04:不法侵入変態さん
「なんであんたがいるんだあぁぁぁあっっっ!!!!」
叫んだね、近所迷惑顧みず。だって家は鍵が閉まってたし、妹学校だし、変態いるし。
「なんでって、ユキに会いたいからに決まっているじゃないか!!」
「不法侵入だろ!警察呼ぶぞ!!」
「まぁ落ち着け、私は不法侵入などしてはいない。2階の窓が、偶然にも開いていたから、堂々と入ったのだ!!」
「世間じゃそれを不法侵入って言うんだ!!!!」
ダメだ、常識が通じねぇ………
「まぁ立ち話もなんだし、上がりたまえ!」
「俺ん家だバカやろう!!!!!!」
◇
本気で警察呼ぼうと考えたのだが、これ以上の近所迷惑はゴメンだ。とりあえず俺が変態の犠牲になれば済むはず………めっちゃ嫌だけど。
「つか、マジで何しに来たんすか?」
「何ってナニしに来「帰れ!!!!」
下ネタ言うな!
「そう邪険にしなくてもいいじゃないか。一割冗談だ」
「九割本気じゃねえかっ!!!!」
「まあまあ、とりあえずユキの住んでいる所を見たかったというのが、三割ある。残りの七割がナニし「言わせねぇよっ!!!!」
某お笑い芸人並に突っ込んだ!結局下ネタ関係じゃねえか!!
「それはさておき、ユキに会いたかったというのは本当の事だ」
ふふっと小さく笑った先輩がとても綺麗で、思わずドキッとした俺。
「とりあえずユキの顔を見て、改めて私はユキに惚れていると実感したよ。さて、残す課題はあと一つ!ユキ、私にお前の子供を産m「やっぱり目的はそれかよ!!さりげなく服を脱ごうとするな!!!!」
一瞬でもドキッとした胸の高鳴りを返せ!!!!
「今時出来婚など珍しくもない!既成事実さえ作ればこっちの「させねえ!全力でさせねえ!!!!」
「ただいま〜……」
……あ……
服を脱ごうとしている変態を阻止すべく、俺は変態の腕を掴んでいるわけで………そんな時、タイミング悪く我がマイシスター(妹)が帰ってきたわけで………………
「ち、違うんだ凜!俺は服を脱ごうとしてる先輩を止めるているだけ……」
「地獄に堕ちろバカ兄貴がぁぁあっっっ!!!!」
「ぶっふおぉぁっ!!!!」
相澤凜、空手部期待のエースである………
「事情はよくわかった。つまり、この女性はユキの学校の先輩であり、婚約者という関係なのね」
「実に理解力のある義妹さんだな!」
「全然わかってねぇ!!“義妹”言うなっ!!!!」
相澤凜、武・知は良くても理解力に乏しいマイシスター。
さて、なんとか事情は理解(出来たのか?)したマイシスター凜の一言で、俺は帰って早々に家を追い出された。
「お腹が空いた。ユキ、今日はオムライスとポテトサラダ、デザートにはプリンが食べたいわ………ああ、もちろん手作りのね」
相澤凜、有無を言わせぬ口調と含みの笑みを浮かべる、我が家の女帝……。
で、今はご近所のスーパーマーケットにいる。
「ほう!ここがスーパーマーケットというのか!!」
「騒がないで下さいそして何故居る?」
店内である。さも当然とばかりに俺の隣にいる自称“婚約者”にツッコむ俺の声のボリュームも低い。
つか、スーパー初体験ってどんだけ金持ちなんだよ。あ〜やだやだ、金持ちの言葉って嫌味にしか聞こえねぇ。
「え〜と、卵とネギと牛乳と……」
メモ紙片手に材料吟味。卵はこっち、ネギは……ってかキョロキョロするなキョロキョロ。
「ユキ、蟹がいるぞ!お、こっちには海老だ!!」
「まあ鮮魚コーナーっすから」
「ふむ、スーパーとはすごいな!一カ所で肉・野菜・魚介、なんでも揃っている!!」
むしろ普通じゃねえか?
「先輩って、料理とかしないんすか?」
「ふむ……あいにくだが、家庭科の調理実習でしか料理をした事がない。家でもメイドに任せきりだ。というか、普通は家にメイドがいるだろう?ユキの家にいないのが不思議なくらいだぞ!」
普通はいねぇよっ!!!!ほんっと腹立つなコイツ。
「な、なんだ?なぜ睨むんだ!?」
「べえっつにぃ……金持ちはいいなぁって思っただけっすよ」
「まぁたしかに、私の家は金持ちだが」
嫌味が通じねぇ……つか、うちだってそこそこの収入があるし、それなりの生活だろうが、メイドなんて必要ない。そもそもお金は親が働いて稼いだ金だから、お小遣や生活費に、あまり無駄をかけたくはない。
家事だって、やがて一人で生活するうえで必要な事、今じゃそれなりに主夫である。
「普通の家では、メイドはいないのか?」
「いねぇよ」
「そ、そうなのか……」
「けど、俺がそう言ったからって、今、先輩の家で働いてるメイドをクビにするなんて事はしないで下さい。メイドだって、その仕事でお金を貰ってるんだろうし、いきなりクビじゃ、その人も路頭に迷う事になるんすから」
あえて釘を刺しておく。他人の言葉を真に受けるような人じゃないとは思うが、まぁ、ねぇ……他人の言葉を信じやすい人なんだよ、この人は。
「ああ、しかと承知した!」
なんで言葉遣いが武士っぽいんだよ。