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05:本職ですか?変態さん

「出来た」


さてと、家である。買ってきた材料を冷蔵庫にしまいつつの、傍らで料理を作りつつの「ユキ、お前のデザートはこのわた「いらん!!」などとほざく変態をあしらいつつ〜………

で、出来た料理をテーブルヘ。

やっぱりというか、先輩もいる。家まで付いてきた時から、何となくそんな気もしたわけで。

「帰れ!」という前に、我が女帝たるマイシスターの「早く作れ」発言。

本気で喧嘩すりゃわりかし楽に勝てはするが、いかんせん妹である。女の子である。手を上げるのは、男としてどうかと思っている。……早い話が、俺は妹には甘いのである。


ま、そんな与太話は置いとくとして、テーブルにはリ(ケチャップライス)クエストされたオムライスとポテトサラダ、それに人参と卵のスープ。冷蔵庫には自家製プリンを冷やしてある。


「「「いただきます!!!!」」」


では、メインのオムライスを一口………うん、まあ及第だな。


「うむ、ユキの料理は美味いな!」

「どうも」

「ケチャップの酸味が弱い、卵に火を通し過ぎ、スープは少し塩辛いし、ポテトサラダは………まぁ美味しい。でも、次は頑張ってほしいわ」

「………精進します」


堪えろ俺!!我が妹ながら、本気でムカつく!




食後のプリンも俺としてはよく出来たほうだと思ったが、我が妹君から「バニラの香りが強すぎる、もう少し甘味を抑えたほうがいい」と、キツーい評価を頂いた。

「じゃあお前が作れよ!!」と言いたいのだが、妹君は家事全般に《壊滅的な才能》である。洗濯をすれば、真っ白なシャツと派手な赤いワンピースを一緒に洗って、シャツをピンク色に染めあげたという過去を持つし、掃除すれば、BeforeのほうがAfterよりもキレイだと思えるほどだ。

料理に至っては………察してほしい。こいつ(妹)は甘味が強いなら塩を入れればよい!と、本気で思っている残念な家事下手女なのだ。

だから俺も、心の中では心底腹が立っても、口には出さない。結局、被害は俺に降り懸かってくるのだから……。


「ごちそうさま、実に堪能出来た!」

「どうも」


この時ばかりは素直に美味しいと言ってくれた先輩の言葉が嬉しかった。


「さて、図々しくも夕食までご馳走になったが、いい加減、そろそろおいとましよう」


ああ、帰れ帰れ。


「ユキ、仮にも女性を夜道にひとりで歩かせる……なんて事はしないよね?」


黙れ家事壊滅女!!


「……先輩、送ります」

「おお!そうかそうか!!では帰ろう!」

「あ、帰りにポテチ買ってきて」

「……はい」


今更ながら、俺に兄としての威厳は無い。ただ、断れないっつぅのは情けねぇな俺。










さて、無事に先輩を家に送り届けた俺だが……


「……でけぇ……」


威厳のある門構えに、広い日本庭園、てか建物がまんま城じゃねぇか!!

先輩の家は隣町だというのは知ってたが、まさかのこれかよ!


「お帰りなさいませ!」

「うん、出迎えありがとう!」


いたよ。たしかにいたよメイドさん……………つか、純日本家屋(城?)に、黒地に白フリのメイド衣装がアンバランス!!

メイドさんって初めて見たんだけど、やっぱ美人だなぁ…。髪とか銀色だし、肌白いし、眼とか蒼いし。外国の人か?


「こちらは?」

「うむ、私の恋人(予定)で、相澤由希くんだ!!」

「はじめまして、いつも先輩にお世話してるになってる友人の相澤です」


いろいろと愚痴を零したくはあるが、流石に初対面の人(しかも先輩の家で働いてるメイドさん)には言えねぇ。ここは丁寧に挨拶のみで対応。


「相澤由希様……ああ!ユキ様ですね!!お話はいつもお嬢様から伺っております!」

「こ、こらリリナ!余計な事を言うなっ!!」

「あら、これは失礼致しました」


慌てる先輩っていうのも珍しいが、メイドさんの先輩に対する接し方も、まるで姉妹のような感覚として、俺の目に映っている。

つまるところ、このメイドさんって、メイドという位の中でも上の方に位置してるんじゃ………


「さて、挨拶が遅れました。わたくし、当《綾館あやたち家》にて侍従長を務めるリリナ・F・ナイトロードと申します。歳もお嬢様やユキ様と、さほど変わりはしませんので、気軽にリリナとでもお呼び下さい」


名前カッケー!!やっぱ外国の人だ。日本語上手いな!!ってか初対面からユキって呼ぶんだ!?


「は、はぁ……じゃあ、俺はそろそろ帰ります!」

「では、お車を用意致し「あ、歩いて帰りますから!」


俺はリリナさんの言葉を遮った。そりゃもう全力で!だってさ、さっきから俺の視界の片隅の方でスタンバッてる車とドライバーさんらしき黒服の人を見りゃ、ねぇ………。

車種にはあんまし詳しくない俺だが、俺でもわかる黒べ〇ツ。しかもマイシスターからポテチ頼まれてっし。


「ですが……」

「お、お気持ちだけで!それじゃ!!」


踵を返し、少し速めに歩きだした俺に、「ユキ!また明日っ!!」って先輩の言葉。一度振り返って手を上げて、再び我が家の方へと体を向け、最初の曲がり角を曲がってすぐに、猛ダッシュ!!

なぜ?城てきな日本家屋に、金持ちらしいお仕えメイド、車種は黒べ〇ツ………………これはあくまで、あくまで俺の推測だが、先輩ん家ってヤ〇ザじゃね!?落とし前とかで指を切り落とすアレじゃね!?!?

俺だって多少の不良にゃ動じねぇけど、本職の方を相手とか無理だし!!!!!!




恐怖が芽生えて、ポテチ買うの忘れて家に帰り着いて、マイシスターにはぼろくそ文句言われ………




俺が何したってんだあぁぁあっ!?!?!?

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