18:服を買いましょ!
短めです。
午後2時。突然お袋様が
「あなた、久々にデートしましょう!」
と、親父を連れて出て行った。
我が両親は結婚17年目でありながら、いまだにラブラブである。仲が良いのはわかるが、それを見せつけられる俺にとっちゃ、胸やけものである。
「ユキのご両親は仲が良いな」
「……帰ってくるたびに見せつけられるんすよ」
「とても良い事ですよ、羨ましいくらいです」
ま、他人はそう言うわな。俺はおろか、凜ですらたまにイラッとするけど。
「私とユキも、きっとあんな感じ………」
あー聞こえない聞こえない!
◇
日曜だから、家に篭ってるのはいかん!どこか行くぞっ!!
てな具合の先輩に連れ出され、俺と美雪先輩とリリナ(メイド)の3人は、電車を使って市街地中央部のセンター街に来た。
「……で、何するんすか?」
「うむ、よくぞ聞いてくれたユキ!」
いや、聞かなきゃ話にならんし!
「実は姉様の事でな」
「私?」
「うむ。姉様は侍従服と制服しか持ってないからな。この際、色々と服を買い揃えたい!」
あ〜………ま、まぁわからなくもない。実際、今もメイド服(黒地に白フリ)姿だから、人目を引く引く!!絶賛注目の的だ。
「え?でも、私はこの方が落ち着くのですが……」
「姉様、その姿で街を歩いているのは、メイド喫茶の従業員とコスプレ好きな人くらいですよ」
あ、美雪先輩がまともな事言ってる!
「ね、姉様はきっと色んな格好をしても似合うはずだし、それに、お、お揃いの服とかを来て、一緒に遊んだりし、したい!!」
「……美雪……」
端から見れば、なんと美しい姉妹愛………なんだろうが、俺が来た(連れて来られた)意味なくね!?完全に蚊帳の外っぽくね!?
「わかった!美雪の言う通りね。私も、二人でお買い物したり、遊んだりしたい……」
「姉様……」
「美雪……」
帰ろっかな………
「んじゃ、俺はそろそ「そこでユキの出番だ!!」
どうやら、帰らせてはくれないらしい……。
「ユキ、私と姉様の服を見立ててくれないか?」
「……はぁ!?」
「見ての通り、私も普段から着るような服はコレくらいのものだ。そこで、ユキの好きそうな服とか、私達に似合いそうな服を選んでほしい!」
遅ればせな説明だが、美雪先輩の格好は制服姿だ。紺地に白線の、苓桜高校女子指定制服。
もっとも、美雪先輩の私服姿とか見た事はないが。
だからといって、俺が女の子の服を選ぶというのは、どうかと思う。
「なに、ユキが似合うと思った服で良いんだ!深く考える必要なんてない」
「私も、ユキに選んでほしいです」
そこまで言われたら……ねぇ。断る理由も無い。
なら、精一杯選んでみますか………。
◆
「あり?相澤じゃん!何やってんの?」
「うおっ!?なんでお前がここにいんだよ!!」
再会っつーのは、突然にやって来るもんだ。けど、今回ばかりは………この再会を嬉しくは思えなかった―――