06:今日は二人で変態さん
am5:00
起床。俺、相澤由希の朝は早い。とはいえ、何時もは朝6時に起きて、洗濯・朝食・弁当の《必要家事》を済ませるのだが、今日は1時間早めに目覚めた。
なんというか、こう……第6感的なものが、俺の意識をDream・World(夢の世界)から現実に引き戻したのだ。
「……な、なん!?」
「「……あ……」」
うおいぃっ!!窓から侵入者キターーーっ!!!!
なんだその手に持ってる“昨日今日じゃ扱えそうにないツール”はっ!?
窓の施錠周りのガラスが斬られてるし!なにげに今日二人だし!!つか止めろよメイド!!なんで一緒に侵入しようとしてんだあぁぁあっ!!!!
「おはようユキ!!」
「おはようございます(未来の)旦那様!」
「ソッコー出てけえぇぇっ!!!!」
「改めて、おはようユキ!!今日もどんより清々しい曇り空だな!………あ、そうそう!私と一緒に婚姻届けを役所に出しに行かないか?」
「…………」
ビリビリビリ………(差し出された婚姻届けを破る音)
「ぬあぁ!?」
「これがツンデレというものなのですね!」
「違うわっ!!」
メイド……俺は変態にはデレねぇよ。
俺の第6感というのは、中々冴えているようだ。つか、とうとう朝っぱらから部屋に侵入するようになりやがった……。しかも変態先輩だけでも大変だっつぅのに、メイドまで加わりやがった。
「では、今日は私が朝食をご用意しましょう!」
「い、いや、さすがにお客に料理を作らせるのは…………」
「何を言ってるんです、私は綾館家に仕える侍従長です。料理も洗濯も掃除もユキ様には負けませんよ」
いや、違えょ。勝負とかじゃねぇし。片手間で家事やってる俺が家事職メインのメイドに勝てるわけがねぇし。
「まぁまぁ、たまには誰かに作ってもらうっていうのもいいものですよ?」
「……う〜〜〜〜ん、じゃあ、お言葉に甘えて」
「かしこまりました!」
にっこりスマイルのメイドって、けっこう破壊力あるな。
んじゃ、俺は洗濯でも………って、あ、あれ?服が物干しにきちんと干されてるし、なんか床がピッカピカに磨かれてるし……
「ああ、この程度の家事であれば、5分と必要ありませんよ。お料理の許可を頂く間に、リビングの掃除と洗濯は済ませておきました!」
メイドスゲー!!つか、いくらメイドでもここまでは早く出来なくね!?リリアさんの姿が二人、三人に見えてね!?残像か?残像なのかっ!?!?!?
「できましたよ!」
早っ!!一分も経ってねぇ!!ガスコンロの火力とか無視じゃね!?
「事前に調理を済ましておいたので、温めただけですよ」
じゃあ動きが無駄だろ。
「……はよ〜……」
匂いにつられて起きてきたな、我がシスターよ。
「おはよう我が義妹(未来の)凜ちゃん!!」
「おはようございます凜様!」
「おはようございますお義姉(ほぼ確定)様!こちらは?」
おい、なんだよほぼ確定って。ってかいつ仲良くなった?妹と変態よ……。
「申し遅れました、私、綾館家にて侍従長を務めるリリナ・F・ナイトロードと申します。リリナとお呼び下さい」
「お義姉さんのメイドさんかぁ。てっきり、ユキにそんな趣味があるんだと思ったわ」
ねぇよ!むしろ俺が変態扱い!?つーかお義姉さんってなんだ?
「なにぃ!?ユキはリリナのような女がタイプなのかっ!?!?」
「言ってねぇ!!!!」