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69:夏休み最終日の朝

 あれだけ長いと思っていた夏休みも、あっという間に最終日。今年は綾館姉妹の別荘へ行ったり、盆には従姉妹とゲーセンへ行ったり……何かと慌ただしくも楽しく、時間が過ぎていったように感じる。

 昨日、綾館姉妹と一緒に花火大会へ行くという約束をし、今日はその当日。

 とはいえまだ朝だから、出発にはかなりの時間もある。


 一通りの家事を済ませ、凜に朝食を食わせた後は、ちょっとした休憩時間。

 綾館姉妹は夕方に来ると言ってたので、やる事も無い。……居る時は騒がしいと感じても、居なけりゃ少し淋しいと思ってしまう俺は、何となくだが、好意を寄せてるんだろうか?

 なんて思って苦笑したら、そんな俺を見ていた凜が「ユキ、キモい」発言。

 我が妹君は、実兄にも容赦ない……。


 とりあえず話題(というか話をごまかす)変えのためにテレビをつけりゃ―――




『この秋、あなたはクールに世界を魅了する!』




 母(菜々子)が経営してる化粧品会社“Clair”の新CMが流れていた……んだが、こりゃどうみても《あの人》なんじゃ―――


ガチャ!バンッ!!!!


 え、なんか玄関が騒がしくない?ってか、施錠してたはず……


「ユキぃっっ!!大変だ大変だ大変だ!!ヤンキー女がテレビCMに出て(出演)してるっ!!!!」

「うおぉぃっ!まず待て!どうやって玄関から入って来た!?俺施錠してたよな?なっ!?!?しかも合い鍵は取り上げたはずだろ!?」


 我が家のセキュリティを疑いたくなるほど、この《姉妹》の登場は謎が多い。 言わずもがな、綾館姉妹のことだが。


「そんなことより!」

「俺には“そんなこと”とは言えねぇっ!!」

「おはようございますユキ、勝手ながら……」


 ニッコリ笑顔なリリナさんが“ほらっ!”的な感じで俺に披露したのは、形状に覚えのある《鍵》……ようするに、この人は俺が合い鍵を取り上げる前に《新たな合い鍵》を作っていたらしい……。

 これも没収するべきだな。


「ユキ、それより観たか!?あのお義母様の会社の新CM」

「“お義母様”言うな。……たった今、観ました」


 なんでも美雪さんも食事を終えた後にテレビを観ていた時に“あの人”がモデルになったCMを観て、慌てて我が家に(合い鍵を使って)来たようだ。

 たしかに俺も驚きはしたけど。


 まぁ来てくれた以上、無下に追い返すわけにもいかないので、二人を凜の居るリビングへ。


ピーンポーン!


 なんか来客が多いな今日も。健一は昨日、宿題を終わらせたし、他の如月や河南達が来る予定も無いはずなんだが……って感じながら、再び玄関へ。


ガチャ……


「よ、よぉっ!」

「え……えっと、ど、どちら様……?」


 玄関先に立ってたのは、帽子を目深にかぶり、目にはでかいサングラスとマスクという、明らかに不審な女性……


「あ、ワリワリ!アタシだって!」

「獅子神さん!」


 噂をすればなんとやら……つい数分前にCMに出演してた“あの人”、姐御口調な獅子神さんだ。

 つか、なんでそんな恰好なんだろう?


「む!貴様はヤンキー女っ!!」

「やっぱり今日も来てたか!あと“ヤンキー女”っていうな!!」


 ああ、やっぱし始まった……どうして美雪さんと獅子神さんって、顔を合わせりゃ喧嘩すんだろ?







 約二週間とちょっとぶりに、獅子神さんがやってきた。相変わらず姐御な口調は変わらないが、心なしかキレイになったようにも思う。まぁ元々が美人な人ではあるんだが、一層美人に磨きがかかった……って感じ。

 因みに口には出さない。何故なら美雪さんが過剰反応するからだ。

 あと獅子神さんの恰好についてだが、本人いわく「知らない人から声をかけられるのがうざい」からだとか。まだそんなに放映開始から時間が経ってないから心配ないと思うのは、俺だけだろうか。

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