圧倒的最強の異世界転生
『異世界転生にあたり、ひとつだけ願いを叶えましょう』
光に包まれながら、俺は迷わず言った。
「今まで遊んだゲームで、一番強い自キャラになりたいです」
廃課金で育て上げた様々なMMOのキャラ達。どれでも魔法も剣も思いのまま。
あの力があれば、どんな異世界でも無双できるはず。
『かしこまりました』
神はにこやかに頷いた。
――そしてなぜか、俺は山にいた。
『変わった人ですね。まずは修行です』
「いや魔法は!?」
返事はない。渡されたのは、道着とやたら重い石だった。
それからしばらくして……。
「だーりゃりゃりゃりゃりゃ!!」
俺の拳がドラゴンの顔面にめり込む。
巨体が吹き飛び、木々を薙ぎ倒しながら転がる。
瞬時に背後へ回り込む。跳ぶ。叩き上げる。
空中に浮いたドラゴンへ、両手を腰だめに構え――
「波ああぁぁ!!」
光が弾け、すべてを呑み込んだ。
なお、魔王はすでにいない。
転生直後、試し撃ちの「波ああぁぁ!」で消し飛んでいた。
「……あの」
空に向かって問いかける。
「俺、魔法とか……詠唱とか……そういうの期待してたんですけど」
『はい』
「なんでこうなったんです?」
少し間があって、神の声が返ってきた。
『圧倒的に最強でしたので』
「…………あー……」
数時間だけ遊んだ、宇宙規模なゲームを思い出す。
『星は破壊しないでくださいね』
拳を握る。気を練る。撃てば、大抵のものは消える。
強い。文句なしに強い。
でも――
「もっとワクワクする強えぇ奴はいねぇのかな……」
ちゃんと殴り合える敵、募集中です。




