25:嫉妬してます変態さん
早朝の一件(獅子神さんの事)で、今日の美雪先輩のアピール度ならびに愚痴・説教・密着度が、いつもより倍増しだ。
「私はユキ好みのスタイルを維持しているし、胸だって…………見るか?」
「見ねーよ」
「では私の胸「だから見ねーよっ!!」
ますますリリナさんが変態化してゆく………あぁ、もう。
「だいたいユキが悪い!あんなどこの馬の骨ともわからんような女を家に招くなど!!」
「……じゃあ、怪我して道端で倒れている人をほっとけと?」
「うっ……だ、第一、あの服はなんだ!特攻服というヤツだろう!?不良じゃないかっ!!」
「獅子神さんは悪い人じゃないですよ」
「ユキは人が良すぎるのだ!!」
なんやかんやと喚く美雪先輩。ま、人が良いと言われるのは、想定の範囲内だが。
「その人の良い俺ん家に、勝手に不法侵入するような美雪先輩には言われたくないですね」
「む、むぅ……」
リリナ先輩は悪くねぇよ。勝手じゃあるが、料理作ってくれるし。問題は一利も無い美雪先輩だ。
「ともかく!見知らぬ女を家に泊めたりするのは許さんっ!!」
有無を言わせぬ口調でそう言う美雪先輩。
なんか言い返そうとした俺を察してか、リリナ先輩は美雪先輩が俺から顔を背けた時、小声で―――
「ヤキモチを妬いてるのですよ」
と言った。勘弁してくれ、俺は彼女でもない美雪先輩から、なんで嫉妬されなきゃいけねえんだ。
⇒
「ま、そりゃ相澤が悪いよ」
「なんで?」
「だって、考えてもみなよ!綾館先輩の相澤大好き!!っぷりは、今じゃ学校公認じゃない!」
「公認した覚えは無ぇけどな」
教室に入り、隣席の如月に今朝の出来事を話している最中である。俺の気持ちを理解してくれるだろうと思っていたんだが、どうやら舞ちゃん(って本人に言ったら殴られる)は“美雪先輩”側らしい。
「見ず知らずの女の人が相澤ん家に居た、ってなったら、そりゃ美雪先輩も焦るだろうし、下手な勘繰りだってするもんじゃないの?」
「そんなもんか?」
「そんなもんよ」
やれやれ、女心はよくわからん。
⇒
昼休みである。綾館姉妹を含めたいつものメンバーで昼食中、今朝の一連の出来事から話が派生し、話題は“好きな異性のタイプは?”へ。
「タイプ?愚問だな、私のタイプはユキに決まっている!!」
美雪先輩はいつも通りだな。ま、まぁ嬉しくないわけではないが。
「私は、やはり包容力のある殿方が理想的ですね」
なるほど。リリナさんのタイプは包容力のある人か。ってか、包容力ってなんなのだろうか?
「私は年収が五百万以上で、職業は公務員で、身長は170以上で、優しくてかっこいい男……かな」
容姿はともかく、えらくリアルだな如月……。見ろよ、男連中(俺含む)を。
「「「………」」」
「な、何よっ!?」
リアル過ぎるのはドン引きしちゃうんだよ。
「むにゃ〜……アキ(秋斗)が好き〜……んにゅ〜……」
「っ!?……」
結城は寝言で大胆告白!って、すげぇ動揺してるなアキ(河南秋斗)。
「お、俺は……さ、皐月が、り、りり理想だ……」
うわーお!!河南も大胆ってか、噛みすぎだろ。だいたい、河南と結城は二人でワンセットだし、二人が付き合ったとしても、なんにも変わんねえ。
「俺っ!俺は可愛い女の子なら、誰でもいい!!」
『…………』
毎回思うんだが、誰か大川健一にKYという言葉を教えてやってほしい。俺?こいつに説くような優しさは無えよ。
「さって、湊はタイプの男って、どんな感じだ?」
ある意味、1番謎だらけなメンバーの湊奏。寡黙であんまり喋らないから、プライベートは全くの皆無。
「………男に興味ない」
……………………
……………
………
は?
「……理想は、可愛くて身長の低い妹みたいな女の子……」
……踏み込めねぇ!!こ、これって俗に言う―――
百合かぁ!!
おかげ様で、お気に入り30件を突破致しました!!
PVも2万を突破し、嬉しい限りです。よろしければ、感想・評価もお願いします。