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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
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第35話 おねーちゃんの店に潜入せよ! ゲッケの尻尾はどこだ

 ページを開いていただきありがとうございます。


 「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第35話です。


 今回は、マジョリティ公爵との話を受けて、実際に占い師の調査に行きます。


 その先に待っているものとは……。


 どうぞお楽しみに。

 「では、話を戻そうか。君たち、そこにかけたまえ」


 と、それまで明るかったアインさんの目が真剣そのものになった。


 「マジョから話は聞いている。ユタカーのロッキーロード伯爵家の借金問題を解決したい、そして君たちの友人である娘さんを望まない婚約から解放したい、そういうことだね、マウスちゃん」


 「はい。その借金問題については、ロッキーロード伯爵が騙されたというか、はめられた可能性が高いんです。この問題の解決に、力を貸してもらえませんか?」


 俺がそう言うと、アインさんとキュリーさんが目を合わせ、お互い意思が疎通したかのように同時に頷く。


 「マウスちゃん。もし騙されたのが本当だとして、それを究明してあなたはどうしようと言うのかしら」


 「どうしよう、ですか。それは、不正を突きつけて、借金を減額させるか、うまくいけば全額払わなくていいように持っていければ、とは思ってますが……」


 「それは難しいだろうねぇ。今回の借金は貴族と貴族の契約だ。ロッキーロード家が貴族である以上、契約した借金は払う必要があるだろう。それは、不正を暴くのとは別問題だよ」


 俺の甘い思い込みを、アインさんが即座に一刀両断する。


 そういうもん、なのか。じゃあ、どうすればいいんだよ。


 「あの、質問なんですけど」


 プリンが声を上げた。


 「マジョリティ公爵家って、大貴族なんですよね。例えばなんですけど、5億イェンをロッキーロード家に貸すことはできないんですか? 借金を返さなければいけないなら、ロッキーロード家には今どうしても、5億イェンが必要なんです」


 「確かに、うちは大貴族よ。多少無理すれば、5億イェンを集めることもできるかもしれないわね」


 「じゃあ」


 「でもね、今のロッキーロード家にお金を返せる見込みなんてあるの? お金を貸すからには、最低でも帰ってくる保証が必要よね」


 アインさんも頷く。


 「ママの言う通りだ。つまり、借金の問題はロッキーロード家自身で解決しなければならないということだよ。ロッキーロード家は大農家だ。農作物を売るのが一番いいはずだがねぇ」


 「それは、ムギーが全滅して……」


 「それは分かっているさ。その上で、どうするか、だね。私からのヒントはこれくらいにしておこうか。後は君たちで考えるんだよ。マジョ、いいかい?」


 俺たちはマジョの方を見た。


 「ええ、お父様。それは私たちで考えよう。だが、占い師もどきのゲッケと、アークラーツ家の関係については調べてくれないかい?」


 ん? 占い師もどき?


 「おいマジョ。ゲッケが占い師もどきってどういうことだよ。リッキーさんは王都で権威ある占い師って言ってただろ」


 「ああ、言っていなかったねぇ。ゲッケは権威ある占い師なんかじゃあないさ。王都の貴族達には見向きもされない、3流以下の占い師もどきだよ。ロッキーロード伯爵はゲッケが何年も天候を当てたと言っていたがねぇ、それは王都の占い師に金を払って教えてもらっただけさ。つまり、おそらく今回の件でゲッケはクロと言えるだろうねぇ」


 「それじゃ、ゲッケはリッキーさんを騙してたってこと? そうなると、アークラーツ伯爵家が裏でつながっているはずだよね。でも、どうやってそれを証明すればいいんだろう」


 プリンが身を乗り出しながら離す。


 「そこは、我々に任せたまえ。筆頭宮廷魔術師として、責任を持って調査しよう。だが、あくまで私たちにできるのは調査だけだ。その結果を踏まえてどうするかは、マウスちゃん、君に任せよう。君がこの件をどう解決するか、見てみたいからねぇ」


 「ふふ。マジョからの報告によると、婿殿はこれまでも実力以上の結果を残してきているわね。いいわ。私たちが助けてあげるから、この問題を見事に解決してもらおうかしら」


 「もちろん、言われなくてもそのつもりです。でも、ありがとうございます。本当に、助かります」


 俺は二人に頭を下げた。今の俺にできるのは、これくらいしかないからだ。


 アインさんとキュリーさんはニッコリ笑って顔を見合わせ、同時に席を立った。


 「じゃあ、研究があるから私はこれで」


 「私も、神聖魔法協会の会合を再開しなくちゃね。じゃあね」


 そう言って、奥のドアに入っていってしまった。


 「すごい両親だな」


 マジョは何てことないという顔をしている。


 「フフッ。まあ、普通だよ。それより、これからやることがはっきりしたねぇ」


 「うん。まず、ゲッケの正体が分かったから、それを確認したいよね。それと、ヴェネッツに行ってアークラーツ家について私たちなりに情報を集めるべきだと思う。リッチーさんやジェリーさんに聞いてみるといいんじゃないかな」


  「あとは、ロッキーロード家の借金の返済だな。でも、ムギーが壊滅な以上、他の作物について考えるしかないよな。あとは、5億出してくれる相手もな」

 

 特に後半は難問だな。5億出してくれるほどの力を持つとなると、公爵家以上、つまり王族か。いや、王族なんて知り合いいないしな。


 「おなかいっぱいだぁ~。うまかったぁ~」


 あ、言ってなかったけど、パワーはずっと会話に加わらず、肉やムギーのパンをもりもり食べてたな。


 ん? もりもり食べる?


 何か、前にもあった気がするな。いや、パワーがもりもり食べてるのなんていつものことか。


 いや、待てよ。


 パワー以外にも、ご飯をおいしそうに食べてた人がいたような……。


 あ! 1人いたわ。


 公爵以上の財力を多分持っていて、作物を買ってくれそうな相手が。


 あいつを頼る以外、現状他に手はない。


 リスクはかなりあるけど、やってみるしかないな。


 「よし。ゲッケを調べたらその足でヴェネッツに行こう。それが終わったら、ユタカーに戻るぞ」 


 「え? ユタカーに戻る?」


 プリンが驚いた声を上げる。


 「ああ。リッキーさんにちゃんと話を聞けば、借金を返済できるかもしれないんだ」


 「どうやってやるんだい?」


 「それは、後で話す。とりあえず、ゲッケが行きそうな酒場とかないのか?」


 「王都は酒場やレストランがそれこそ山のようにあってねぇ。身分や立場によって使う店が自然と分かれているんだ。ゲッケは3流占い師だから、金はないはずさ。だが、不正に荷担しているなら、あぶく銭を持っている可能性があるねぇ。ということは、ここらあたり、だろうさ」


 マジョが止まったのは、女の子のマークが見える店だ。まだ外は明るいのに、店内にはノリノリの音楽がかかっている。これも魔族の技術ってやつなのか。


 「じゃあ、マウスちゃんとパワーで入ってきたまえ」


 「えっ?」


 いいの? 昼間からおねーちゃんの店に入っても? マジで?


 「ちょっとラック。なにいやらしい顔してるの? これはミッキーのための調査でしょ。しっかりして。私たちが入ったら怪しまれるでしょ。頼んだからね。パワーは、ご飯食べてていいよ」


 プリンがそう言うと、パワーは興奮気味に中に入っていた。


 「ご飯が食べたいだぁ~」


 プリンも俺たちの扱いがうまくなってるな、ほんと。


 「おいちょっと待てよ」


 そう言いながら店内に一緒に入る。


 カランカラーン。


 「いらっしゃいませー」


 ちょっと露出の多い女子達が思いっきりの営業スマイルを見せた。


 中を見ると、いかにもあぶく銭を持ってそうな男達がたくさんいた。


 俺たちは促されるままに席に座る。


 「ご注文はいかがしますか?」


 「え、えっと、シュワー1杯」


 「おらは、肉をたくさんだぁ~」


 「かしこまりました~」


 注文を聞いていたおねーちゃんに俺は声をかける。


 「なあ。最近ここにゲッケっていう占い師来てないか?」  


「ゲッケさんなら、ここ最近毎日来てますよ~。今日も、あそこのVIP席にいますから、声をかけたらどうですか? 今なら、おごってもらえますよ~」


 奥のVIP席を見ると、目つきの悪い男が女の子を侍らせている。占い師っぽいローブを来てはいるが、どう見てもエセにしか見えない。まあ、エセなんだけどな。


 「おーみんな飲めよ。ほら、お前も飲めって」


 「あ、ありがとー」


 何か感じ悪いな。でも、行くしかない。


 「パワー、1人で飯食っててくれ。ちょっと行ってくるから」


 「わかっただぁ~」


 パワーはうれしそうに頬張っている。


 俺はゲッケの方に行ってみた。


 「すみません、お兄さんすっごい羽振りいいですね。ちょっとお話ししていいですか」


 「おう、こっちに来な。おごってやるぜ」


 そう言うと、隣の女の子をどかしてそこに俺を座らせた。


 「お前、見ない奴だな。何て名前だ」


 ちょ、ここで本名言うわけにはいけないよな。


 「ら、ラースです」


 「ラースか。俺は占い師のゲッケだ。見てみろ俺を。女を侍らせてウハウハだ。サイコーだぜ」


 ゲッケは目つきの悪い目を更に悪くしてうれしそうに言った。


 うわー、こいつ友達になりたくねぇ―。


 でも、うまくおだてて情報とらないとな。


 「す、すごいですね。どうしてそんなお金持ってるんですか。もしかして、占い師ってそんな儲かるんですか?」


 ゲッケはへっと卑屈に笑う。


 「占い師? 一部のやつしか儲からねぇよ。ただよ、いい金づるができたんだわ」


 「それって何です?」


 「ははっ。聞きたいか? バカな田舎貴族を騙すんだよ。騙して借金漬けにして、俺は高額な演技料をもらうって訳だ」


 聞いた瞬間、頭に血が上った。やっぱこいつ、クロじゃねぇか。


 拳をぎゅっと握りつぶして、ぶん殴りたくなる衝動を必死に抑えて笑顔を作る。


 「すごいっすね、ゲッケの兄貴。演技料って、誰からもらえるんですか?」


 「んん~、興味あるのか? でも、教えるわけにはいかねぇなぁ~。それを教えたら、俺の命があぶねぇからな」


 これ以上は教えてもらえなそうだな。じゃあ、これだけは聞いておこう。


 「じゃあ、最近はめた、バカな田舎貴族って誰なんですか?」


 ゲッケは酔っているのか楽しそうに笑う。


 「聞きたいか? はは、ユタカーのロッキーロード伯爵家ってとこだよ。貴族のくせに、農業以外は何も知らないバカな田舎貴族さ。だから騙されるんだよ。」


 俺は、怒りを顔に出さないようにするのだけで精一杯だった。握った右拳から血が出るくらいに握りしめた。


 決定的な、言葉を聞いた。これで、確定だ。


 後は、アークラーツ伯爵家から証拠を得るだけだ。


 「そ、そうなんですね~。すごいな~。あ、じゃあ俺はこの後予定があるんで、失礼します」


 「おう、またな、ラース。いつでも来いよ、おごってやるからな」


 俺は怒りを抑えながらパワーに近づいた。


 「パワー。情報を得たから出るぞ」


 「ここの肉はうまいだぁ~。女の子もいるし、まだここにいたいだぁ~」


 パワーは女の子に囲まれながら、うまそうに肉を食べている。テーブルの上に皿がものすごい数重ねられている。


 おいおい、俺が仕方なくおっさんと話してる間、お前何いい思いしてんだよ。


 「帰るぞ!」


 俺はパワーの腕を引っぱって出ようとした。


 だが、黒服が逆に俺の腕をつかんだ。


 「お会計、5万イェンになります」


 「ご、5万イェン?」


 高過ぎだろこの店。冒険者の1日の稼ぎより上じゃねーか。てか、パワーの食い過ぎが原因か。


 俺は財布にギリギリ入ってた5万イェンを置くと急いで外に出た。




 「どうだった? マウスちゃん」


 外で待っていたマジョに俺は答えた。


 「ゲッケはちょっとおだてたら全部はいたわ。嘘の占いでロッキーロード家をはめたってな。正直ぶん殴りたいのをこらえるのに必死だった。ただ」


 「ただ、なに?」


 プリンが俺の言葉を待っている。


 「誰に頼まれたかは命に関わるから言えないってよ」


 「ふむ。では、ヴェネッツに行こうか。アークラーツ家は簡単には尻尾を出さないだろうが、ジェリー達から噂を聞けるだろう。ああ、父と母には逐次連絡するよ。あっちに任せた方がうまくいくこともあるだろうからねぇ」


 そして俺たちはヴェネッツに向かった。もう少しだ、待ってろミッキー!

 最後まで読んでいただきありがとうございました。


 第35話「おねーちゃんの店に潜入せよ! ゲッケの尻尾はどこだ」でした。いかがだったでしょうか。


 ついに、ラックはゲッケの尻尾をつかみました。


 後は、ヴェネッツに行ってゲッケとアークラーツ家の関係を明らかにするだけです。


 それとは別に、借金問題を解決する必要があります。


 果たしてラックが思いついた「相手」とは誰でしょうか。


 次は、5話に1度の勇者パーティー回になります。


 再び傷ついた彼らを待っていたのは、以前よりも遙かに厳しい王都の視線でした。


 次回もお楽しみに!

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