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21:変態さんに入れ知恵をしないで下さい

新キャラなんですが、今後の登場は無い…………かも

「だいたいユキはおかしいっ!容姿端麗・成績優秀・スポーツ万能・性格◎の、才色兼備な私を拒むなんて、どうかしてる!!」


普通、そういう事は自分じゃ言わねぇ。どんだけ自信過剰なんだか………。それにどっちかってーと、先輩は“美少女”というよりも“美人”だと思うが。


ギャーギャーと自分アピールをする変態………もとい美雪先輩に、うんざり気味の俺。


「美雪っ!いつまでも休憩してんじゃないわよっ!!ほら、さっさと来なさいっ!!!!」

「ひひゃい!ひひゃい!!ヒュキ、ヘリュプミー!!」


ああ、なんという天の声。怒声とともに美雪先輩の背後に現れたのは、弓道部副部長の井芹桜花いせり・おうか先輩。

勉強成績は謎だが、運動成績は学校一といわれる“スポーツ美少女”。

普段は可愛い顔の井芹先輩だけど、今回は鬼の形相と言わんばかりの表情である。おっそろしく怖えぇ!!


頬っぺたを抓られながら必死に抵抗する美雪先輩だが、ズルズルと引っ張られて弓道場に連れてかれた。


「………あ!美雪〜!!」


突然の事だったから、リリナ先輩も呆気にとられてたんだな。我に返って、慌てて追っかけてった。


はぁ……やっとこさ、解放された。











毎度の大川バカのうざい絡みに耐え、現国・数学・保体・現社の午前授業を済ませ、やってきた昼食兼休み時間。いつも通りのメンバーで昼食を摂りながら、いつも通りに談笑。


「……ところで、なんで今日は綾館姉妹の他に、井芹先輩も混ざってるんすかね?」


経験上、綾館姉妹が後輩たる俺達メンバーの中に混ざるのは、わからないでもない。むしろ想定の範囲内。しかし、今回は想定外の生徒が混ざってる。

先刻(朝)に述べた、井芹桜花先輩である。


「うん?いや〜美雪のハートを射止めた相澤由希君がどんな人か、見てみたくなったのよ」


井芹先輩、本人は射止めたつもり無いです。


「ならば井芹先輩、俺が井芹先輩のハートを射止めてみせましょう!!」


健一(大川)、毎度の事ながら、その自信はどっから来るんだ?見ろ、周りの(俺含めた)視線を。


「ん?キミ、面白い事を言うね〜?どうやって私を口説くのかな?」


おぉ!意外にも井芹先輩が健一にノッてきた。気さくな人だなぁ。


「では………井芹先輩、俺と愛の逃避行してみませんか!?」


……あれ?なんかどっかで聞いた台詞じゃねぇか?


「う〜〜〜ん………心に響かないなぁ。ユーモアもセンスもダメダメ。及第点は、あげらんないね」

「そ、そんな……」


みんなが“だろうな”的な言葉を口にしたり表情に出したりする中、意外な人物がフォローを入れた。


「わ、私は中々良かったと思うぞっ!」


美雪先輩である。なんで先輩が健一なんぞにフォローを入れたのか………俺はその理由を知っている。というか、思い出した。


朝、先輩からの記念すべき250回目の告白の台詞が、まるっきりこんな感じだったな。

つまり、この健一の“告白”にダメ出しされるという事は、美雪先輩もダメ出しされてるって事になるわけだ。


「え〜〜〜、“愛の逃避行”とか、今時使わないよ?」

「「うっ………」」

「それに捻りを入れるんなら“一緒に愛を探しませんか?”的な、大袈裟過ぎるくらいのほうがいいと思うんだけど?」

「「あぅ……」」

「中途半端なんだよねぇ………逃避行って、逃げるわけじゃん?意味不明だし、それくらいならむしろ「好きです!恋人になって下さい!!」って、ストレートに伝えた方が、相手も思わずドキッってするんじゃないのかな?」

「「……………」」


健一も美雪先輩も、言葉も無いって感じだな。

まあ井芹先輩が言わんとする事はよくわかる。


「例えば………うん、そうだね。相澤くん、キミが好き。私とお付き合いしてくれないかな?」

「うぉぅっ!?!?いきなし俺かっ?ってか演技っすよね!?」

「そうだよ。どうかな、私の告白は?」


不意打ちされるのは嫌いだけど、やっぱしストレートな告白ってのは、誰であれ嬉しいな。不覚にもドキッとしたよ。


「ユ、ユキは渡さん!!」

「だから見本なんだって。それともう一つ、これは少し変化球でやってみるよ。………相澤くん、私と遊園地デートしてくれないかな?なんだか、妙にキミの事が頭から離れないんだ」

「あ〜〜、確かに“愛の逃避行”よりもはるかに良いですね。受けたこっちももしかして、俺の事が好きなんじゃ?って気になりますし」


俺としては、ストレートに告白をしたいしされたいが、変化球の告白ってのも、意外と有りだな。


「ユキは渡さん!!」

「だからぁ、あくまでも参考なんだってば!」


呆れ顔の井芹先輩。俺とて、“参考”で好きにはならねぇよ。美雪先輩、K(空気)Y(読め)。


「さってと、参考になったかな?」

「うむ、実に有意義だった!」

「勉強になりました!俺の持てる知識と参考を元に、今度、もう一度告白させて下さい!!」


健一はめげないなぁ。つか、これはひょっとしなくても美雪先輩に入れ知恵する結果になっちまったんじゃねぇか?


「アッハハハ!おおしまくんだっけ?いつでもいいよ、頑張って私をときめかせるような告白を考えてみてね〜〜〜」


大川なんだけどな、まぁどっちだっていいか。だって健一だしな。

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