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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
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第37話 悪党に鉄槌を! そして、5億稼ぎに驚きの新天地へ

 ページを開いていただきありがとうございます。


 「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第37話です。


 今回は、ヴェネッツでロッキーロード家をはめた悪徳貴族が登場します。


 そして、5億の借金を返済するためラックが驚きの決断をします。


 一体どんな決断でしょうか。


 よろしくお願いします。

 同じ頃 ラックパーティー



 俺たちは王都から急ぎの馬車でヴェネッツへ向かった。


 もちろん、アークラーツ家について調査するためだ。


 だが、相手はゲッケのような小物じゃない。簡単じゃないはずだ。


 「そのための俺の運だよ」


 「何のこと?」


 プリンが俺の独り言に反応してきた。


 「いや、今回の問題って一筋縄じゃいかないだろ。そんな時こそ、俺の誰にも負けない運が役立つって訳よ」


 「ほんとに? たしかに、ラックの運はすごいけど」


 「フフッ。それが、案外そうなることもあるのだよ。何せ、マウスちゃんは私の妨害魔法を全て1秒以内に解除するほどだからねぇ。他の誰にもできない奇跡すら起こせそうだよ」


 褒められてるんだろうけど、実験の悪夢が蘇って体中がブルブル震えてきた。


 「いや、お前の妨害魔法は1秒でも信じられないくらいエグいんだよ!」


 「フフッ。お褒めにあずかり実に光栄だねぇ」


 「いや全く褒めてねーから」


 そんな会話をしているうちに、ヴェネッツに到着した。




 ベネッツは相変わらず陽気な街だ。音楽とダンスの歌声が聞こえてくる。


 門番はいるけど、もちろん顔パスだよな。


 「よお。久しぶりだな、バン」


 俺は門番のバンに声をかける。


 「あ、ヴェネッツを救った英雄のラックさんじゃないですか! おーいみんな、英雄の凱旋だぞ!」


 「おいバンなに余計なこと言ってんだよ」


 俺の言葉もむなしく、酒場から野郎どもが、商店街からは商人達が大挙押し寄せてきた。


 おいおい、俺はアイドルかなんかかよ。


 「兄貴ぃ~! 待ってましたよ! ささ、酒場で朝まで飲み干しましょう!」


 「いや、今まだ昼だろ。朝までって何時間飲むんだよ」


 「ラックさん、いい儲け話ありますよ~。この後酒場でどうです?」


 「おい、俺を使ってもうけようとしてるだろどうせ」


 少なく見ても50人くらいの男達に囲まれて身動きが全く取れない。


 「パラライズ」


 マジョがそういった瞬間、全員が倒れた。もちろん、俺もな。


 「しょうがないねぇ。君たち、マウスちゃんは私たちのものだよ」


 おいその発言マジで怖いって。


 1秒で立ち上がり、俺は周りで倒れている奴らに言った。


 「俺がヴェネッツに戻ってきたのは、お前達の力を借りたいからだ。今はまだ動けないだろうから、後で酒場で会おう、兄弟」


 「分かりやした兄貴! 待ってますぜ」


 「兄貴ィ!」


 「だからその兄貴ってのやめろって。俺はまだ17歳だからな」


 痺れて横になっている野郎どもはいったんほっといて、俺たちはジェリーの店「買い取りマスター」に向かった。




 「買い取りマスター」の門をくぐる。


 相変わらず、シックだが落ち着きのある上品さがある店だ。


 「よっ。ジェリーはいるか?」


 「あ、ラックさん。お久しぶりです。ジェリーさん、ヴェネッツの英雄ラックさんがいらっしゃいましたよ」


 店員が店の奥に向かって話す。


 すると、しばらく経ってジェリーが出てきた。何故か分からないが、ついでにリッチーも出てきた。


 「お久しぶりです、ラックさん。ようお越しくださいました」


 「ラックさん、お久しぶりですなぁ。で、今日は、どのような要件で?」


 何か、こいつら怪しいな。


 「ふむ。もしかして、君たちは本当に復縁したのかい?」


 そう言うと、ジェリーとリッチーは顔を見合わせて頬を緩めた。


 「ええ。ついこの間、この人がもう1回夫婦になろう言うたんです」


 「ありがたいことに、2人でもう毎日が幸せで幸せで。これもみな、ラックさんのお陰です」


 「マジかよ。めっちゃうれしいわ。で、話なんだけど」


 にこやかな二人の顔が、少しだけ真剣なまなざしになる。


 「ええ、何でっしゃろ」


 「このヴェネッツを治めてる貴族の中に、アークラーツ伯爵家ってのがあるよな?」


 すると、二人はより真剣な顔をした。


 「ええ、いてはりますね。それが、何か?」


 「実は、俺の知り合いのユタカーの貴族が、どうもアークラーツ伯爵家にだまされて多額の借金を背負わされてしまったんだ。娘さんはほんといい人で俺もお世話になってたんだけど、このままじゃあと2ヶ月後にはアークラーツ家の次男と結婚させられてしまうんだ。なあ、どうにかならないか?」


 二人は険しい顔をしている。


 「なるほど。ほんなら、奥の部屋に入りましょか」


 そう言われ、俺たちは奥に入った。


 高そうなテーブルに俺たちと2人が向かい合って座る。


 「で、どうなんだ実際アークラーツ家ってとこは」


 ジェリーが少し黙り、リッチーと顔を見合わせ確認した上で話し始める。


 「ヴェネッツにも領主を務める貴族はたくさんいてはります。その中でもヴェネッツ市街を治めている貴族がお2人。1人はヴェネッツの最高権力者、ゼーンリョー公爵です。市街の中央から東を治めてはっていて、領民や我々商人のことを第一に、親身になって考えてくれはるそれはそれは素晴らしい方です」


 俺は静かに頷いた。にしても、ゼーンリョーって、そのまんまの名前だよな。名は体を表す、とか言うんだっけ?


 「アークラーツ侯爵は、正直言っていい話は聞きまへんな」


 「というと?」


 ジェリーは更に言葉を選んで話した。


 「ええ、表向きは、ゼーンリョー公爵がいてはりますから、我々に直接何かがあるわけやありまへせん。というか、アークラーツ伯爵は、私たち領民、商人に興味がないように見えます」


 「領民や商人に興味がない? 領主である伯爵が? そんなことあんのかよ」


 「ええ。交流もほとんどありまへん。伯爵は貴族の責務を全うする言うよりは、自家の利益を追求しはってます。その最たる例が、貴族では異例の銀行業ですわ」


 「そう、金を貸してるよな、地方貴族に」


 「ええ。ここだけの話ですが、アークラーツ家は経営体力のない地方貴族に金を貸しては、土地や地位を奪うことを繰り返してるんですわ。それも、ゲーム感覚で楽しんで破滅に追いやってます。さすがにヴェネッツで騙される人はいまへんけど、評判を知らない地方貴族が騙されることが、どうも多いようです。ただ、伯爵は一応貴族ですさかいに、我々も何もできまへん。見て見ぬふりをするいうのは心苦しいんですが……」


 ジェリーが苦しそうな顔を見せる。


 「申していませんでしたが、私は王都エイガーで筆頭宮廷魔術師をしておりますマジョリティ公爵の長女、マジョです。現在、父がこの件について調査中です。いずれ、王都より何らかの沙汰があると思いますわ」


 「ええ、マジョさんマジョリティ公爵の娘さんやったんですか! そうですか、王都でも噂になるほどとは」


 「なあジェリー、リッチー。俺は実家が5億イェンの借金を背負った友達の女の子を助けたい。しかも、ちゃんと5億そろえて返して、だ。そうしないと、アークラーツ家の次男と結婚させられちまうんだ。アークラーツ家をどうするかは、その後だ」


 目を丸くしてジェリーと目を合わせたリッチーが話し始める。


 「なんと、5億の借金ですか。それは、私たちでもなかなか返すのは簡単ではないですわ。協力したいのはもちろんなんやけど、ちょっと難しいです。それと、アークラーツ家の次男と結婚、ですか。それはやめておいた方がええです」


 予想通りの答えだが、一応理由を聞いてみる。


 「どうしてだ?」


 「アークラーツ家は他家を乗っ取る際に大抵婚姻関係を結ぶんですが、最近その役を担っているのが次男なんですわ。次男のゲース様は顔はとてもええんですが、泣かせてきた女は数知れずとか。結婚しても、乗っ取ったらすぐに捨てる、要は貴族の皮を被った詐欺師ですわ」


 俺は怒りが収まらなかった。


 両拳に、ありえないぐらいの力がこもる。


 そんな奴に、ミッキーをやっていいわけないだろ。


 「……そうか。結婚式まであと1ヶ月半なんだ。金の当てはあるから、金は俺がどうにかする。アークラーツ家の情報が欲しい。例えば、その次男の行きつけの店とかはないのか?」


 「ゲース様は、ヴェネッツでも1番の高級店で毎日のように取り巻きと女を侍らせていますわ。以前、ラックさんが私たちの招待を断ったあのレストランです」


 「ありがとう、ジェリー、リッチー。話しにくいことを話してくれて。必ず役に立てるからな」


 「我々も、どうしていいか分からなかったんです。でも、最高の運を持つラックさんなら5億の借金でもきっと返せる思いますわ」


 「ああ、じゃあ店に行ってみるわ」


 「お待ちください。正装がこちらにありますので、これを着はってから行ってください」


 そう言うと、ジェリーは前々から用意してたという、俺たちの正装を出してきた。


 「何から何までありがとうな」

 


 

 そして、俺たちはヴェネッツ1のレストランにやってきた。


 歩きながらも、俺はまだ怒りが続いていた。


 絶対に許さん。


 「まあまあ、マウスちゃん。気持ちは分かるがねぇ。ここは落ち着いていくんだよ」


 マジョはさすがの大貴族の余裕? といった感じで、ドレスもものすごく似合っている。


 「そうだよラック。気持ちは私たちも同じなんだから。女を騙す最低な男なんて許せない」


 かわいい衣装を身にまといながら、少しだけ俺に厳しい目線を向けるプリン。あれ俺何かしたっけ?


 「うまい店で、腹いっぱい食いたいだぁ~」


 パワーは、相変わらず食うこと以外考えてない。まあ、こいつは戦闘で活躍してくれればいいからな。政治とか、そういう複雑なことには興味ないだろうし。


 「いらっしゃいませ。ラック様ですね。奥の席へどうぞ」


 ジェリーがフリーパスにしてくれているせいか、超高級店でもVIP扱いだ。


 俺たちは奥の席に座った。


 すると、奥の向かいに、明らかにそれと分かる集団がいた。


 派手な女と男達が高級な店には似つかわしくなく下品に酒を飲んでいる。


 その真ん中にいて女に囲まれた飛び抜けたイケメン、あいつがゲースだな、たぶん。


 俺はゲースをにらみつける。相手は話と酒に夢中で気がついていない。


 「マウスちゃん、まあまあ。しばらくは食事でもしながら、彼らの話を聞こうじゃないか。どうせ、勝手に聞こえてくるだろうしねぇ」


 そうプリンに言われ、とりあえず飯を食うことにした。




 「もーゲース様ったら、相変わらず女泣かせなんだから」


 「ふっ。お前だけが本命だよ」


 「もー、嘘ばっかり」


 「ゲース様、今度は誰と結婚しはるんですか」


 「今度? ああ、ユタカーの田舎貴族の娘だよ。何せ、でかい仕事だからな」


 「そんなでかい仕事なんですか」


 「ああ。今度の相手は領地ごと全てもらうつもりだからな」


 「えぇ? 結婚で借金をチャラ、って言ってすぐに捨ててチャラにしないのがいつものやり方じゃないの?」


 「まあそうだが、今度の女は地獄に落とさねぇと気がすまねぇんだよ」


 「ええ? またなんで?」


 「俺が18の時にな、その家に養子に入って家を乗っ取る計画だったんだが、女が結婚を嫌がって家から出ちまったんだよ。俺との結婚をだぞ? その後はスタードで冒険者まがいのことをやってたらしいんだが、気が収まらなかった俺は親父に頼んで、2年かけてそいつの実家を追い詰めてやったのさ。気づけば5億の借金地獄だ。地方貴族に返せるわけねーだろ。そこでだ、結婚を条件にチャラにしてやるって言ったら向こうから冒険者をやめて尻尾を振ってきやがったぜ。笑えるだろ。ま、顔だけはまぁまぁだから、せいぜい楽しんだ上で領地も乗っ取って全部売っぱらって、ついでにその女も娼館にでも売っぱらってやるぜ。いいか、この世は金で全部どうにかなるんだよ」


 「サイコーだわ、ゲース様。貴族よりも詐欺師って言われるだけあるわね」


 「おいおい失礼だな。俺は誰よりも紳士な貴族だぞ、ははは! 俺達が何をやっても、領民は何もできない。話を聞いてもな。大商人でも、だ。ゼーンリョー家は俺の家より規模は大きいが、あいつらはバカ正直なだけだ。俺らの企みになんて気付ねぇんだよ。だから、アークラーツ家はヴェネッツじゃ無敵なんだ」


 「ゲース様かっこいい! もう一杯シャンパン飲んでいい?」


 「おう、明けろ明けろ。アホどもから巻き上げればいくらでも飲めるぞ」


 「ギャハハハハハ!!」


 瞬間、俺の両手がメタルの短剣に向かって動いた。


 マジョが、静かに俺の手に手を重ねる。


 「マウスちゃん、耐えるんだよ。今じゃないし、ここじゃあない」


 あいつに生きる権利はない。


 プリンが、反対の手に手を重ねる。


 「あんなやつ許せない。許せるわけがない。でも、今じゃないよ、ラック」


 今すぐ殺してやりたい。


 俺は奥歯が割れるほど歯を食いしばった。


 目を見開き、眉間に深いしわが入っている。


 冷静でいられるわけがない。


 そんなとき、パワーが俺を担いだ。


 「おいパワー!」


 「お腹いっぱいだぁ~。帰るだぁ~」


 いや、お前まだ全然足りないはずだろ。


 俺は降りれるはずもなく、パワーに抱えられたまま店を後にした。


 いつもは飯のこと以外考えていないパワーが、ぶち切れていた俺を気遣ったてことか?



 

 外に出て店から離れてから俺は口を開いた。


 俺は、まだ両手に殺意がこもっている。


 「許せねぇ。あいつら絶対に許せねぇ!」


 プリンも本気で怒っている。本気で怒るプリンを見たのは、小学校から考えても初めてだ。


 「あんな最低な女の敵、私絶対許せないよ。何とかミッキーを救おう」


 普段感情を露わにしないマジョも、珍しく怒っているように見える。


 「ふむ、私も貴族の醜い点には慣れてはいるが、あれは醜いどころの話じゃあないねぇ。父上に報告して対応してもらうよ」


 パワーも怒っている。


 「女の子を泣かせるのはゆるせないだぁ~」


 「だがねぇ、父上を通して国王から沙汰が降りるのはしばらく先だろう。国も調べる必要があるだろうからねぇ。彼らを成敗するのはその後だよ。だから、私たちは先に5億イェンを用意してミッキーを取り戻さなくちゃいけない。あてはあるんだろう、マウスちゃん」


 「ああ。ユタカーの特産物で、今年余るくらい実ったヨネを買ってくれるところがな」


 「そんなところアンカールド王国内にあるの? ユタカー以外はムギーが主食って聞いてるし」


 「それがあるんだよ」


 みんな、俺の言葉を黙ってじっと待っている。


 「魔王に売り込みに行くんだ。魔王領に行くぞ」


 「魔王領!?」


 プリンが驚きの声を上げる。


 驚いたろ?


 「ああ。俺の運は最強だからな。『剛運』持ってるし、商人の才能もあるはずだろ。できれば魔王に直接会ってユタカーのヨネを売り込みたいんだ」


 「フッフッフ、ハハハハっ! さすがはマウスちゃん、並の男とは違う。私が見込んだことだけのことはあるねぇ。乗ろうじゃないか、その案に」

 最後まで読んでいただきありがとうございました。


 第37話「悪党に鉄槌を! そして、5億稼ぎに驚きの新天地へ」でした。いかがだったでしょうか。


 第2章の後編の敵、アークラーツ家及びゲースを登場させました。絵に描いたような最低野郎です。


 ですが、ゲースに鉄槌が下るのはしばらく先になると思います。


 次回はいよいよ魔族領へ。


 一体どんな冒険が待っているのでしょうか。


 お楽しみに!

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