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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
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第25話 勇者ユウ編④ 連戦連勝! どうだ、これが勇者パーティーだ!

 ページを開いていただきありがとうございます。


 「女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第25話です。

 

 今回は勇者パーティーの話になります。

 

 天竜の洞窟の攻略を始めた勇者パーティーですが、連戦連勝を重ねます。


 そんな中、勇者ユウの心境に変化が……。

 

 お楽しみに。

 ラック達と同じ頃 天竜の洞窟前



 僕たち勇者パーティーは王都で装備を整え、アイテムを補充して、約1週間の旅路を経て天竜山脈の麓から奥に入り組んだ、天竜の洞窟の前まで来た。


 「さあ、今度こそ僕たち勇者パーティーの輝かしい船出だ。圧倒的な力でこの洞窟を攻略し、魔都ハイルランドに侵攻しようじゃないか」


 「その通りだ、ユウ。お前が本気を出せば負けるはずなんてない」


 「ユウ君なら大丈夫だよ。どこまでもついて行くよ」


 ゴウとジュウは当然のように僕を褒め称える。僕は勇者だ。当然じゃないか。


 ただ、1人だけ怪訝な顔をしているメンバーがいる。魔法使いのサクだ。


 「ヒヒッ。ユウのレベルは20ぐらい、ゴウやジュウもそれぐらいだよね。そのレベルで、いきなり天竜の洞窟の奥に行くのは無理だね。まずは、入り口付近でレベルアップをお勧めするよ。何せ、天竜の洞窟は最低でもレベル30はないと攻略は難しいからね」


 レベルアップ? 確かに、この世界に来てから僕のレベルはほとんど上がっていない。


 だが、僕には最強のレアスキル『聖剣』がある。このスキルがあれば、レベルなんて関係なく、全ての敵を切り伏せることができるはずだ。


 もちろん、悪の象徴たる魔王もね。


 「ふむ。確かに、俺たちのレベルを上げる必要があるようだ。ユウ、どうだ? いったんサクの言うようにレベルアップをしてみるのは」


 ゴウ、君がそんなことを言うとは驚いたよ。


 「私も、もう少しレベルアップして、レアスキルにポイントを振りたいって思ってて」


 ジュウまでも、そう言うか。


 くっ。なぜだ。なぜ、思うようにいかないんだ。


 僕は選ばれし勇者じゃなかったのか。


 現実世界では、僕の思い通りにならないことなんてなかったのに。


 「……わかった。今の僕たちでは難しいなら、レベルを上げよう」


 こうして僕たちは、洞窟の入り口前にベースキャンプを張り、入っては出るを繰り返してレベルアップに専念することにした。




 「でやっ!」


 「はぁーっ」


 「ククッ。ファイアブラスト」


 「フルサポート!」


 僕たちは息の合った連携を披露し、入り口付近の魔物、ゴーレムやナイトリーパー、ビッグスライムなどにほぼ無傷で連戦連勝した。


 「どうだ、見たか僕たちの力を。僕たちが負けるわけがないんだ。僕たちは勇者パーティーだからね」


 「さすがは勇者ユウだ。その通りだ」


 ゴウ、やっぱり僕を分かってくれるのは君だけだ。


 「よし、じゃあ先に進むぞ」


 このまま、洞窟を攻略だ!


 「待って。ここから先に行ったら誰か死ぬよ」


 何だと。


 「サク。なぜ君はそんなことばかり言うんだ。連戦連勝じゃないか。僕たちの力は示した。このまま先も行けるだろう」


 サクは僕のそんな言葉を、つまらないという表情で返した。何なんだこいつは。


 「ククッ。今私たちが勝っているのは、レベル帯がちょうどいいからだよ。ここから先に行くと、一気に敵のレベルが上がるからね。もう少しレベルを上げてから、少しずつ進めていくべきだよ」


 くっ。


 悔しいが、こいつが嘘を言ったことはない。


 「ユウ。お前の次に進もうという志はとても素晴らしい。だが、今はサクの意見を聞こうじゃないか。確かに俺たちは、まだレベルが足りていない。ここはじっくり、この場所で勝ち続けよう。素材や食料を集めて、洞窟攻略の基礎を築くんだ。どうだ?」


 ゴウ……。分かったよ。


 「……君の言う通りだ、ゴウ。そうしよう」


その後も、連戦連勝を重ね、魔物や宝箱、ドロップ品から多くの資材を得ることができた。




 ベースキャンプに戻ると、僕たちはそれぞれの活動を始めた。


 まずは、近くの川で魔物の返り血を洗い流す。少し寒いけど、風呂がないから仕方がない。


 ゴウは川に行かずそのままキャンプに残り、倒した魔物の解体を始めた。


 この世界に来てからは、魔物も重要な食料源だ。


 それにしても、僕はこの世界に来るまでゴウが動物の解体が得意だとは知らなかった。


 「母方の祖父が田舎の人で、猟銃で狩りをしているんだ。幼い頃からそれを見てきた俺は、早いうちに獣の解体を覚えさせられた。父は野蛮だと反対していたけど、こんなところで生きるなんてな」


 そう言いながら、ゴウは器用に魔物を解体していく。


 もともとこの世界では魔物を食料とする文化がある。最初は驚いたが、家畜化された魔物を見ると、現実世界と何ら変わりないと今は慣れてしまった。


 ゴウが解体した魔物の肉を保存のため火に当て干している。


 本当にゴウは、こういう生活スキルが高い。まさに、僕の最高の相棒だ。


 「ククッ。ゴウもなかなかやるね。これでしばらくは食料に困ることはなさそうだ」


 「ほんと、ゴウくんって器用だよね」 


 肉だけで大丈夫なのか、と思われそうだけど、この世界に来てから肉だけでもやっていけることに気づいた。この世界に来た影響だろうか。


 「よし。仕込みは終わった。これでしばらくは食料は大丈夫だろう。魔物に取られないように細工もしたし、食事にしようか。俺が作ってもいいんだが、やはりジュウ、お前の料理が一番だ。火をおこすから、後は頼んだぞ」


 そう言うと、ゴウは枯れ木を使って器用に火を越こし始めた。


 火の起こし方そのものは僕も知ってはいるけど、それを難なくやってのけるゴウのサバイバルスキルは本当に高い。


 まさに、この世界でも相棒として最高の存在だ。


 「任せて。調味料をたくさん持ってきてるから、煮込み料理作るね」


 ジュウは旧家の生まれで、幼い頃から家事をたたき込まれているという。


 だから、遠征の際の調理担当はいつもジュウ、たまにゴウといった感じだった。


 ゴウの料理ももちろんおいしいが、ジュウの料理は本当にレベルが高い。


 この異世界にいるというのに、まるで日本にいるかのような味だった。


 「やはり、食事はジュウが作るに限るな。日本にいないのが寂しくならない味だ」


 「そういってもらえると、うれしいな」


 「ククッ。私にはやや薄味だけど、これが君たちの故郷の味付けなんだね。この世界で短い時間一緒に居るだけなのに、君たちの過ごしてきた様子が分かるようだよ」


 「サクは料理はしないのか?」


 僕はこっちの料理事情が少し気になった。


 こっちでは王宮で出される豪華な食事と、酒場の食事、そしてジュウの食事が主だった。


 だけど、店以外の個人が食事作る様子を見たことがなかったのだ。


 「ククッ。私はご飯なんて作れないよ。こう見えても一応貴族だからね。食事はメイドが作るものなのさ。ゴウには言ったけど、私は家族に魔法しか期待されていないからね。料理なんてする時間なかったのさ」


 貴族とはそういうものか。


 僕の家も全く同じだ。


 僕は父さんの会社を継ぐことを約束されていて、その代わり勉強という結果を常に求められた。


 僕は勉強が苦じゃなかった。簡単だったし、やっていれば認めてもらえたからだ。


 母さんは料理を作らず、父さんの助けになろうと常に動いていた。


 だから、料理はお手伝いの人が毎回作っていた。


 確かに味はおいしかった。いつも、僕たち兄妹を飽きさせないように、工夫をしてくれていたしね。


 でも、たまには母さんに作ってほしいと思っていた。


 僕と媛が幼い頃、まだ父さんの会社が大きくなかった頃は、よく母さんが料理を作ってくれていた。


 ……なぜ、僕はこんなことを思い出したのだろう。


 そして、媛、最愛の妹よ。君は今どこにいるんだい? 無事なのかい?


 「ユウ君、どうかした?」


 ジュウの声ではっと我に返る。


 「いや、何でもない」


 ゴウも心配そうに僕を見ている。


 「みんな疲れているようだな、今日は寝ようじゃないか、ユウ」


 その一言で、皆は魔法テントに帰って行った。


 僕も疲れていたのかもしれない。



 

 魔法テント内で横になっていると、ゴウが入ってきた。どうやら残りの食材の処理をしていたようだ。


 「寝てるか? ユウ」


 「いや、寝てない」


 起き上がってゴウのほうを振り向く。


 ゴウは少し心配そうな顔だ。


 「ユウ、俺は自分の人生をかけてお前を支えると決めている。だから、気になったことは言ってくれないか」


 「そう言ってくれるのは君だけだ、ゴウ。わかった。僕は、少し自信がないのかもしれない」


 ゴウは驚いた顔をしている。


 「どうしてだ。現実世界から常にお前は自信に満ちていて、横にいていつも頼もしかったぞ」


 「ああ。そうだったな。でも、ここに来て少し考えるようになったんだ。僕は勇者としてまだ結果を残せていない。本当に、選ばれし勇者なんだろうか、とね。それに、現実世界のことを思い出して、少し恋しくなってね。ゴウはそんなことはないのか?」


 ゴウは少し考えている。


 「……自信か。自信は結果によって生まれるものだからな。この世界の自分には俺も自信がないのは確かだ。でも、現実世界を懐かしいとは思っていない」


 「どうしてだ?」


 「俺たちには魔王の討伐、人類の解放という目的がある。それをお前と達成するまでは、現実世界に戻りたいとか、懐かしいという気持ちは封印しているんだ。今は、お前と偉業を成し遂げることしか考えていない」


 ゴウからの、いつになっても変わらない、厚い信頼を感じる。


 「ゴウ……」


 「それに、俺はお前ならこの困難な目標を達成できると信じている。だから、お前に人生を預けようと思っているんだ」


 涙が出そうになる。


 でも、僕は勇者だ。こんなところで泣いてはいけない。


 「明日からもレベルを上げて、1週間以内には先のエリアに行こう。俺たちならきっと天竜の洞窟を攻略することができる。さあ、もう寝よう」


 その一言で、僕は自然と眠りにつくことができた。




 「おはよう」


 「ククッ。おはよう」


 ジュウとサクが近づいてくる。


 「どうやら、悩みは消えたようだね。なら、先を目指すこともできそうだ」


 「いや、まずはこの場所でしっかりレベルアップだ。レベル30まで到達したら、先へ進もう」


 「ククッ。これは、本当に期待できそうだねぇ。」


 この後、僕たちは危なげなく戦い、圧勝に次ぐ圧勝で無事にレベル30まで達することができた。


 「よし!!」


 僕は珍しく、大声を上げた。


 これでスタートラインに立てた。


 媛がいないのは寂しいけど、勇者パーティーはこのメンバーで良かったんだ。


 僕は高らかに宣言する。


 「よし、この先を攻略するぞ!」


 「おう!」




 この時、僕には栄光の未来しか見えていなかった。


 だって、あんなことになるなんて、まさか誰も思わないだろう?


 読んでいただきありがとうございました。


 第25話「連戦連勝! どうだ、これが勇者パーティーだ!」でした。


 これまで、どちらかというとこの作品では道化を演じてもらっていた勇者ユウの、内面に少し触れてみました。


 持てるものには持てるものの苦悩があるようです。


 勇者パーティーは今回でかなり成長しました。


 ですが、ユウの人間性そのものは変わっていません。彼のゲスな一面もこれからもっと出てきますので、お楽しみに。


 次はヴェネッツに戻って、ラックパーティーvsコンブーメです。攻略が難しい相手を、ラック達はどう倒すのでしょうか。

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