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13:帰宅しました

今度は短めです

遊園地を出て、再び周回バスで最寄り駅ヘ。すっかり日は傾いて、闇が空を支配しつつある。そんな中、俺と先輩はこれといった会話も無く、電車を待つ。


「………」

「………」


黙っている俺と先輩だが、ぎこちないという事も気まずいという雰囲気も無い。あるのは、心地良い疲れと先輩の嬉しそうな笑みから感じる安堵感。


『友達になってくれないか?』


そんな事を口にした先輩は、おそらく不安だったんだろうが、俺にしてみれば『何を今更』という感じであった。


改札を抜け、やってきた電車に乗り込む。休日の、しかも夜前という事もあって人も多く、必然的に俺と先輩の座る席は無かった。

吊り革に揺られながら、5駅先の最寄り駅までおよそ15分くらいだが、俺達が乗った駅の次、そこで多くの人が乗り込んで来た為に、電車内はぎゅうぎゅう。何とか人込みに潰されまいと踏ん張りながら先輩を見れば、俺の腕と座席の間にできた隙間にスッポリと入っている。


「大丈夫か?」

「……大丈夫っすよ」


背後からの圧迫に耐えながら、何とか先輩が安心出来るくらいの隙間をキープする。

この場合、たとえ先輩でなくても女の子であれば、俺はそうしている。

また、もう一つ理由があった。

俺が腕の力を緩めれば、必然的に先輩と密着するだろう。となれば、先輩はこれ幸いとばかりに、この事を誇大して、メイドや我が妹、はては学校中に言い触らし、既成事実とやらを作るであろう………。


今、俺の周りに味方は皆無。ならばなんとしても、それだけは阻止せねばいけない。

俺の意地である……。











「……チッ」

「いきなり舌打ち!?」


案の定だった。結局、俺はなんとか踏ん張って、背後からの圧迫と先輩からのプレッシャーに勝った。

しかし、先輩は先輩だったわけで………礼を言うどころか舌打ちしやがった。


「ユキのせいで“ドキドキ密着作戦!〜これで既成事実はもらったわ♪〜”計画が台なしじゃないかっ!!!!」

「やっぱそんな事を考えてたんだな!」


観覧車での“先輩って意外と可愛いって感じだなぁ”と思った俺のトキメキ返せっ!!!!


その後、終始不機嫌な先輩は頬を膨らまし、抗議の視線で何か訴えているようだが無視!して、妹が待つ(待ってるのか?)家ヘと辿り着いた。


「ただいま」

「ん」

「おかえりなさいませユキ様、美雪様………些かお早くありませんか?」


「ん」な妹に、半ば驚いたようなリリナ(メイド)。つか、早いってなんだよ………


「普通デートの後というのは、この後どうする?帰る?それともホテ「行かねぇし!つか付き合ってねぇし恋人じゃないし!!」


ダメイドが。主人の影響受けすぎだ!


「そうか!その手があったのか………」

「関心すんな!!」


ほら見ろ!変輩(編隊先輩)が要らん知恵付けたじゃねぇかっ!!

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