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38:終業式です

はぁ………まだ夏休み編に行かない。

毎度毎度に襲撃を重ねる綾館姉妹(主に美雪先輩)に慣れた対応をしつつ、今日はいよいよ終業式。則ち、夏休みが始まるのだが―――――


「健一、なんかキモい」

「ああ」

「……(コクリ)」

「同感だ。皐月、いい加減に起きろ」

「んにゅ〜ぅ」


如月は、頬もこけて別人と化した大川を一瞥し、終業式前だというのに、机に突っ伏し眠る結城を除く俺を含めた何時ものメンバーも、如月の言葉に頷いた。


「……ハハッ。多分、生きてきた中で1番頭を使ったからかな………僕も、無事に夏休みを迎える事が出来るんだ」


うわぁ………バカが本格的に壊れやがった。

普段なら“俺”なのに“僕”って言ってるし……。


「なんだ、コイツまじキモッ!!」

「ダメだよ如月さん、女の子が下品な言葉を使っちゃ」

「あ、相澤!まじでコイツ怖い!!」


いや、俺に同意を求めんな。











大川が“爽やか風キャラ”のまんまで、全校生徒が体育館に集まる。

程なくして始まった“終業式”。開会の挨拶をするのは、弓道部兼生徒会副会長の、あの人だ。


「これより、終業式を始めます!生徒の皆さんは、起立して下さい!」


凜とした声が館内に響き、皆が一斉に起立。壇上に立つのは、我が家を襲撃する常連さんの綾館美雪先輩である。

………あ、あれ?美雪先輩の背後に立ってるのは――――


「お、おい、美雪先輩の背後に立ってる銀髪美人、誰?」

「マジで美人だよな!」

「あの人って、この前転入してきた人だよね!?」


他のクラスから、そんな囁きが聞こえてきた。カーテンで影になっているが、間違いなくリリナ先輩だ。


「始めに、校長先生からのお話です。礼!」


壇上から美雪先輩(リリナ先輩)がはけ、校長が代わりに檀上に上がる。

さて、ここまでは他の学校となんら変わりないだろう。しかし、この後の校長先生の“ありがたいお話”から、他の学校の終業式とは違ってくる。


「え〜皆さん、夏休みは事故の無いように、楽しんで下さい。以上!」

「礼!」


10秒にも満たないスピーチ。これで校長からの挨拶は終わりなのだ。


「続きまして、生徒会長挨拶。全員、礼!」


椅子は用意してあるのだが、終業式が始まるまで座るだけなので、あとは立ったままで式は進行する。

ちなみにだが、生徒会長は女性である。名前は長束京都ながつか・みやこさんといい、学校一の才女である。


「皆さん、本日午後より夏休みが始まりますが、遊んだり騒いだりするのは、補導されない程度にお願いします。後の注意事項は教室に戻った後で、先生からプリントが配布されます。そちらに詳しく書いてありますので、目を通しておいて下さい!では、九月に会いましょう!!」

「礼!」


厳格とは程遠いお言葉である。各々が自己責任を持つ事を校風に掲げているこの学校だが、凄いのは、これほど自由な校風なのに、一切の事故や補導をされた生徒がいない、ということだ。


「以上をもって、終業式を終わります!礼!」


これで終わり。体育館に全生徒が集合した時間は20分程だが、終業式に要した時間は、5分にも満たない。

学年ごとに体育館を出て行き、俺のクラスも先生に先導されながら教室に戻った。











「全員揃ったな、プリントを配るから席に座れ」


程なくして担任が教室に入り、手にしていたプリントを配り終えた後―――


「ま、夏休み中は事故に気をつけろ。以上、解散っ!」


呆気ない。これで終わりだ。現在午前9時30分、以後、学校を出た瞬間から、夏休みは始まるのだ。


「よっしゃ!今から夏休みだ!!」


如月は普段のテンションをMAXに上げ―――


「皐月、帰るぞ!」

「んみゅ〜〜?にゃ?もう終わったの〜?」


河南は普段通りのままのテンションで結城を起こし、結城はネコみたいな声で起き―――


「僕は女子校のお姉様方とお茶会があるので……」


健一は人格が変わってしまう程、頭を使ったらしい。虚言&妄想癖まで加わってやがる………キモい。


「………紗姫お姉様と、遊ぶ………」


湊………あれ?“紗姫”って、どっかで聞いたことがあるような――――


「ってか、相澤はこの後どうすんの?」

「ん?ん〜〜〜とりあえずは妹の昼飯の準「もちろん、学校一の美人女子高生である私とデートだ!!」


出たな自称“婚約者”!!


「私もおります!」


知ってるよ“メイド先輩”。だいたい変態先輩とセットだし。


「デートか………皐月、デ、デートするか?」

「にゃ!?デデデデデデデート!?!?」


すげぇ、普段なら河南の言葉に動じない結城が、過剰反応してる!初めて見たっ!!


「つか美雪先輩、なんか他に予定とか無いんですか?」

「私の予定表によれば、昼過ぎにユキと映画を観て、その後はゲームセンターとかいう施設で、一緒に遊ぶ。夜には郊外の料亭で共に食事を摂り、最後はホテルで…………」

「行かない!ぜっったい行かないっ!!何考えてんだアンタは!!!!」

「何って、ナ「言わせねぇ!!」


言ってる意味を理解してんのか!?つか、予定表のノートに“ユキノート”って書いてんじゃねぇっ!!!!

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