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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
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第30話 勇者ユウ編⑤ 僕たちは勇者パーティーだ。だから、負けるはずはないんだ

 ラック達と同じ頃 天竜の洞窟 10分の1ほど進んだ地点 砂漠地帯



 僕たちの前にサンドウォームが現れる。


 強敵だ。でも、今の僕たちなら何の問題もない。


 「行くぞ! ゴウ、ガードと『挑発』を頼む」


 「任せろ」


 そう言うとゴウは鉄の大盾を構えながら、サンドウォームの方に近づき「挑発」を発動する。


 「挑発!」

 ゴウの「挑発」にまんまと引っかかったサンドウォームは、ゴウの大盾目がけて突進してきた。


 ゴウはレベルアップと共に防御力が上がるレアスキル『剛健』を持っており、サンドウォームがいくら攻撃を仕掛けても、大したダメージは与えられない。さすがはゴウだ。


 その隙を縫って僕がサンドウォームの背後に回り、レアスキル『聖剣』の最強の技、『エクスカリバー』で攻撃する。


 背後から敵を攻撃すると、大きなダメージを与えられるのはこの世界に来て知った。


 確かに、無防備な背中が弱いのは当たり前だ。


 『エクスカリバー』は消費MPの多い技だが、問題ない。


 僕たちはまだレベルが上がり続けていて、休息も含めればそれぞれが強力な技を連発してもすぐに回復できるからだ。


 『聖剣』が決まると、サンドウォームに300のダメージが入る。このダメージ量なら、もうすぐのはずだ。


 そろそろかな。


 サンドウォームが僕の方を向いた時、素早く僕は交代する。


 すると、サンドウォームに炎の槍が突き刺さる。


 「ククッ。ファイアアロー」


 サクの強力な魔法により、サンドウォームは炎に焼かれ苦しんでいる。


 そこで僕は再び近づき、とどめの一撃を放った。


 『エクスカリバー』


 ドサッ。


 サンドウォームは力なく地面に倒れる。


 「よし! 僕たちの勝利だ」


 サンドウォームのドロップ品を拾い、ひと休憩する。


 僕は座って休んでいるメンバー全員を見ながら言った。


 「僕たちはレベルが上がってから連戦連勝だ。このままレベルを上げて、どんどん先に進もう。そして、悪の象徴たる魔王がいる魔都ハイルランドに攻め込むぞ!」


 そう言った僕の肩にゴウが手を置いた。


 「さすがは勇者ユウだな。強敵を一刀両断だ。やはり、お前は最強だよ」


 「ありがとう。だけど、ゴウの鉄壁の防御があってこその僕の剣だよ」


 「ユウ君もゴウ君も、すごく良かったよ。さすがだね」


 ジュウがこっちを見ながら言う。


 当たり前だ。僕を誰だと思っているんだ。


 天竜山脈で天竜に敗れた時は、心も体も傷ついた。


 僕の人生には、たとえゲームのような異世界であっても敗北は許されない。父から常に言われている言葉だ。


 そういうことを言われない妹の媛をうらやましくも思ったが、媛は媛でいずれ関係の深い企業の社長の息子あたりに嫁ぐだろう。


 本人はともかく、少なくとも父ならそう考えているはずだ。


 そう、天竜山脈での出来事、その後の王都での屈辱はあってはならなかった。あんなことが、父に許されるはずはないし、僕自身も許していない。


 だけど、今は違う。僕、いや僕たちはこの異世界で成長した。魔物を何十体も倒し、レベルも30になった。


 ここから先は一切負けるつもりはない。当然だ、僕たちは選ばれし勇者パーティーなのだから。


 「ククッ。ちょっといいかい」


 サクの卑屈な笑い声が、僕の至高の思考をさえぎった。


 「なんだ、サク。言ってみろ」


 ゴウはサクに発言をうながす。


 どうやら僕の知らないところで、ゴウとサクは交流が進んでいるようだ。


 交際している訳ではない、とゴウは言っていた。そもそもゴウはこの世界で恋人を作る気はないらしい。


 せっかく異世界に来て後腐れがないのだから、もっと楽しめばいいのに、と僕は思う。


 サクはサクで、見るからに異性に興味を持っていないようだった。


 本人も言っていたしな。


 「確かに、君たちは強くなったね。それは間違いない。この先もしばらくは大丈夫だろう。だけど、この先は敵も次第に強くなっていくのは分かるね? 洞窟の奥に行けば行くほど、物資の確保も難しくなるのだよ」


 何だそんなことか。そんなことは分かっている。


 「分かっているさ。それがどうかしたか?」


 「ククッ。いや、分かっていればいいんだよ。ただ、この先は最近誰も攻略していないはずさ。一応昔攻略した記録が残っているから、この後もどんな魔物が出るかある程度は分かっているけどね」


 「ある程度? ということは、分からないこともあるのサクちゃん」


 ジュウがサクに聞く。ジュウとサクは女子同士ということもあり、今ではとても仲がいい。


 「ああ、ジュウ。ダンジョンというものは日々変わるものだからね。用心は必要と言いたいのだよ」


 サクはこんな感じで、毎回僕の発言にブレーキをかけようとする。はっきり言って不愉快だ。


 確かに、サクは唯一のアンカールド人で、アンカールド内のことをある程度知っている。それは僕も認めているし、頼りにしている。


 だけど、今僕たちは絶好調なんだ。この辺りで僕たちの敵はいない。だから、少し先に進むぐらいで臆病になっているサクを見るとイライラするのだ。


 「サク、そこまで慎重にならなくていいんじゃないか。僕たちは今勝っているんだから、この調子でいけばいいと僕は思う」


 サクは僕の言うことを聞くと、あきれたような顔をした。


 「パーティーリーダーの勇者様がそう言うなら、これ以上は言わないよ。ただ、忠告はしたからね」


 そう言って、サクは休憩場所から去って行った。


 毎回、僕がサクの発言に反論すると、サクはあきれたような、興味なさそうな顔をする。


 クソッ。何が気に入らないんだ。


 でも、僕にはゴウがいる。ゴウは、常に僕の意見に賛成してくれる、最高の親友だ。


 ジュウも、僕の意見に反対することは絶対にない。そんなこと、あるはずがないんだから。




 その夜、食事を終えてそれぞれの魔法テントに戻った後、僕はジュウを呼び出した。


 せっかくの連戦連勝で気分がいいところにサクに水を差されて、イライラが収まらなかったからだ。


 なら、別の方法でこの気持ちを解消するしかない。


 僕はテントの近くの、安全なエリアでジュウに会い、すぐに服を脱がせた。


 「ハア、ハア、どうだ、気持ちいいか?」


 僕は思いきりジュウを犯しながら聞いた。


 もちろん、ジュウが苦しいかとか、嫌がっているかなんて考えていない。


 ジュウは異世界限定の、僕の欲求のはけ口だから。


 「ハア。う、うん。気持ちいい、よ」


 ジュウは気持ちが良さそうだ。当然そうだろう。僕が相手だからね。


 ジュウは僕しか知らない。だから、何をされたって文句は言わない。


 一通り欲望を満たした後、ジュウをテントに帰らせた。


 ははっ。やっぱり、異世界でも僕の思うがままに進んでいるじゃないか。


 さあ、気持ちよく寝よう。明日も連戦連勝だ。




 ――深夜


 「ジュウ、ユウといろいろあっているようだが、大丈夫なのか?」


 「……うん。大丈夫だよ」


 「お前とユウの間のことだから、俺はこれ以上言えんが、体は大事にな。これからも戦いは続くんだから」


 「ありがとう、ゴウくん。でも私大丈夫だから」


 「……」


 「私、ユウ君が、私のこと大事にしてないの分かってる。ユウ君の気持ちが薄れているのも、この世界が終わったら多分捨てられるのも分かってるんだ」


 「ジュウ、なら……」


 「その先は言わないで。いいの、私は。ユウ君はこの世界に来てから辛いことばかり経験してる。その辛さを私が慰められるなら、私は何だってするよ。ユウ君のためなら、何だって。それが今だけでもいいの。だから、それ以上は言わないで」


 「……わかった。明日からも頑張ろう」


 「うん、がんばろうね。お休み」  



 ゴウがテントに戻ろうとするとき、私は声をかけた。


 「ククッ。君も大変だねぇ。まあ、私も同じ心配をしていたから、気持ちはよく分かるよ。何せ。さっきの2人のお楽しみは、ユウが相当激しかったからね」


 ゴウは、私の顔をじっと見て、ため息をついた。


 「最初から、全部見ていたんだな。ジュウはああ言ってる。これ以上、俺が言うことはないさ」


 「確かにジュウの気持ちは固いようだね。しかし、君からユウに言うことはできないのかい」

 ゴウは少しだけ苦しげな顔をした。


 「……俺は、ユウを支えると決めている。あいつのやりたいことを否定したくないんだ。それに、交際中の2人のことに口を出すのは難しい。特にユウに言うのはな」


 私は黙って聞いていた。ゴウの、ユウに対する複雑な思いが漏れ出している。


 「それに、ユウの心の乱れは、ジュウ、お前にもあるんだ。それは分かるな?」


 それはよく分かっている。私の助言を受け入れられない、ユウの底の浅さも。


 「ククッ。私はこの世界の情報に基づいて、攻略がうまくいくように正論を言っているだけだがね」


 「それは俺も分かっているし認めている。だが、言い方を少し変えてもらえないか。そうすれば、ユウも分かるはずだから」


 ゴウは、なんとかこのパーティーがうまくいくよう必死なようだね。まあ、本心かは置いておくが。


 「わかった。少しユウにでも分かる言い方に変えよう。私も別に対立したいわけじゃあないからね」


 「頼んだぞ。じゃあ」


 そう言って、ゴウは魔法テントに帰って行った。


 ククッ。まあ、今の勇者パーティーで天竜の洞窟の攻略がうまくいくとは思わないがね。


 この本音を言うと、ユウが怒ってジュウに更なる被害が待っているだろうから言わないけど。


 私も寝るとするか。これ以上考えても仕方ないしね。




 次の朝、僕たちは先に進むことにした。


 朝食中、サクはこう言った。


 「レベルも上がって素材も集まったことだし、そろそろ先に進んでもいいんじゃないかい。ただし、ゆっくりとね」


 やっと分かったのか、僕たちの実力を。


 ゴウの視線を見ると、どうやらゴウが昨日話してくれたらしい。さすがは我が友だ。


 しばらく進むが、相変わらずの連戦連勝だった。


 ドラゴン、ドラゴンゾンビ、ゾンビマスター、アークマジシャン。


 大したダメージも受けず、大した時間もかけずに全てを倒した。


 やはり僕は、僕たち勇者パーティーは最強じゃないか。


 「ククッ。ここを過ぎると洞窟の3分の1に到着だね」


 「ようやく3分の1か。まだまだ頑張らないとな」


 「私たち、やっぱり成長したんだね」


 3人とも満足しているようだ。


 やはり僕の判断は正しかった。サクの心配など必要なかったんだ。


 「僕たちは勇者パーティーだ。だから、僕たちは最強だ。このまま進むぞ」


 「おう」


 「うん」


 「ククッ」


 その時だった。


 ズシン。


 奥から音がする。これは何だ?


 「敵だな。大きそうだ。注意していこう」


 ゴウが皆に呼びかける。


 しかし、僕は最強だ。こんなところでゆっくりしている場合じゃない。


 僕は天竜の洞窟を突破して、魔都入るランドに攻め入り、魔王を倒してこの世界に未来永劫語られる英雄になるんだ。


 「今の僕たちに怖いものなんてない。行くぞ!」


 そう言って、僕は飛び出した。


 ここは一本道だ。敵は逃げられない。


 「待つんだよ! それ以上近づいちゃいけない!」


 サクの声が後ろから聞こえる。これ以上の邪魔をするな!


 しばらく走ると、敵の姿が見えてきた。


 何だ、こいつは。


 今までの敵と全く大きさが違う。


 大きなゴーレムの化け物のような姿をしている。一つの目がじっと僕の方を見る。


 剣を持つ手が震えが止まらない。


 クソっ。大きいからって何だ。


 「エクスカリバー!」


 僕は必殺の剣を放つ。当然のように300ダメージが入る。


 しかし、ゴーレムは全く痛そうなそぶりを見せない。


 「ユウ、逃げるんだよ! それはキンググレートゴーレムのはずだ。本来は冒険者大勢で倒すボスだよ。レベルは60,今の私たちじゃ無理だよ」


 サクの声が聞こえるが、逃げようにも逃げられない。足が震えている。


 「ユウ、下がれ―!」


 気がつくと、キンググレートゴーレムのパンチが近づいていた。


 死んだ、と思った瞬間、ゴウが僕の前に来て盾を構えた。


 ドウゥーーーン。


 次の瞬間、僕とゴウは向かいの壁にたたきつけられた。





 あれから、1時間がほどたった。


 私とジュウで、倒れた二人を必死の思いで安全なエリアに戻した。


 「ユウくん、ゴウくん、大丈夫?」


 ジュウは涙目になりながら、必死で回復魔法を二人にかけている。だが、二人とも意識が戻っていない。


 特にゴウは、ゴーレムの一撃をもろに受けたはずだ。ただですむはずがない。


 不思議なことにゴーレムは、元いた場所から動かず、まるでスイッチが切れたかのように同じ場所に立っている。


 いわば、門番のように。


 それにしても、なぜこんなところにキンググレートゴーレムがいるんだい? いるにしても、どう考えても洞窟の最後のほうだろうに。


 何か、私たちの活躍を妨げるような意思を感じなくもないね。この世界の誰かが、勇者パーティーをあざ笑っているかのような。


 まあ、もしそんなことが起きているとして、そんなことができるのは相当な能力の持ち主か、相当な権力者ぐらいだろうねぇ。


 それが本当だとしたら、私たちは魔王以前に大きな敵を相手にしているわけだ。


 困ったねぇ。私の実家の興亡がかかっているというのに。まあ、そんなことはどうでもいいんだけどね。


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