24:襲撃!困惑?変態さんと獅子神さん
「な、誰だお前はあぁぁぁぁっっ!?!??」
朝、耳をつんざくような“誰か”の大声で目が覚めた。時計は午前4時を過ぎたばかり、起きるにはあまりに早過ぎるが、我が家で起きているであろう現状を確認するには、ベッドから出て、声の聞こえた方向へと足を向けるしかない。
んで、足を向けた先はリビング。するとそこには…………
「あ、ユキ!誰だこの女はっ!!」
「この女だと?てめぇこそ誰なんだよ!?」
あ、忘れてた。そいや昨日、獅子神さんを家に泊めたんだったっけ。
………それはそうとして、綾館姉妹よ、やけに今日は来るのが早いな、そしてどっから侵入した?
「ユキ「相澤!」」
なんでハモる。
「「こいつは誰だっっ!!??」」
なんか似てんな、二人とも………
◇
「はぁ………先ずはこちらから、俺の高校の先輩で、綾館美雪さん、そして勝手に台所で料理を作っているのが、美雪先輩のお姉さんの、リリナさんです」
「……よろしく」
なぜ反抗的な目をしてるんだ先輩。
「で、こちらが昨日知り合った、獅子神紗姫さん」
「………どーも」
だから、なぜ反抗的な目をしてる?そしてなぜ睨んでんだ!?
「ユキ、私は納得出来ん!なぜこの女はユキの服を着てるんだっ!?」
「しゃーねーだろ!替えの服を準備してコンビニに行くバカなんていねーよ!!だいたい、こんな朝早くから人ん家に来るなんて非常識だろがっ!!」
「なんだとっ!?」
「んだコラ!?」
売り言葉に買い言葉。手が出てない事(乱闘)自体が、不思議だ。
ただ、一触即発って感じではあるが………あんまり騒がないでほしい。まだ日も昇ってないし、妹が心配だし………
「あの「先輩って立場を利用して図々しいんじゃねーか?これじゃ相澤が迷惑してんのが目に見える」
「騒がな「図々しいのはそっちだろが!昨日知り合ったばかりでいきなり泊まり!?常識知らずが!!」
「ちょっ、マジで騒がな「「ユキ」相澤は引っ込んでろ!」て!」
……ブチッ……
「黙れボケ共がぁっ!さっきから騒がしいっつってんだろうがっ!!こっちは寝足りない上に妹がキレないか冷や冷やしてんだ!近所迷惑も考えろ!!!!」
「「…ごめんなさい」」
ったく、ちったぁこっちの身にもなれ―――
「お前が1番うるさいんじゃボケユキがぁっ!!!!」
ドフッ!!(背後から脇腹を蹴られる音)
荒神(凜)様、降臨。
「「ヒィッ!!」」
般若顔負けの形相で俺の脇腹を遠慮無しに蹴った凜に、美雪先輩・獅子神さんの両名は恐怖で顔を引き攣らせる。
「あら、みなさんどうなされましたか?」
料理を片手に、リリナさんはマイペースを崩さなかった。どんだけ料理に集中してんだよ…………
◇
ま、何となく恐怖から蟠りも落ち着いた綾館妹・獅子神の両名は、対面に座る。俺の隣に座った獅子神さんに、美雪先輩が睨みを利かせているのは気のせい…………だと思いたい。
本日リリナ先輩が用意したのは、焼きたての自家製食パンと、契約農家から貰ったという有性卵のスクランブルエッグ、そして無農薬栽培のイチゴから作ったというジャムに、出来てから1時間と経過してない手作りバター、そして青野菜のサラダ。
最近、ホントにリリナさんに朝食を作ってもらってばっかだなぁ俺。
しかしパンを焼いてくるなんて、どんだけすげえんだリリナ先輩!
と、全て金では買えないような、とても美味しくて体にも優しい朝食を堪能した一同。
「ごちそうさま!」
「ごちそうさまでした」
「美味しかったです、リリナ先輩」
「美味しかった!ごちそうさま!!」
「お粗末様です!」
リリナ先輩、毎度謙遜しているが敢えて言わせてほしい。
お粗末なんかじゃない!!
⇒
「さあて、夜も明けたし、アタシは帰るよ。相澤、ありがとな!この服、洗って返しに来るから」
「またいつでも来て下さい。基本的に、夜は家にいますから」
一言二言を交わし、獅子神さんは家に帰っていった。………っと、そういや綾館姉妹はなぜこんなにも朝早くから我が家に来たんだろうか?
「んむ、実はだな、まだ夜も明けきれぬ内にユキの部屋に侵入し、添い寝して既成事実を作ろうと思ったのだ!それに、今日はノーブラだぞ!!興奮するだろう?せっかくだ、見るか?」
「見ねーよ!シャツ捲るな!!」
「あら、じゃあ私の方を見てみますか?」
「だから見ねーよ!シャツ捲るなド変態姉妹があっ!!!!」
ああもう!収拾つかねぇ………しかもリリナ先輩が、完全に変態先輩に毒された!!
やべぇ………変態先輩が二人に増えた。一人でも手をやいてるっつーのに!!!!