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54:基本的に味方はいません

サブタイはあまり関係ありません。

 さてと……ワイン(その他酒類)の件は片付いた。

「母さん、今日は泊まり?」

「もち!3日くらいは滞在するわ」

「ならば、家族水入らずを邪魔するわけにはいかんな」

「そうだな」

「ええ」


 現時刻、午後5時。たしかに帰るにしてはちょうどよい時間かもしれない。


「えぇっ!もう帰っちゃうの!?」

「さすがに長居は迷惑ですので」

「うむ、婚約者とはいえ、そこまで厚かましくは出来ない」

「ま、こいつが《婚約者》とかどうかは知らねぇけど、その意見にゃ賛成だ」


 獅子神さんはともかくとして、この姉妹はなんつー《猫被り》!その心遣いを普段からしてくれりゃなぁ……


「まだいいじゃない!親御さんには私から連絡しとくからさ」

「うぅむ……お義母様がそこまでおっしゃられるならば――」

「私は美雪に任せます」

「ま、別に帰ったって誰もいねぇかんな―――」

「なら決まり!由希、どんどんオツマミ作って!!」


 まぁ大方は予想出来てたさ。しかし、菜々子(母)は飲む気満々だなぁこりゃ。







 せっかく買い出しに行ったのに、こりゃ間違いなく食糧は尽きるなぁ……なんて思ってたら、リリナさん、携帯一つで何かを指示し、俺見てニッコリ。

 その意味を知ったのは、約15分後のこと―――


ピーンポーン!


「こんにちはっ!相澤由希様っすね?」

「は、はい」


 玄関には、宅配便らしきあんちゃん風の人。その後ろでは、同じく宅配便らしき人が二人、1メートル四方のでかい荷物(発泡スチロール箱)を抱えて待っていた。


「どうもっ!綾館家にて配送を一任されてる鞍口っす!リリナ様から連絡をいただきまして、食材をお持ちしたっす!!」

「え、えぇっ!?」

「あら、鞍口くん。早かったわね」

「お疲れ様っすリリナ様!」


 助けリリナさん登場。ホント、この人って細かい所によく気付く。流石は完璧メイドだ!


「食材は鮮度が命っすから!トラックぶっ飛ばして来たっすよ!」

「あらあら、それはご苦労さ―――」


ウーー!ピーポーピーポーピーポーピーポー!!


 なんだこのサイレン?あれ?なんか《市民の安全を守る職業》の人が鞍口さんの後ろに立ってんだけど……


「鞍口渉、住宅地での無謀運転の現行犯だ!」

「うっす!」

「「うっす!」じゃない!!これで5度目だ、とりあえず署まで来い!」

「わかってますって!別に逃げないっすから。んじゃ、相澤様、リリナ様、失礼しまっす!!美雪お嬢様にもよろしくとお伝えくださいっす!」


 え、えぇっ!?!?どんだけ警察に慣れてんの鞍口さん!?つか5度目って……


「面白いでしょう?」


 そんなレベルじゃないですよリリナさん!


「鞍口くんは昔、《暴走族》で総長をやっていたので、走り屋気分が抜けていないのでしょうね」

「なんつー経歴……」

「でも、彼のような経歴の人ほど仕事に対して真面目な方が多いのですよ。さて、食材も届きましたので早速調理に―――」


 ちょい待ち!鞍口さんはどうすんのリリナさん!!あの人は俺達のためにトラックぶっ飛ばして来たんですよ!?


「御心配なさらずとも大丈夫ですよ、鞍口くんの件に関しては何時もの事ですから、既に手は打っております」

「その前に心を読むのはやめてくれませんか?」

「そんな技術はありませんよ。ユキの顔に書いてあったのです」


 俺ってそんなにわかりやすいんだろうか?

 ともかく、嵐のような鞍口さんの一件は大丈夫らしいとわかったので一安心の俺は、他の二人が抱えている荷物を受け取っ―――重っ!!!!







「うんまっ!やっぱリリナちゃんの料理は最高だわっ!!」

「お褒めいただき光栄ですわ」


 今日は母が居るという事で、リリナさんは《お酒に合う料理》を作ってくれた。《酒の肴》ってのはご飯も進む!ちょい濃いめの味付けだが、かえって食が進むので、最近バテ気味の身体にはベストのようだ。


「リリナちゃんは成人は迎えてるのよね?」

「ええ、一応は高校生ですが」

「獅子神ちゃんは?」

「19になったばかりですが」

「19かぁ……建前上は、お酒は進めらんないけど、今日は別!せっかくお酒が手に入ったんだから、一緒に飲もう!!」


 ったく、何を言ってんだか。ま、獅子神さんくらいになれば、お酒飲んでも大丈夫か―――


「美雪ちゃんは17で凜は15だけど、四捨五入すればお酒飲める歳よね?」


 うおぃ!明らかに未成年の二人に酒を進めんな!!

 ま、まぁいくら美雪先輩とはいえ、そんなダメ人間の誘いには―――


「お義母様のお誘いとあれば!是非に!!」

「私も構わないわ。どうせ夏休みだし、家の中だから」


 良識の欠けた二人だった。


「私は構いませんが」

「嬉しいお誘いっすけど、アタシはバイクで来てるんで―――」

「泊まればいいじゃん!女の子の5人や10人くらい余裕余裕!着替えも私のお古でいいなら沢山あるから!」

「えっと、じゃあ……お言葉に甘えよっか……な」


 母の毒牙にまた一人……ホンット、目的の為なら手段は選ばねぇな。


「由希もどう?」

「俺は遠慮し「まさか女の子だけにお酒を飲ませる訳はないよなユキ?」

「いや、お「ユキ、美雪の言う通りですよ?」

「だから「飲もうぜ相澤っ!」

「けど、やっぱ「ユキ、少しは空気読め」


 毎度毎度の事ながら、ホント俺には味方がいない。つか、凜の「K(空気)Y(読め)」発言が、俺は一番堪えたよ……

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