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65:口調が似てるとわかりづらい。

 盆を過ぎれば、時が経つのが速くなる………なんて言ってた人も居るくらい、あっという間に夏休みは過ぎてゆく……。

 相も変わらず綾館姉妹は「遊びに来た!」と称して不法侵入を繰り返す毎日だが、飽きはしない分、充実した毎日を過ごせてはいるのだろう。


 そして、夏休みも残り一週間を残すのみとなった―――




「そういや最近、獅子神さんが来ないなぁ……」

「ユキっ!私という《彼女》が目の前に居るというのに、他の女子おなごの事を口にするとは言語道断!!」


 おい、毎度毎度の事だが、俺はいつから美雪さんの《彼氏》になった!?

 あらためて言わせてもらうが、俺と美雪さんは《友達関係》であり、恋人関係では一切ない!


「そういえば……菜々子様が会社へと戻られる時に、たしか獅子神さんがどうとか言ってらしたような―――」

「「……あ……」」


 盆前に《化粧品モデル》がどうとかで、母からお願いされてたんだっけか?


「ユキ、お客さん」

「客?つか凜、いたのか?」

「今帰ってきた」


 今日は空手部の朝練とかで、早々に外出していた凜がご帰宅。しかも客だかなんだかも一緒らしいが、客が来る予定なんてまったく無いんだが………


「やあユキ、元気そうだな」

「え?ま、まじ!?」

「誰だ?」

「どちら様ですか?」


 う、うぅむ……《再会》にしては早すぎる―――







 “まさか”と思ったけど、こうしてテーブルに座って妹と会話してる《お客さん》の姿を視認出来てる時点で、これは紛れも無い現実。


「ユぅ〜キぃ〜……私というものがいながら、公然たる浮気か?ど〜なんだぁ??」

「ち、違いますって!ってかなんで俺が慌てなきゃいけないんだ!?……と、とにかく!この人は俺の―――」

「ああ、自己紹介がまだだったか。私は相澤真琴、相澤由希の《従姉妹》だ」


 そう。我が《初恋の君》であり、頼れる従姉妹のお姉様……相澤真琴こと、通称《マコ姉》が我が家にやって来たのだ!


「むぅ……ユキの従姉妹とは……」

「でも、従姉妹同士って結婚できますよね?」


 うぉいリリナさん!火に油!!


「つまりは《敵》か!!」

「ユキ、この騒がしい女の子はどちら様だ?」

「騒がしいとはなんだ!私は綾館美雪!ユキの《通い妻》だ!!」


 《恋人》からランクアップ!てか違う!まったくもって嬉しくねぇ!!それよりマコ姉の前でそんな冗談(本気?)を言うなっ!!!!

 そんな事を聞いたら、聞いたら―――


「む?ユキの《奥さん》か、それは失礼した。なにぶんユキは私に似て目付きが悪いが、とても優しい奴だ。これからも末永く、私の可愛い弟分をよろしく頼む!」

「あ、はい……」


 冗談が通じない人なんだってばあぁぁあ!!!!




◇◆




 と、とりあえず美雪先輩に妨害されないように、冗談を本気に受け止めたマコ姉に事情説明(というか誤解を解く)。


「……成る程。まぁ少し考えれば、ユキはまだ18になってないから結婚できないはずだものな」

「私はいつでも準備が出来ているのですが」

「何の準備だ!?」

「何ってもちろんナ「それ以上言うな!!」


 下ネタ反対!


「むぅ、ユキが尋ねたから返しただけなんだぞ!」

「マコ姉の前で要らん事を言わんで下さい!!」

「……まぁよくわからないが、ゴムはし「マコ姉!それ以上はダメ!!」


 まさかのマコ姉まで!?口にしたが最期、R指定になっちゃうから!!


「いやぁ実に素晴らしい従姉妹様じゃないか!」

「……俺の初恋が崩壊してゆく……」

「うん?ユキの初恋は私なのか?」


 しぃまったあぁぁあ!!!!思わず口を滑らせちまったよバッカ野郎おぉぉぉおっっ!!!!!!


「ユキ、気持ちは嬉しいが、私とユキはいとこだし、それに……」

「みなまで言わんで下さい……あくまでも昔の話ですから!」

「ユ、ユキ、これは慰めにもならんかもしれんが、昔から初恋は甘酸っぱいというくらい、実らない代名詞じゃないか」


 うわぁ、ホントに慰めにもならんじゃねーか。

 ………あれ?ちょっと待てよ、そういえば美雪さんって―――


「美雪さん、俺って美雪さんにとって初恋の人なんですか?」

「何をいきなり……当たり前だ!この綾館美雪、生涯に惚れた男はユキのみだ!!………あ?あれ?という事はつまり―――」


 おぉ、やっぱし気が付いたか。


「しいぃまったあぁぁあっっ!!!!という事は、私の恋は実らないじゃないかあぁあっっ!!!!!!」

「美雪、気をたしかに!落ち着きなさい!」


 すげえ《狂乱》っぷりだな。頭かかえて唸ってるし……。ま、墓穴ったのは美雪さんだし、俺知〜らねぇ。


「まぁユキの気持ちに応える事は出来ないが、せめて私を《姉》として頼ってくれるのであれば、私は何時でも力を貸そう」

「ん〜じゃ早速……」


 失恋と言える程でもないのだが(結果は目に見えてたし)、姉として頼っていいというので、弟分である俺は、早速お願いするとしよう。


「あのうるさい《女の人》を止めて下さい。このままじゃ近所迷惑に成り兼ねんし……」

「うむ、そのようだな。事実、ケイ(恵)より騒がしい」


 ケイ姉より五月蝿いってよっぽどだな!さて、頼れる従姉妹様は、どうやってあのボリュームMAXの美雪さんを止めるんだろうか?


「美雪さん……だったかな?あまり騒がしいと、近所迷惑になるから止めなさい」

「う゛う゛おぉおぉぉぉお!!!!」


 うわぁ……化け物じみた泣き方(?)になってる。つか、もう雄叫びだよな………。


「リリナさんだったかな?どうやったら止められるのかな?」

「いえ、さすがに私では対応出来ない状態でして………」

「ふむ、ならば止めさえすれば良いのかな?」

「死なない程度なら!」


 それ妹に対して言う言葉!?テンパり過ぎだよリリナさん!!


「うぅむ、女の子に武力行使は使いたくないんだが、口で言っても効果はなさそうだしな。やむを得ない……」

「と、とりあえず死なない程度なら!」


 だからダメだってばリリナさん!!!!マコ姉はなんでも鵜呑みにしちゃう人なんだから!!


「ふむ、身内がそう言うのなら……」


 唸る美雪さんの前に対峙したマコ姉。つか、やばくないか?別に秘密にしてたわけじゃないが、マコ姉はじーちゃん譲りの《武道》の才能がある。強さなんて、俺や現役空手部の凜の比じゃない。


「美雪さん、ちょっとこっちを見てくれないか?」

「グルルル……」


 もはや野良犬的な唸り声になってる美雪さんを前に、リリナさんは人差し指を向ける。

 ん?あれってもしや―――


「てい」


ブスリ♪


「ぐあぁぁあっ!!」


 素直にマコ姉の人差し指を見つめていた美雪さんに、マコ姉は無気力なまでの掛け声で、左顎下の柔らか部分を突いた。もちろん《死なない程度》だから、痛みはハンパないだろう。

 いわゆる“秘孔”ってヤツなんだろうが、やる事はえげつない……俺も凜もリリナさんも、かんなり引き気味である。


「まぁ5分もすれば起きるだろう」

「だ、大丈夫なのでしょうか?」

「心配ない。もちろん加減はしておいた」


 してなかったら美雪さんはどうなったんだろうか……考えただけでも恐ろしい。




◇◆◇




 そして5分後―――


「うぅん……む?なぜ私は寝ているのだ?」

「なぜって、なぁ!」

「うむ」

「……」

「少し暑かったので、倒れたのですよ。幸い真琴様の献身的な《看護》のおかげで、軽い暑気あたりで済んだのです」


 美雪さんが起きるまでに、皆で少しばかり口裏を合わせる算段をとった俺達。さすがに「意識が暴走してマコ姉に秘孔を突かれた」とは言いづらいしな。


「そうか、どうやら心配をかけてしまったようだ……ところで―――」

「どうしたんですか?」

「この《女子》は誰だ?まさかユキ、私という婚約者が居ながら堂々と浮気かっ!?!?許さん!!!!」


 話は降り出しに戻るようだ。はぁ……

 タイトル通り、執筆する私もわかりづらい話になってしまいました。オチもあまりうまくなかったですし……。

 ともあれ、早いうちに再登場となった相澤真琴(マコ姉)です。まさかの秘孔を突くという技までやらせましたが、当然これはフィクションであり《そんな事をしても意味はありません》。ただ痛いだけです。

 良識のある方もそうでない方も、くれぐれも真似をしないで下さい。ホントに《ただ痛い》だけです。

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