まぁ自業自得、一番哀れなのは、そんな息子の醜態を目の当たりにした両親かもしれない。来ているかどうかは知らんが。




 ようやく後半戦も再開され、始まったのは【全学年合同ダンス】。これは男女・学年関係なく、希望者全員が参加できるダンスで、競技とは銘打ってあるが、もちろん得点なんてものは無い。

 俺は“非参加組”だが、それを良しとしない人間がいる。


「ユキぃ!私は3曲目に出る予定だ!」

「え?俺は出ませんけど」

「な、何いぃぃっ!???」


 もうわかるだろう……俺を「ユキ」と呼び、拒否ればオーバーリアクションな先輩……もとい変態……美雪さんである。


「ユキ!合同ダンスとは好き合っている者同士が堂々とイチャイチャできる場なんだぞ!!」

「誰だ根も葉もないデマを吹き込んだのは!!」


 まったくもってそんな競技なんて無えよ!しかも性質たちの悪いでまかせをよく信じたな!?絶対「もしもし?俺、俺だよ!」的な詐欺電話にカモられるぞ!


「違うのか?!京都がそう言ってたぞ!」


 あんの腹黒生徒会長ぉ!!


「あのねぇ……」


 とりあえず俺の知っている範囲で【全学年合同ダンス】の意図・ルールを説明……。なんてしている間に、2曲目に突入である。


「うぅむ……だが、イチャイチャできなくとも参加してみようじゃないか!」

「いやいや!俺、ダンスなんて参加しないと決めてたから練習して無いし」

「まぁ良いじゃないか、何事にも参加することに意味があるというし!」


 なんだその“オリンピック精神”?そもそもこれ以上、人目に自分の姿を曝したくないし、放送席のアナウンス係に冷やかされたくないし……


「ユキ、何事も経験が必要だぞ!好き嫌いでは世の中は上手く渡れん!大丈夫、私がいるから!!ほらっ、行くぞ!!」

「あ、ちょっ!?」


 有無を言わさず、とはこんな感じなんだろう……。にこっと笑い、俺の返事も待たずに手を握って参加場所へと走る美雪さんと、引きずられる俺。まぁ、嫌じゃない……嫌じゃないんだが、先輩は【合同ダンス】のルールをちゃんと聞いてくれていたんだろうか……?

 だって―――




「なっ!?ユキぃ!!待てえぇぇっ!!」


 ―――だから言ったのに。そもそも【全学年合同ダンス】は一種のフォークダンスのようなものだ。だから曲のテンポやフリが変わる度に、踊る相手も変わる。当然、最初こそ一緒に手を繋いだりして見様見真似で踊っていた俺と美雪さんだったけど、すぐに相手がチェンジ・チェンジ・チェンジ!!もう半周以上、美雪さんと離れてしまっている。俺じゃどうすることも出来ないし、すればまた、アナウンス係に冷やかされることは確実。美雪さんもそれを知っているので、うかつな行動はできない。


「あれ?相澤くんじゃんか!」

「出た!腹黒生徒会長!ってイダダダダ!??」


 曲が中盤になったところで見知った顔にチェンジ。相手は美雪さんにでまかせを言った張本人の京都先輩だったが、思わず本音を口にしてしまったがために、全体重をかけた(?)足で踏まれた。つか、マジで痛い!!


「心外だなぁ~相澤くんがそんな事を言うなんて、私、傷ついちゃう~!!」

「うわ、胡散臭い!ってか、美雪さんにでまかせ言うのは勘弁してくださいよ!俺まで参加することになったじゃないすか……」

「ありゃ?美雪ってばマジで信じたの??」


 本人にも自覚なしかよ……余計に性質が悪い。


「まぁまぁいいじゃん!……あら?なぜ寒気がするのかしら……あ」


 「あ」じゃない!俺もすごく悪寒が走ってる!うわ、美雪さんがいるであろう場所から陽炎のようにオーラ(?)が漂ってるし!!


「あ、あはは……ばいばーぃ……」


 相手がチェンジ……って―――


「なんで健一がいるんだよ!!」

「俺が聞きたいぜバカヤロー!」


 なぜか健一が相手側ポジションに就いていた。いや、男同士でダンスってのは正直……キモイ!しかも大半が女子の【合同ダンス】で、なぜ男子同士が当たってしまうのか、その確立は低いはずなんだが――

 まぁこの目つきのせいで、他の女子から怖がられる俺だから……それだけは不幸中の幸いってやつか―――。


「おぉっと、最後のチェンジだぜ!じゃな!……って、あ?」

「あ?」


 あ、あれ~??なんで美雪先輩が俺の手を握ってるのかな~~~?そして健一の相手は……如月じゃんか!なにこの“仕組まれた”感は??


「ユキへの“想い”が強かったのか、いつの間にか最後の相手もユキになってしまったな!なぜだろうな??」

「俺はその気持ちが“重い”ですよ……まぁ……」


 あからさまに棒読みな台詞の美雪さんに呆れつつ、美雪さんの手を握り返した俺。曲もラストに差し掛かっている……だから―――


「ラストを飾る相手が美雪さんというのも“悪くはない”ですね」

「やれやれ、ユキはツンデレだな!」


 だ~れ~が~……―――


「ツンデレじゃねえよ!!」


 ジャン!と曲が終わったタイミングで俺がツッコミを入れたため、静かなグラウンドには俺の声と、隣ではた迷惑にギャーギャーと騒いでいる如月・健一のペアの声が響いた。


 その後すぐにグラウンド・保護者テント・場内アナウンスから爆笑と冷やかしの声が混じったのは言うまでも無い……。

 完結も視野に入った状態で文面がグダグダ状態……読者の皆様、本当にすみませんでした(苦)

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