第40話③ アンカールドの未来と、俺たちの今と(後編)
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「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第40話③です。
いよいよ、第2章も終幕となります。
ラック達の今後は、そしてこの世界に蠢く影の影響力を持つ者の正体とは。
どうぞお読みください。
目を覚ましたら、俺は冒険者の酒場の中にいた。
「おい、兄貴が目を覚ましたぞ! ヴェネッツの英雄、ラックパイセンにカンパーイ!」
「兄貴! コンブーメのみならず、アークラーツ家までやっちまうなんて、あんた最高だよ」
「一生ついて行きやすぜ、兄貴!」
訳が分からないまま周りを見ると、テーブルにはいつものパーティーメンバーに加えて、リッキーさん、ミッキーの弟を抱えた奥さん、そしてミッキーが座っていた。
「フフッ。ようやく起きたようだねぇ。毎回、すごいことをした後に寝てしまうんだよねぇ、まるでかわいい子猫ちゃんだよ、君は」
「ほんとに、何で毎回寝ちゃうの? でも、今回はほんとにすっきりした。ミッキーも救えたし、魔族にも食糧が渡ったし。ラックといると、もっとこの世界をよくできそう」
マジョとプリンが、両脇から言いたいことを言ってくる。
「ふぁ~あ。おい、寝るぐらいいいだろ。俺、今回結構すごいことをやった気がするし」
「戦った後の肉はうまいだぁ~」
パワーは相変わらずうまそうに肉を頬張っている。
すると、目の前にいたリッキーさん一家が、立ち上がって深々と礼をした
「ラック君、いやラックさん、今回のことは本当に、ありがとうございました」
「やめてくださいよリッキーさん。俺はただ、ミッキーを、友達を助けたかったってだけですから。それに、俺のパーティーでは、困った人がいたら助けるって決めてますんで。当たり前のことしただけですよ」
リッキーさんは首を振る。
「いや、君にはどうやって恩を返せばいいか分からない。しかし、この恩を返さなければ、貴族の名が廃る。君は何が望みだい? 私のできる限り、何でもかなえよう」
望み、かぁ。金もあるし、周りにかわいい子もいるし、兄弟たちもいるし、特に今ないんだよなぁ。
ガタン、とミッキーが立ち上がる。顔を真っ赤にし、決意を秘めた表情だ。
「私、ラック達に何てお礼をいいっていいか分からない。でも、私には何にもお返しできない。だから、約束どおり、ラックと、その、結婚する。ラック、私じゃ足りないかもだけど、それでいい?」
聞いた瞬間、俺の顔も真っ赤になった。これじゃ、公開プロポーズじゃねーか。
「どうするんだい、マウスちゃん」「どうするの? ラック」
マジョとプリンがジトッとした目で見てくる。
おいおいどーすりゃいいんだよ。
でも、最初から決めてただろ。
「……俺は、ミッキーにスタードにいてほしいんだ。いや、俺だけじゃない。パーティーのみんなも、スタードのみんなも、ミッキーにスタードにいてほしいんだ。だって、俺みたいにミッキーに助けられた奴いっぱいいるし、それに、ミッキーはスタードの太陽だからな。いてくれなくちゃ困るんだよ。それじゃダメかい?」
「ウッ、うう~~」
ミッキーは大粒の涙を流している。
それがうれし涙なのか、結婚をやんわり断られた悲しみなのか、俺は分からなかった。
「その、誰と結婚、とかは、今はまだ頭にないんだよ。だってまだ17歳だし。そういうのは、これから、みんなで一緒にゆっくり考える、でどうかな」
ミッキーはずっと泣いている。
「フフッ。まったく、どこまでも罪作りだねぇ、マウスちゃんは。」
「兄貴! 女の子にここまで言わせてそれはないっすよ」
「では、仮の婚約、と言うことで、今後は婿殿と呼ばせてもらいます」
リッキーさんが立ち上がった。
「え、婿殿? いや、それは」
俺がキョドっていると、プリンが素の表情でさらっと言う。
「へぇ~。ラックって、マジョのお父さんからも婿殿って呼ばれてたよね。リッキーさんからも婿殿って呼ばれるんだ。ラックって婚約者何人いるの?」
ちょっと、何てこと言ってくれてんのプリン! 君、そんな嫌味言える子だったっけ?
「いえ、選択する権利は婿殿にありますから。これからスタードで過ごす中で、ゆっくりと考えていただければ。それと、農水都市ユタカーの豪農貴族を代表して、今後もヨネの魔族との交渉を婿殿、あなたに託します。我が家のものだけでなく、ユタカー中のヨネを頼みたい。あと、利益はしっかり取ってくださいね」
最後は笑いながらリッキーさんが言った。
「敬語はやめてくださいよ、リッキーさん。確かに、ヨネの交渉は今後も俺がやった方がいいですけどね。俺は魔王に顔が利くし。利益は、必要経費だけもらうことにしますよ」
更に周りの冒険者や商人がざわつく。
「魔族を相手に商売? 魔王に顔が利く? 兄貴、どんだけすごいんですか!」
「冒険者が魔王を相手に商売? じゃあ、私たち商人はどうしたらいいのか」
すると、酒場にリッチーさんとジェリーさんが入ってきた。
「ラックさん、あなたは本当にすごい。ヴェネッツの問題を解決するどころか、ユタカーの問題も解決して、更には仲の悪かったヴェネッツとユタカーの橋渡しもした。ラックさんが魔王と取引することで、我々ヴェネッツ商人も商売がやりやすくなるというものです。ぜひ、我々と共存していただきたい。ロッキーロード伯爵、両都市の発展のためです。よろしいですか?」
リッキーさんはリッチーさんの提案に深く頷いた。
「ええ。我々ユタカー民も、ヴェネッツなしには農産物を売ることはできない。これまでのことは水に流して、共に豊かになっていきましょう。ユタカー貴族連合にも、私から働きかけると約束しましょう」
リッチーさんとリッキーさんはがっちりと握手を交わす。
そこで、更に酒場に入ってくる姿があった。
こんな汚い(って言ったら失礼だけど)冒険者の酒場には似合わない、立派な身なりの人物と、そのお供だ。
「これはこれは、ゼーンリョー公爵様。どうして、こんな所まで」
リッキーさん、今ゼーンリョー公爵って言ったよな。この人がそうなのか。
てかこの人、よく考えたらさっきの結婚式にいなかったか?
見る限り、普通のおじさんだ。服は立派だけど、貴族っていう偉ぶった様子は全くない。
「リッチー、そんな気を遣わなくていいよ。ロッキーロード伯爵。お初お目にかかります。この地を治めているゼーンリョー公爵と申します」
リッキーさんはさっと立ち上がり、深々と頭を下げた。
「ゼーンリョー伯爵。皆さんが来てくださった結婚式を台無しにしてしまい、お詫びのしようもございません」
ゼーンリョー公爵は頭を横に振る。
「頭をおあげください、伯爵。今回のアークラーツ家の件で、一番責任を負わなければならないのは私なのです。アークラーツ家の悪行に薄々気づいていながら、私は領地経営のことばかり考えて見て見ぬ振りをしていました。お恥ずかしいことです」
この人、なんていい人なんだ。
「いえ、そのようなことは……」
リッキーさんがかばう。リッキーさんもゼーンリョー伯爵はいい人だって言ってたもんな。
ゼーンリョー伯爵は俺の方を向いた。
「ラックさん、あなたのお陰でヴェネッツの問題が解決するだけでなく、多くの地方貴族が救われました。お礼のしようもございません。どうです、アークラーツ家の後を、あなたが貴族になって治めるというのは。これほどの功績をあげたのですから、私が国王に進言すれば今すぐにでも男爵にはできますので」
その発言に、更に周りがザワつく。
「兄貴がヴェネッツの貴族に? そりゃいい。いつでも酒をおごってもらえるぜ」
「ラックさんが貴族になれば、我々商人も、更に商売がしやすくなりますなぁ」
ん? 男爵?
「男爵って、イモのこと?」
「バカ、違うわよ。貴族の位よ。一番下のね」
俺はプリンとどうでもいいことを話した後、ゼーンリョー公爵に向き直った。
「公爵、お話はありがたいんですけど、遠慮しますよ。俺、貴族ってカラじゃないし。冒険が好きですし、パーティーメンバーが好きなんです。それに、ミッキーをスタードに連れて帰るって決めてたんで」
「そうですか。いい案だと思ったのですが……」
ゼーンリョー公爵は少しがっかりした表情だ。
「じゃあ、今日の飲み代おごってくださいよ。できれば、ゼーンリョー公爵も一緒に飲んで、友達になりましょう」
その言葉を聞いて、がっかりしていたゼーンリョー公爵はニコリと笑った。
「わかりました。ラックさんがそれでいいなら、そうしましょう」
俺は野郎どもの方を向いた。
「よおーし、今日は公爵のおごりだ! 野郎ども、朝まで飲むぞ!」
「公爵最高~!」「兄貴ィ~!」
こうして、俺たちは色んなお祝いと称して、朝までたらふく酒を飲んだ。
飲み会の2日後、俺たちはヴェネッツのみんなに見送られながらリッキーさん達と一緒にユタカーに行くことになった。
そのままスタードに帰ろうかとも思ったけど、リッキーさんやミッキーは地元で結婚式を取りやめた残務処理があるらしいのと、俺たちをユタカーのみんなに会わせたいとのことだった。
「それにしても、よく間に合ったね、婿殿。結婚式が1週間早まったのに、どうやったんだい?」
リッキーさんが今更ながら不思議そうに話す。
「ああ~それですか。実は、魔王領から帰ってリッキーさんの家に来たときは、結婚式が明日だって聞いて。どうやっても間に合わないな、って思ってたら、ここにいるマジョが禁断の技、ワープを使ってくれたんです。それで、ぎりぎり間に合いました」
俺は隣にいるマジョの肩をポンと叩く。
「ほんと、無理言ってすまなかったな、マジョ」
「フフッ。滅多に使えないワープを、しかも4人同時にって言われたときにはさすがに驚いたけどねえぇ。マウスちゃん、君の望みは全て叶えると言ったからねぇ。MPのほとんどを使ってしまったよ。お陰でその後の戦闘は散々だったがねぇ」
「なんと、マジョさんのワープだったんですか。本当に、婿殿のパーティーはすごい」
「マジョ、ほんとにありがとう」
「フフッ。私たちはマウスちゃんと共に行くと決めた同志だろう、ミッキー。当然のことさ」
マジョは何てことない顔をしている。こいつは本当にすごい奴だ。
「ワープ、ほんとに怖かったんだから。でも、間に合って良かったよ」
「おらは悪い奴をやっつけたかっただぁ~」
「ありがとう、プリン、パワー」
再び涙ぐむミッキー。
「もう、ありがとうはなしな、ミッキー。俺たちは対等だろ」
「うん!」
ミッキーの気持ちのいい返事を聞いた俺は、リッキーさんの方を向いた。
「そういや、この5億イェン、どうします? アークラーツ家がなくなったから、返す必要なくなっちゃったんですよね。これ、ロッキーロード家のものだと思うんですけど」
俺は目の前に積まれている札束の入った大きな袋を指さしながら言った。
「いやいや、5億をもらうわけにはいかないよ。ヨネの元の値段だけで、後は好きに使って保身だ」
「うーん、じゃあ、こういうのどうです? 今年ムギーが売れなくて困ってる人ユタカーにいそうだし、そういう困っている人に貸し出す、って言うのは。そうすれば、アークラーツみたいな悪人から借りる必要もないですし。リッチーさんに連絡して、管理してもらうようにお願いしてみます」
それを聞いたリッキーさんは、俺の手をがっしり握った。
「君は本当に素晴らしい。ぜひ、家の婿にどうだろう?」
「えっと、それは追々考えるって言ったじゃないですか」
宙に浮いた5億、うまく使えるといいな。
ユタカーに着くと、ものすごい数の人がロッキーロード伯爵領に集まっていた。
「ユタカーの英雄のお帰りだ!」
「ユタカーの英雄ラックさん万歳!」
え、俺ここでも英雄って呼ばれてるんだけど。
「ラック、ヴェネッツだけじゃなくてユタカーの英雄にもなっちゃったね」
プリンにそう言われ、俺は頭をかく。
「いや~、そんなつもりはないんだけどな。俺が楽しく過ごすために、必要なことしただけなんだけど。ま、これも、俺の運のお陰かな」
その後、ロッキーロード家の敷地内で大々的なパーティーが開かれた。
気がつくと、天井が見える。どうやら俺はベッドの上で寝ていたようだ。
正直、昨日のことはシュワーを飲み過ぎてあまり覚えていない。楽しかったな~、ぐらいしかないな。
ふぁあ。
俺はあくびをしながら起き上がり、周りを見た。
ここって、ミッキーの部屋じゃん。
てか、隣にミッキー寝てるじゃん! どういうことだ?
って、俺、何かやらかしてない、よね?
ガチャッ。
「ハッハッハ。マウスちゃん、君も男ということか。いやぁやるねぇ」
「ちょっとラック、昨日どこ行ったかと思ったら、ミッキーのベッドで寝たの? 不潔! サイテー!」
マジョとプリンが言いたい放題言ってくる。
「いや、ちょっと待って。俺昨日のこと覚えてないし。多分だけど、何もないって」
「へぇ。そうかい。じゃあ、早速朝の実験をしようか。これまでで一番強い魔法を受けてもらおう」
いや無理だって。マジで感情で強い魔法使うのやめてくれ。
「おはよう。みんなどうしたの?」
ミッキーが何てことない顔で起きてきたことで、場の緊張が緩む。
「えっと、俺、昨日、何もやってない、よねミッキー」
ミッキーは不思議そうな顔をしている。
「ん? 楽しそうにシュワー飲んで眠たそうだからここで寝てもらっただけだけど?」
「そ、そうなんだ。じゃあ、問題ないや」
ジトーっとしたマジョとプリンの目線が突き刺さるが、俺は見なかったことにする。
そして、俺たちはスタードに変えることになった。
たくさんの人々が手を振ってくれている。
これから俺たちは、冒険者をしながら、ユタカーとヴェネッツ、そして魔族をつなぐ役割を担うことになった。
もちろん、俺たちだけじゃできないから、いろんな人に協力してもらうことになった。
たとえば、俺たちが直接行かなくても、魔族との交易ができるようになった。
これでユタカーの人々はヨネを売って安心して暮らせるだろう。
俺も、ちょっとだけどマージンもらえるから、これでマジで金に困らなくなった。
「じゃあな、ユタカーのみんな。また来るわ。ミッキーはスタードに連れてくんでよろしく」
リッキーさんがこちらを見ている。
「ミッキーはラックさんに任せます。ミッキー、好きなだけ冒険者を続けなさい」
ミッキーのお母さんは満面の笑顔だ。
「ミッキー、辛くなったらいつでも帰ってきていいからね。でもその時は、婿殿も連れて帰るのよ」
ミッキーは顔を真っ赤にしている。
「もう、お母さん」
そして、俺たちはスタードに向けて出発した。
これまでの色んな思い出話をしながら、スタードが久々だってことに改めて気づく。
あの日、ミッキーがいなくなったって分かった日から、俺は、俺たちは走り続けた。
そして、やっと我が家に、スタードに変える。
「それにしても、私たちは金も名誉も手に入ったわけだ。マウスちゃん、次は何を望むんだい?」
マジョの問いに、俺は少し考えてから答える。
「そうだな。一番は、人類と魔族の戦争をやめさせることだ。だから、できれば王都に行って、王と会って話がしたい。でも、それはすぐには無理だから、まずはスタードに、俺たちの館でも建てるか。俺たちが一緒に暮らせる、最高の場所を作ろう」
「それ最高ね。私も賛成!」
「おらも、自分の部屋がほしいだぁ~」
プリンとパワーも賛同してくれた。
「えっと、私もそこに、住んでいいかな?」
俺の隣にいたミッキーが、上目遣いで聞いてくる。
「もちろんだよ。俺たちは仲間だから」
スタードに帰ったら、やることいっぱいあって大変だな。
でも、最弱からスタートした俺が、運の力でここまで来られた。
戦争も、俺の運で何とかなる、という変な確信が湧いてきた。
外は冬の景色で雪がひらひらと舞っている。でも、俺たちの心はずっと温かいままだった。
同じ頃 アンカールド大陸内 某所
男女が2人で建物の奥の部屋にいる。
ここには他の誰も入って来られないし、ここで話していることは決して外に聞こえることはなし。
男は心底楽しそうだ。
「ふふ、本当に面白いね」
女は不思議そうな顔をしている。
「一体そんなに何が面白いの?」
「ああ。以前話しただろう? 面白い冒険者がいるって」
女は興味ないという顔を見せる。
「冒険者? ふーん、私、冒険者なんて興味ないけど」
「まあそう言わないで。覚えているかい? アースから来た運だけ高い最弱の冒険者のことを」
「全く覚えていないけど、それがどうしたの?」
「それがだね、こっちに来てたった3ヶ月で、ヴェネッツとユタカーの危機を救って、今や両地で英雄と呼ばれているらしい。一体誰が、彼がこうなると予想しただろうね」
英雄、という単語を聞いても、女は大して興味を示さない。
「英雄、ねぇ。それってしょせん冒険者の話でしょう? 私たちが話す必要あること?」
男はニヤリと笑った。
「それがだね。ユタカーの貴族の娘を助けるために、その冒険者がとった策は何だと思う?」
「分からないわ」
女はやはり興味がないといった様子だ。
「その冒険者は、直接魔王にユタカーの穀物を売り込んだらしいんだよ。魔王は彼に5億払ったらしい」
それを聞いた瞬間、女の顔色が一気に変わった。
「はぁ? 魔王に売り込む? そんなこと、普通の冒険者にできるわけ……」
「ないと思うだろう? でも、彼はそれをやってのけたんだ。これは十分、我々の脅威に値すると思わないかい」
「そんな、そんな訳……」
女は相当動揺している。
男は女の様子を見て、話題を変えた。
「それにしても、勇者パーティーは無様という他ないね。個人個人があれほどの力を持ちながら、魔王領にすら達することができないなんて。笑えるじゃないか」
「あら、確か勇者は相当強かったはずよ? だって……」
「確かにね。でも、彼は単純すぎる。浅薄なヒロイズムに酔って、何も考えず進んでいるだけだからね。その上、勇者パーティーの行く先行く先で、強力な敵が出現しているしね」
「その敵って、誰かが仕組んだんでしょ?」
女は意地悪そうに笑う。
「ああ。僕の『ブレーン』だね。あいつはよっぽど勇者パーティーのことが嫌いなんだろうさ。お陰で、王は勇者パーティーに失格の烙印を押したようだ」
「でも、勇者パーティーと魔族で消耗し合ってほしいんでしょう? このままじゃ、魔族が食糧に余裕が出て、均衡が崩れるわ。あなた、それは困るんじゃない?」
女の心配を聞いても、男は楽しそうにしている。
「そうだね。じゃあ、こういうのはどうだい? 例の冒険者のパーティーを、新たな勇者パーティーとして王に推薦するよう仕向ける。このままあのパーティーを放って置くと、いずれ僕たちの存在に気づくかも知れない。今は、相手にもならないけどね。でも、これからは分からないよ。何せ、あの男の運は並大抵じゃないからね。まあ、お手並み拝見、といこうか」
最後まで読んでいただきありがとうございました。
第40話③「アンカールドの未来と、俺たちの今と(後編)」でした。いかがだったでしょうか。
この話を持ちまして、この作品の第二章が幕を閉じました。
風呂敷を広げすぎてまとまらなかった第2章でしたが、なんとかなったでしょうか。
ラックは自分の幸運と行動力によって、ヴェネッツとユタカーの英雄になりました。
一方で、この世界のどこかでは、人々が必死に動いているのを影であざ笑っている者達がいます。
その者達は、この世界に一定以上の影響力を持っています。その裏には、真の敵の姿も……。
ぜひ、今までの内容を読んで、話している男女が誰なのか、「真の敵」とは誰なのか、推理してもらえるとありがたいです。
今後はしばらく休みをいただいて、次の章についてまとまったら再開したいと思います。
ここまで、読んでいただいてありがとうございました。今後も、どうぞよろしくお願いします。




