37:俺は変態さんの婿(未来系)らしい?
夏編といえば海!と思っていたんですが、まずは前話の続編をどうぞ
「美味いっすよ」
「ええ。塩加減も上々、焼き具合も申し分ないです!」
「お姉様、美味しい」
「むぅ………悔しいが美味い!」
獅子神さんのお手製料理は、鯛の塩焼き・キノコとほうれん草のバター炒め・ご飯・キャベツの洋風スープと、中々に凝ったものばかり。ま、獅子神さんも言ってたが、料理は覚え始めると楽しい。きっと、独学でここまでの料理を作り上げたのだろう。
まぁ、獅子神さんの事はいいとして…………
「なんでアンタらがいるんだあぁぁぁっ!!??」
いや、もう言わなくてもわかるよな。
「まぁまぁ、食事というのは大勢で食べるほうが美味しく感じますし」
「そうだぞユキ!家族団欒という言葉もあるように…………」
「いや、アンタら他人だし!」
綾館姉妹である。ちゃっかり我が家に侵入してやがった。
「ユキ、将来を誓い合った仲じゃないか!」
「そんな約束した覚えは無ぇ!!」
やべぇ、妄想に磨きがかかってきてやがる!?
「まぁまぁ、別にさしたる障害もありませんし」
「大アリだよ!!」
リリナさん言ってる意味分かってんの!?
⇒
「ご馳走様でした!」
「ご馳走様でした」
「堪能致しました」
「うむ、美味かった!!」
「あ、ありがと!」
何時もは(最近知り合ったばかりだが)気丈でかっこいいイメージの獅子神さんは、ヘヘッと照れ臭そうに笑って下を向く。なんか、こういうギャップが男心をくすぐるんだろうな、なんて思う俺。
そういや、獅子神さんも“年上の美人”だよな。
でも、なんかときめかないんだよなぁ…………なんでだろ?
ガチャン!!
んあ?
「あっちゃ〜!ご、ごめん相澤!!」
皿を割ったんだな。ま、気にする必要も…………
パリーン!!
え?
「あ、あぁ!!」
「や、別に大して気にしなくても………」
ガッシャァァァン!!!!
えぇ〜〜!?
「………獅子神さん」
「ご、ごめ!!」
「いやいや、とりあえず料理の次は、洗い物を教えましょう」
「…………よろしく」
まぁ、その前に後片付けから、だな。
⇒
皿洗いに気をつける事っていうのは、実に基本的なこと。
“洗剤による滑りに気をつける”
だけ。それさえ意識しときゃ、あとはなんとかなる!というのが俺の持論。
後は数を熟しゃ、大丈夫だと思う。
そんなこんなで皿洗いも終わったし、俺と獅子神さん、そして、凜はともかく当たり前だろ!なんて感じで、完全にソファで寛いでる美雪先輩。リリナさんは…………………
「お洗濯済みました!」
うおぃぃ!?!?!?俺の下着干してる!
「ちょ、下着も!?」
「え?たかが布きれじゃないですか」
「…………」
価値感の違いってやつだろうな…………俺の精神力は減ったが、この人には関係ないんだろ。
「パンツだろうが靴下だろうが、侍従たる私には、全く関係ないのです!ユキも、気にする必要はありませんよ」
「はぁ………」
「ちなみにですが……美雪、ユキの下着が干してありますよ」
「なにぃっ!?!?どこだ、お宝どこだぁぁぁあっ!!」
「やめんか変態!!!!」
お宝って……………俺でよかったな美雪先輩。他人なら、即刑務所行きだ。
⇒
「んじゃ、アタシはそろそろ帰るよ!」
「けーれ(帰れ)けーれ!!」
「ほんっと腹立つな!まぁいい、じゃな、相澤!!」
「ゴチでした〜!またいつでも来て下さいね」
夜も8時になりかけた頃、獅子神さん退場(帰った)。が、相変わらず………
「ユキ、一緒に寝よ〜」
「お布団は並べてあります」
この姉妹は全く帰る気がない。
「つか、親が心配しますよ」
「ん?あぁ心配いらん。他のメイドには給金を渡して休暇扱いにしてあるし、父様は今、ヨーロッパのルーマニアにいる。もっとも、逐一ユキの事は話してあるし、父様も帰国後に是非、未来の娘婿に会いたいとおっしゃっていた!」
………牙城が外堀からどんどん埋め立てられてる。
もう綾館家の人間には、相澤由希は“未来の婿”で浸透しているらしい。
先(未来)が怖い!!!!
「まぁそういう事だから、一緒に寝ようじゃないか!」
「何がどう“そういう事”に繋がってるかがわからない!」
「一晩を共に過ごした仲じゃないか!何を今更恥ずかしいのだ!!」
「同じ“屋根の下”ってだけで、一緒に寝た事は無いっ!!!!」
誰か暴走してる変態さんをとめてえぇぇぇっ!!!!!!