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86:昼食時間も休まらねぇ……

 体育祭も前半戦終わり、現在昼食のための1時間休憩……なんだけど―――


「……視線がえげつなくこっちに向けられてる気が……」


 【借り物競争】に“借り物”として参加した我が母(奈々子)と、その母の経営している化粧品会社のCMモデル(臨時)で、全国的にも顔を知られた獅子神さん(私服に着替えた)。更には嶺桜高校にて成績優秀なる【生徒会副会長兼弓道部主将】の肩書きを持つ“変態さん”の美雪さんに【綾館家専属侍従メイド長】の肩書きを持つ“完璧メイド”のリリナさん……果ては「賑やかそうだから私も混ぜてっ!」てな勢いで参入した【生徒会長】の長束京都先輩が、現在“保護者・関係者用応援テント”にて和やかに談笑を兼ねた昼食を摂っている。それに我が相沢家の両親プラス妹(凜)が混じっているのだから、大所帯この上ない。まして俺と親父以外は全員女性。しかも学校内でも指折りの美少女(?)ともなれば、視線を集めないわけがない。

 好奇な視線というものに慣れるわけもなく、昼食を摂って体力を回復させても、気持ち(精神)は休まらねぇ……。


「母さん!由希の周りにこんなにも可愛い女の子達が!」

「孫の顔も早くに見れそう……ね、お父さん!」


 何やかやと気の早い(というよりも話題がずれている)両親にツッコミを入れる気力もねえし、凜はまったく興味も持たず、リリナさんが用意してくれた馬鹿デカイ弁当のおかずを黙々と食べる。俺にとって唯一の“良心”である獅子神さんは、他の保護者たち(主に女性)からお願いされて「アタシは芸能人じゃないんですけど……」と、困惑気味にサインに応じているから、助け舟も期待できない。

 そして問題の美雪さんは、両親のずれた会話に「まぁ!ご期待に沿えるよう頑張ります!」と、頬を赤らめて猫を被っていた。被る必要はもう無いはずだが……。

 そして何気なく俺たちのいる保護者テントにやって来た京都先輩を確認(視認)した両親は、再び―――


「おぉ、由希には外国のお友達もいるのか!」

「ねぇ、ぜひ【化粧品モデル】をやってみない!?」


 親父は京都先輩の髪(金髪)を見て勝手に勘違いし、母もまた、京都先輩に“商人”として目をつけたようだ。


「私の母がフランス人なので、正確にはハーフなんですよ」

「まぁ!ますます欲しい人材だわ!!由希、お手柄よ!」


 何の手柄かは知らんが、完全に両親は京都先輩という人物に興味を抱いた。……ホントは京都先輩って純日本人なんだがな。本人もどんな反応をするのかと思って口にした言葉だろうが、どうも失敗したとばかりに「ごめん、助けて!」的なアイコンタクトを俺に送ってきた。そして―――


「ユキッ!私とあろう“妻”がいながら京都に熱い眼差しを向けおって!浮気は許さんと言っただろうが!!」


 変なところで勘の良い美雪さんが、勘違いして怒る。


「まぁまぁ美雪ちゃん、由希に浮気なんて甲斐性はないわよ!」

「そうそう、なんせ俺の息子だからな!」

「あら、でもアナタは私にとって誰よりも魅力的よ!」

「奈々子……」

「アナタ……」


 俺をぼろくそに言っておいて、何をイチャイチャしてやがんだか……。仲が良いのは息子として安心できるものではあるが、それを人前でやるなよ……。

 勝手に勘違いした美雪さんも、両親から解放されてホッとしている京都先輩も、バカップル顔負けの我が両親を見て、呆れてものも言えんとばかりに苦笑。その後で


「相澤くんも苦労するね……」

「ユキも大変なんだな……」


 哀れむように俺を見た京都先輩も美雪さん。



 同情しないで!余計に傷つくから!!

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