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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
34/43

第33話 5億イェンの借金? 大丈夫だ、俺たちに任せてくれ!

 ページを開いていただきありがとうございます。

 

「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第33話です。


 今回は、ロッキーロード家が5億イェンもの借金を背負うことになったら理由が明らかになります。


 そして、ラック達は真相を知るために旅に出ます。


 よろしくお願いします。

 ミッキーとの長い話が終わった後、俺たちはロッキーロード伯爵家への道を二人で歩いた。


 なんか、流れで抱き合ってしまった。


 何て言うか、色んな感触が、まだ残ってる。


 ミッキーは俺の前を歩いているけど、顔は真っ赤だ。


 俺も、多分そうじゃないかな。でも、恥ずかしいとか、そんなことはなかった。


 ミッキーは勇気を持って本心を話してくれた。


 だから、俺がミッキーを救うんだ。そのためだったらやれることは何でもやる。


 それにしても、5億イェンか。なんでそんな借金背負うはめになったんだ?


 「なあミッキー、借金返済の期限はいつまでなんだ?」


 ミッキーは恥ずかしそうにくるっとこっちを振り向く。


 「2ヶ月後だよ。2ヶ月後、ちょうど聖誕祭の日に、私はヴェネッツの公爵家、アークラーツ家の次男に嫁ぐことになってる。もちろん、借金を返せれば婚約は破棄できるけどね。返せれば、だけど」


 聖誕祭、ていうのは確かカリウス教の記念日だったよな。現実の世界のクリスマスとほぼ同じだな。


 「なあ、そのアークラーツ伯爵家ってとこに、何でそんな借金を負うようなことになったんだ?」


 「……それは、帰ったらお父さんが説明してくれると思う。あとね、……アークラーツ家との婚約は、私が16歳の頃に一度断ってるんだよね」


 「マジか。16歳のとき一度断った相手が、借金をもとにもう一度、って言ってきた訳か。じゃあ、婿養子の予定だったのはその次男かよ」


 「そう。今は弟がいるから、婿養子はいらないんだけどね」


 ミッキーは、無理をしたような顔で笑っている。


 うーん。何か、その貴族の次男から変な執着を感じるな。




 ロッキーロード伯爵家に戻った俺たちは、家の前で待っていたマジョ達と合流した。


 「ミッキー、聞いたことをパーティーにも言っていいか?」


 「うん」


 そしてミッキーは、ロッキーロード家に5億イェンの借金があること、そして借金をしている家に嫁ぐことで借金が解消できることを告げた。


 「なるほどねぇ。それは簡単じゃあないが、覚悟はできたようだね? 君たちの顔を見れば分かるさ」


 マジョは全てを見抜いているという表情だ。


 「……うん。やっぱり私、まだスタードにいたいし、ラックやみんなと一緒にいたいよ。だから、無理なお願いだとは分かっているけど、この問題に力を貸してほしい」


 「私も、絶対にミッキーを助けたい! この世界に来てミッキーに助けてもらった分を、ここで返すよ」


 プリンも力強く頷く。


 「おらにまかせろぉ~」


 パワーも、力こぶを作りながら言った。


 「ありがとう」


 ミッキーは涙目になっている。


 「みんな、ありがとな。じゃあ、リッキーさんに詳しい話を聞いてみないとな」


 その時、ロッキーロード家の玄関がバタンと開いた。


 ロッキーロード伯爵ことリッキーさんと、ミッキーの弟を抱いたお母さんが立っている。


 リッキーさんは深刻な表情で語り始めた。


 「君たち、ミッキーから我が家の事情を聞いたようだね。お恥ずかしいことに、私は娘の意思をしっかり確認していなかった。ミッキーも年頃だし、結婚するのが幸せだろうと勝手に思っていた。娘を犠牲にするだなんて、親として、貴族として私は失格だ」


 「そんなことない! 私こそ、家の役に立てなくてごめんね」


 リッキーさんのそばにいたお母さん(マリーさんと言うらしい)は、ミッキーの目を見ている。


 「ううん。ごめんね。あなたの幸せを犠牲にしてこの家が助かっても、何にもならないわ」


 「とりあえず、中に入ってもらおうか。ここで話すようなことじゃないからね」


 リッキーさんにそう言われ、俺たちは屋敷の中に入った。



 俺たちは促され、屋敷の応接間に座った。


 向かいがロッキーロード家のみなさん、リッキーさんにマリーさん、マリーさんに抱かれすやすや眠っているラッキーちゃん、そして執事だというセバスさん。手前が俺たちだ。


 「始めに、君たちに伝えておきたいことがある」


 リッキーさんは普段の陽気さから一転、真面目な表情で語り始めた。


 「我が家の問題について君たちが一緒に考えてくれるのはありがたい。ただ、うちも一応名ばかりとは言え貴族だ。貴族の問題に君たち冒険者が首を突っ込むのは本来異例のことだ。これは分かるかい」


 俺は頷いた。大貴族の娘であるマジョも頷いている。


 つまりは、普通はありえないこと、ということだ。


 「そして、もし仮にだ。仮に、君たちの協力で我が家の借金問題が解決したとしよう。その場合、我がロッキーロード家は君たちに大きな借りを作ることになる」


 「え、いや、そんなのいいですよ。俺たちはこの世界が少しでも良くなるように活動しているだけですし」


 「そうです。私たちはただ食べていくために冒険している訳じゃありません。この世界で困っている人を私たちの力で救うためです。救うだなんておこがましいですけど、ミッキーを助けたいんです。助けさせてください」


 俺に続き、プリンが思いを伝える。俺たちは見返りなんて求めてないって。


 「君たちは本当に人がいいね。さすがはミッキーが信頼するだけのことはある。でも、いくら君たちが良くても、私たちは借りを作ったままではいられない。それが貴族というものだ。分かるね」


 そう言われると、誰も何も言えなくなった。


 すると、俺たちの中で唯一の貴族であるマジョが、ふむふむと頷いている。


 「伯爵のおっしゃることはよく分かります。つまり、何らかの礼ができなければ貴族である手前助けてもらえない、ということですね。なら、私から提案があります」


 何だ何だ、何を言おうとしているんだマジョは。


 「私たちの助力で借金返済ができた暁には、どうです、いずれミッキーをラックに嫁がせるというのは」


 俺は一瞬意味が分からなかった。


 「はあ? 何言ってんだお前。それじゃ問題解決しても一緒じゃねーかよ!」


 何てこと言うんだコイツは。マジでぶっ飛んでんな。


 「第一、ミッキーの意思ってもんがあるだろ!」


 「ミッキーも、まんざらじゃあなさそうだがねぇ」


 ミッキーを見ると、顔を真っ赤にしている。こんなミッキーは見たことがない。


 マジョが俺の耳元に近づいてささやく。


 「いいかいマウスちゃん。ここは話を合わせるんだ。何らかの見返りがないと伯爵は我々の支援を受けたがらない。合わせておくんだよ。後のことはどうにでもなるからねぇ」


 「お、お前はいいのかよ」


 「いいんだよ。私は、マウスちゃんと既に契約しているからねぇ」


 俺たちが小声で話していると、プリンが戸惑った表情をしている。


 「ちょっと、ほんとにいいの? ラックは現実世界にいずれ戻るんでしょ? それに、ミッキーもいいの? その、結婚とか、こういうので決めることじゃないと思うけど」


 いきなり色んな方向からぶん殴られた気分だけど、みんなに向けて自分の立場をはっきりする必要があるな。


 でも、何かを明言することもできないよな。だって、この先どうなるか分からないし。


 だけど、俺はミッキーを助けたい。俺は、リッキーさんの方を向いた。


 「……俺は、先のことはまだ考えられません。ただ、ロッキーロード家の問題に関わるからには、いずれそれなりの責任は取るつもりです。現実世界に帰るとか、そういうのはその後に考えます」


 「……私も、別に嫌じゃない、よ」


 ミッキーは相変わらず顔を真っ赤にしている。


 「そういうことなら、いいんじゃない?」


 マリーさんがリッキーさんの顔を見た。


 「わかった。君たちの、ラック君の覚悟は受け取ったよ。では、僕も覚悟を決めないとな。私たちを、娘をどうか助けてほしい。私たちには、もうどうしていいか分からないんだ」


 リッキーさんとマリーさん、ミッキーは深々と頭を下げた。


 「頭を下げないでください。俺たちは、ただできることがあればしたいだけですから」


  そう言うと、リッキーさんは顔を上げてここまでに至った事情を話し始めた。


 「ことの始まりは、ムギーの農地を開墾したことなんだ。ロッキーロード家は田舎にある分土地は広い。今まで私たちも領民も安定した暮らしができていたから、最初は開墾をする気はなかったんだ」


 「それに、開墾すると言っても、残っているのは湿地で魔物も出現する難しい土地でね。だから、長年放置していたんだが、ある日、王都から占い師が来てね」


 「占い師、ですか?」


 「ああ。その占い師は王都でも権威ある占い師で、主に農業や天候に関する占いを行っているんだ。ユタカーの農家は毎年その占い師を雇って、その年の天候を占ってもらっていてね。農業をやっていると分かるんだが、天候が作物の生長や収穫量に大きな影響を与えるんだよ。」


 それは、何となく分かる。天候によって米が不作だ、とか日本でも聞いたことあるもんな。


 「占い師って、ほんとに王都にいるのかよ」


 俺はマジョに聞いてみる。


 「ああ。私は信じていないけどねぇ、この世界の王侯貴族は占いの結果を大事にしているんだよ。だから、王都にはお抱えの占い師がたくさんいるねぇ」


 「その占い師が言うには、今年はムギーが大豊作だから、農地を開墾してでもムギーを植えた方がいいと。正直言って開墾する気はなかったんだが、毎年お世話になっている占い師の言葉だし、これまで予想も当たっていたからね。うまくいけば、領民の暮らしがもっと良くなる。それで、私たちは決意をして、借金して農地を開墾することにしたんだ」


 そういうことか。


 「その借金をしたのが、例のヴェネッツのアークラーツ家ってことですか」


 「ああ。アークラーツ家とは私の父の時代から関係のある信頼している貴族の1人でね。アークラーツ家は銀行業を生業としているんだよ。農家はだいたいお金を借りてから農業をして、収穫物を売って返却するものなんだ」


 へえ~。農家って大変だな。


 「これまでもアークラーツ家からお金を借りてきたし、毎年返却していたからね。だが、今年は金利が上がって、我々の持っている土地を開墾するには農地改良費、魔物を討伐する冒険者の費用、それが半年続くことになって、合計5億イェンが必要になると言われたんだ。これまでもせいぜい借りて1000万イェンだったから驚いたけど、王都の占い師が言うには、開墾すれば毎年その土地から1億イェンのムギーが生産できると言われてね。それで、思い切って5億イェンを借りて、5年で返す約束をしたんだ」


 うーん、なんというか、ちょっときなくさいな。


 「ところが、その土地には全くムギーが実らなくてね。お陰で今年の借金1億イェンを返せなくなって困ってしまったんだ。ヨネは大豊作だったんだけど、ヨネはユタカー以外じゃ主食じゃないから売れなくてね。このままじゃ土地を売るしかなくなるから、何とか返済を伸ばしてほしいとアークラーツ伯爵に伝えたんだ。そうしたら、今年の1億が無理なら5億をまとめて返済してくれ、と」


 おいおい、そりゃ約束が違うよな。


 「そんなのあんまりでしょう」


 「ああ。それで、返済が無理だというなら、娘を我が家に嫁がせろと。そうすれば、借金はなかったことにするとね。それで困ってしまって、ミッキーに連絡を取ったんだ」


 そういうことだったのか。


 「親としては非常に情けない。だが、一度ミッキーに話をしてみようと思ってね。後は君たちの知っているとおりだ。今現在、我が家は5億イェンを払おうとすれば、持っている土地のほぼ全てを失ってしまう。払わなかったら、約束通りミッキーはアークラーツ家に嫁ぐしかなくなる。どうにかそれを回避したい。今更だが、改めて手伝ってもらえないだろうか」


 「もちろんです。任せてください。俺は運だけは最強ですから」


 「ええ、喜んでお手伝いしましょう」


 マジョはそう言うと、俺の方向いて言った。


 「マウスちゃん、これは結構大変だよ。とりあえず、別室に言って相談といこうか」


 「そうだな。俺も、思うことあるし。部屋を借りてもいいですかリッキーさん」


 「ああ。ミッキーの部屋を使うといい。後はたのんだよミッキー」


 ミッキーはこくんと頷くと、俺たちを案内してくれた。




 俺たちはミッキーに案内されて、ミッキーの部屋に入った。


 ミッキーの部屋は広く、皆が座るのに十分なスペースがあった。


 机やベッドの周りを見ると、ミッキーが今より若いころに集めただろうかわいいぬいぐるみなどが並んでいる。


 ていうか、俺人生で初めて女子の部屋に入ったかも。いや、そんなどころじゃないんだけど。


 「じゃあ、いいか。率直な意見を言ってほしい。お前たち、リッキーさんの話を聞いてどう思った?」


 マジョがフフッと笑う。だが、目は全く笑っていない。怖い時のマジョだ。怒ってんな。


 「私の推測だけどね、恐らくだが、これは伯爵がはめられたと考えるのが自然だろう。伯爵は人格者だが、人が良すぎて他人を信じすぎている。そこにつけ込んだと見るべきだろうねぇ」


 「やっぱそうか。俺もなんか変だと思ったんだよな」


 「私も、なんか怪しいって思った。特に、占い師。本当にはめたなら絶対に許さないから」


 プリンは、正義感に満ちた表情をしている。


 「おらも、よく分かんないけどゆるさないだぁ~」


 パワーは拳を上げた。


 「私も、おかしいとは思ってたんだ。でも、お父さんがだまされたって思いたくない自分がいて」


 「その気持ちは分かる。でも、今回の件の原因が何だったのか、だまされたのかどうかを俺は調べたい。そのためには、王都エイガーとヴェネッツに調査しに行く必要があるな」


 あれ? 確か、エイガーって戦争中だから入れないんじゃなかったっけ?


 「でもエイガーは戦争中で冒険者は入れないって言ってたな。どうすればいいんだこれ?」


 「簡単じゃないかい、マウスちゃん。私は王都の貴族だ。私と共に入れば何も問題はないよ。何なら、みんなを我が家にご招待しよう」


 そうか。確かに、マジョが王都の大貴族の娘だって言うことを忘れてたわ。


 「マジョは大貴族の娘だもんね。マジョに任せれば大丈夫だよ」


 「じゃあ、まずはマジョの実家を頼って占い師のほうから調査しようか。占い師の名前は何て言うんだっけ?」


 俺はミッキーの方を向いた。


 「確か、ゲッケという占い師だよ。王都じゃ相当有名だってお父さんが言ってた」


 「ほほう、ゲッケか。なるほどねぇ。面白くなってきたじゃあないかい」


 「知ってるのか?」


 「それは、王都に向かいながら話そうじゃないか」




 その後、俺たちは伯爵宅に一泊して、朝出発することになった。


 「それじゃあ、行ってきます。1ヶ月以内に調査を終えて帰ってきますので。あと、お金の調達方法も考えさせてください」


 ミッキーは一緒に行かず、ロッキーロード家にとどまるって言ってた。その方がいいはずだ。


 「僕らは農業をすることしかできない。頼んだよ」


 「お願いね、ラックさん」


 リッキーさんとマリーさんが頭を下げる。


 「じゃあね、ミッキー。待っててね」

 

 プリンがミッキーに手を振った。


 「うん。待ってる」


 ミッキーは俺たちに笑顔で返した。


 そして、俺の方に近づいた。


 「待ってるから」


 俺たちは馬車で王都エイガーに向けて出発した。


 待ってろよミッキー。


 俺たちの手で、絶対に真相を明らかにして、借金をなくしてやるからな。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。


 第33話「5億イェンを返済するには? まずは、エイガーに潜入だ!」でした。いかがだったでしょうか。


 リッキーさんことロッキーロード伯爵は、恐らくですが信頼していた占い師とアークラーツ家に騙されはめられてしまっています。


 その真相を探るため、ラック達は1ヶ月もの旅に出ます。


 果たして、王都ではどんな問題が待っているんでしょうか。そして、マジョの両親とは? マジョにそもそも兄弟はいるのか?


 次回もお楽しみに。

 

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