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74:後輩だろうと容赦はしない

 初のPCからの投稿です。

 今年は忙しい……なんたって昨年の当たり障りのない競技にばかり出場していたせいもあるかもしれないが、今年は走行種目リレーとかの他に、まったくの未経験といっても過言じゃない【応援団】としての参加が決まってしまったから。

 幸いにも<団長>という妙な肩書きを背負うことにはならなかったが、<副団長>という肩書きは背負う羽目になった。ちなみに団長は河南秋斗である。確定した要因は、目つきの悪さ(鋭さ)と何事にも動じない堂々とした雰囲気からの選出だ(一部を除き)。

 そんで我がクラスは3組ということもあり(1学年7クラス)、紫団としての活動を始めることになった。


 そこ、「紫とか微妙……」とか言うなよ。俺ですらそう思ってんだから!


「あぁ、まずは団長ならびに副団、そして団員を発表する」


 本格的なリハーサルは後回しとして、まずは放課後に紫団のクラスである1年三組、2年三組、3年三組の生徒が集められた(第2グラウンドに)。あまり得になるような話ではないが、美雪さんとリリナさんは5組(青団)である。青とかメジャーでいいよね。

 それにしても河南の低くてよく通る声……けして大声ではないのに、集められた生徒全員にも届いているようだ。

 そこでまずは選出された団員の発表があるんだが……ちょい待て、俺はそんなことまったく聞いてねえぞ!?


「俺は河南秋斗だ。今年の体育祭で紫団団長を務める。よろしく」


 簡素な挨拶を済ませた後で、河南は目線だけで俺に挨拶を促す。まぁ河南のような挨拶をすればいいってことだろう……。


「相澤由希、今回は副団長を務めることになった。よろしく」


 ま、こんなんでいいんだろう。河南のほうを見れば、目だけで「よし!」的な雰囲気が伺えるし。

 それから大川健一バカ・如月・結城と続き(なぜかいつものメンバー)、そして【大太鼓役】に湊が。余談だが、湊は最初の一言を発するまでに30秒近くを無言で通し、団員以外の生徒からは「あの女ただ者じゃねえ。怒らせると怖いかもしれない」と、畏怖されていた。たぶん湊としては「なに喋ればいいんだろう?」と思っただけなんだろうが……。

 その他に同学年からは、同クラス(当たり前だが)の大峰という屈強な男(相撲部)が旗持ち役、女子剣道部の実力者である斉藤さん、俺らと同じ帰宅部で実家が寿司屋の金沢(男)、陸上部次期部長候補の長安(女)、水泳部の沖邑(男)が。一年からはめんどくさいので男が6、女が4人、団員として参加する。一年はあまり関わらない者ばかりで知らないが、同学年のメンバーは、かなり個性的(というより割りかし有名人)である。なかなか強者つわもの揃いだ。


「団員として参加するメンバーは以上だ。今日は顔合わせ程度なので本格的な活動は3日後からだが、何か質問があるなら早いうちにしておいてほしい」


 うぅむ、さすがは団長(河南)、後顧の憂いを絶つ、というやつか。

 で、そこで手を挙げたのは、一年の男の子。見た感じ<やんちゃ>のそいつの名前は……知らん。


「えぇっと、相澤先輩に質問っすけど……」


 まさかの俺か!?まぁあらかたの質問なら答えられるが。

 俺も「何かな?」と、できるだけ柔らかく応対。目つきの悪さ(鋭さ)は河南にも引けを取らんからな(自慢にもならんが)。


「相澤先輩って、3年の綾館先輩と付き合ってるんすよね?きっかけって何すか??」


 おい待て、なぜ付き合っていることを前提に質問してやがる?しかも応援団とかまったく関係ない質問じゃねえか。


「あれっしょ?なんか聞いた話によると、同棲してるらしいじゃないすか、羨ましいなぁ!!」


 声高らかにデマ口にしてんじゃねえよ。つかアレか?これは俺に対する嫌がらせか??


「どうやってたらしこんだんすか?俺にも教えてほしいなぁ!!」


 あぁ、イライラすんなぁこの<クソガキ>の言動にゃぁ…俺が、いつ、美雪さんをたらしこんだって?そういうデマばかりを口にして他者を傷つけるような人間が、俺はこの世で一番大っ嫌いなんだよ!


「お前……名前は?」

「俺すか?俺は門司っす、ねぇ先輩、教えてくださいよぉ」


……………プチィッ(何かが切れる音)


「お前、今のうちに鎮魂歌レクイエムでも唱えてろ……」

「はぁ?何言ってんすかァダダダダ痛い痛い痛いぃ?!?!?!?」


 ヘラヘラと下卑た顔にアイアンクロー。この九州の港みたいな名前の頭が案外小さかったので、片手で簡単に掴める。しかも力を加えやすい。


「おいクソガキ、よく聞け。俺はこれでもまだ加減してやってるほうだ。それともまだ生意気な口が利きたいなら、俺も加減なしでテメェの頭蓋をミシミシ音が鳴るまで握り潰してやってもかまわねぇけど……どうする?」

「ススススミマセンっしたぁ!!!!」

「……あと、そこでせせら笑ってる奴もだ。俺は自分の事なら何言われてもある程度なら我慢できるが、俺を利用して他の人間を馬鹿にするようなことを言う奴は許さねぇ……それが後輩だろうが先輩だろうが、男も女も関係なく、だ。わかったら返事ぃっっ!!!!」

『は、はいぃっ!!!!』


 俺の一連の行動を見て固まっていた紫団の連中(生徒)に一喝し、返事が返ってきたことで門司だか文字だかわからんクソガキを開放。白目むいてるが、まぁほっときゃ目ぇ覚ますだろ。

 ただ、俺は明らかに「やっちまった!」感が否めない。目つきの悪さは態度でカバーしてきたつもりだったが、一瞬で水の泡である。


「……見ての通り、相澤は怖い男だが、決してむやみに人を傷つけるような奴じゃない。それは俺たち団員が保証する。ただ、こんな状態になりたくなければ、むやみに人をあざ笑ったり、誰かを傷つけるような言動は謹んでほしい。わかったか?」

『はいっ!!!!』


 ナイスフォローだ河南!おかげで少しだけだが、俺に対する恐怖の視線も拭えた……と思う。全部じゃないけど。


「俺たちは優勝を狙う。もちろん冗談なんかじゃない。そのためには、個々が己の持てる力を最大限に発揮するだけじゃなく、紫団のメンバーが一致団結しなきゃいけない。俺はそのためにも力は惜しまない。だからみんなも、俺たちについて来てほしい」

『はいっ!!!!』

「ちなみに無断でサボったり一生懸命に練習しているみんなを笑うような奴がいたら、相澤を派遣するのでそのつもりで」

『ははははいぃっ!!!!』


 うぉい!!フォローを入れてくれた瞬間にこのザマか!?つかテメェらも本気マジな返事をしてんじゃねぇよ!!

 未だかつてないPVアクセス10万件突破です。読者の皆様、本当にありがとうございます!!

 一部の方(ユーザ様)には「残り僅かで完結を迎える」と言ってましたが、もう暫くは、続きそうです。ご了承ください(謝)

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