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10:休日ですよ!変態さん

土曜日である。学校はない。こんな時はゆとり教育バンザイ!!って思う。


だが、主夫たる俺に休みなんてない。規則正しい生活を送る俺に二度寝なんて習慣はなく、起きて着替えて即洗濯。現時刻は午前7時、洗濯機を稼動させている間に、自室・居間・台所・廊下・風呂場の順に、掃除。毎日ではないものの、二日に一度のペースで掃除はしている(風呂・トイレは毎日だが)から、そこまで汚くはない。全部の掃除行程を済ませるのにたいした時間はかからず、ピーッピーッピーッ!って洗濯が終了した音で、今度は洗濯物を干す。

この間に占める時間は、開始から1時間ちょっと。未だ起きない妹にやや呆れつつも、今度は朝食作りに手を伸ばす………。


ピーンポーン!


「はいはい!っと……」


来客を告げるインターホンが鳴る。まだ朝の8時過ぎ、宅配便にしては早過ぎるだろうし、バカ(健一)や如月、まして河南と遊ぶ約束をした覚えもない。


ピーンポーン!

宅配便でーす!!


なんと、こんなに朝早くから宅配便だ。だが、なんとなーく声に聞き覚えが………


「すみません、お待たせしました」

「いえいえ、こちら相澤由希様宛てのお荷物を持って参りました!」


まだ若い女性の声。見た目は完全にクロ〇コ〇マトの服装だが、帽子を目深に被っている辺り、みょうにおかしい。

しかも荷物が………デカイ!!大人が一人くらいは収まりそうな段ボールである。差出人不明というのが非常に気になる所だが、それ以上に気になるのが、伝票に書かれた「生物」の文字である。


「こちらにサインと捺印をお願いします!」

「はいはいっと………あれ?」


ちょい待て。普通はサインもしくはハンコのどちらかだよな?両方って………………………あ、ああっ!!


「これは婚姻届の紙じゃねーかっ!!まさかっ!?」

「チッ!」


舌打ちすんな!ってかメイドじゃねーか!!するとこの箱の中身はっ!?!!


バリッ!?ビリッ!!ボコッ!バリバリバリッ!!!!


「グッモーニン、マイスウィートダーリン!!」

「やっぱりあんたか変態女ぁっっ!!」


段ボールを突き破ってのご登場。言わずもがな、変態先輩である。


「ふっふっふ!今日は宅配便の荷物と見せかけての婚姻届にサイン作戦!これで既成事実はできたも同然だっ!!」


タイトルがまんまな作戦だなオイ。


「流石のユキとて、既成事実が成立した以上、もはやあがく術も………」

「美雪様、美雪様!!」

「どうしたリリナ?」

「……サインも捺印も戴いておりません」

「……………………………………………………………………………何ぃぃっっ!!!!」


ざまみろ変態。


「くっ!寝ずに考えた作戦が……」


寝ずに考えたのか……。


「仕方ない、今はユキの恋人という関係に甘んじ「恋人違う!」


ったく。っと、あれ?メイドがいねぇ……


「美雪様、ユキ様、朝食の準備が整いました!」


あ、いつの間にか家ん中に入り込んでやがる!俺ん家なのに。でも、まぁメイドの飯は美味いかんなぁ。

それにしても……


「呼び方、少し変わったっすね」

「うむ。未だに様を付けるが、名前を呼んでくれるだけ、前に進めたと思う。ありがとうな、ユキ!!」

「……礼を言われるほどの事はしてませんよ」


少しづつ、少しづつ……先輩とリリナさんの間に変化が訪れている。今は些細な事かもしれないが、きっと二人は、互いを姉と慕い、妹と慕うのだろう……。


「ユキ、何をボーッとしてるんだ?早く来い!」

「はいはい。つか、俺ん家なんすけどね」


こうやって、俺を手招きする先輩の姿は、綺麗で、魅力的で、美しい……。だからかつて、俺はこの先輩に惹かれ、恋をした。


「もちろん、デザートはこのわ・た・し・よ(ハート)」


こんな事を言わなけりゃなぁ………

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