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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第2章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで英雄になる
24/43

第23話 恋の季節到来! そして、ラックパーティーにライバル出現?

 ページを開いていただきありがとうございます。


 「女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第23話です。


 今回はラックパーティーに恋の季節? が到来します。


 そして、舞台は再びヴェネッツへ。


 よろしくお願いします。

 スタードに帰ってきてから1週間がたった。


 俺たちは相変わらず細々とした依頼をこなしながら、困っている人を助けるという方針で活動していた。


 でも、これまでよりは少しのんびりしてたかな。遠くにも行かなかったしね。


 今日も、俺たちは一仕事を終え、冒険者酒場「コーンマイン」でシュワーを飲んでいた。


 それにしても、スタードに戻ってきてからおかしなことが起こってる。


 あのパワーの食欲が落ちてるんだ。


 今までのパワーなら、食事が始まったら脇目も振らず肉を食べるどころか、他の肉も誰にも渡さないという感じで独占していたのだ。


 お陰で、所持金に余裕はあるとはいえ、わがパーティーのエンゲル係数はとんでもないことになっていた。


 それだけ、パワーの食へのこだわりはすごい。


 でも、そのパワーがなぜか、ここ最近肉を一切れ食べると食事を終え、席を立つんだよな。


 「何か、あんまり入らないだぁ~」


 こんなこと、これまで一度もなかったのに。


 「なあ、なんでパワーはあんなに食べなくなったんだ?」


 俺の言葉を聞くと、女子二人が顔を見合わせて笑った。え、俺なんか変なこと言った?


 「分からないのかい、マウスちゃん。君も案外、お子ちゃまだねぇ」


 「しょうがないよ。多分、ラックにはこういうのってあまり縁がなかっただろうし」


 どうも、俺一人だけ訳が分かっていないらしい。何だこの、置いてけぼりを食らった気分は、


 「おい、どういう意味だよ」


 「フフッ。パワー君を見れば分かるだろう。彼が、どこを見ているのかを見ればねぇ」


 「ほんと、ラックって鈍感なんだから。……色々な意味で、ね」


 ん? パワーの見ている方向?


 パワーは俺たちの席から少し離れた、誰もいないテーブルに一人でいる。


 その目線の先には、マーコちゃんのパーティー、「マーコ親衛隊」のメンバーがいた。


 相変わらず、マーコちゃんが今回の自分の冒険について、まるで英雄の冒険譚であるかのごとく話をしている。


 「そこで、私はわかったわ。このコボルトを倒した後に、強敵が来るってね。そうしたら、やっぱりその通りだったわ。ゴブリンが現れたの。でも私は慌てなかった。リーダーとしてあなたたちに的確な指示を出して、自慢のファイアボールでゴブリンを倒し、パーティーの危機を救ったのよ!」


 うーん、言いたいことは分かるけど、それって普通の冒険者だったら誰でもできることじゃ……。ゴブリンって、レベル10超えたら楽勝の相手だしね。 


 確か、「マーコ親衛隊」のメンバーは、1人はマコモアゼル家の執事、1人はマーコちゃんの護衛、そして1人だけが本物の親衛隊だったな。


 「マーコ様、僕はいつまでもあなたについて行きます!」


 ものすごい勢いだな。アイドルにガチ恋している奴みてーじゃん。


 あ、みんな忘れてると思うけど、マーコちゃんはスタードの豪商マコモアゼル家の1人娘で、とても大切にされてるんだ。


 本来はお婿さんを迎える年齢のはずだけど、マーコちゃんは冒険がしたいって言って聞かないらしい。


 マーコちゃんの両親は、遅れて生まれた1人娘を溺愛していて、なるべくマーコちゃんの思う通りになるよう、執事や護衛を使ってうまく冒険させているってクロが言ってたな。


 ん?


 パワーが、どう見ても、マーコちゃんを見ているぞ。


 しかも、ガチ恋ファンと同じような、熱烈なガチ恋の顔じゃん。


 え、パワーが恋? しかも、相手がマーコちゃん?


 「おい、いつから気づいてたんだよ」


 マジョは、何てことないといった風の顔をしている。


 「スタードを出る少し前くらいからかねぇ」


 「その頃から明らかにちょっと気になってたよね」


 プリンも何だかうれしそうに話す。


 正直言って、俺は全く気づいていなかった。


 「マジかよ。面白れーじゃん。早速パワーに聞いてみようかな」


 「パラライズ」 


「ぐぇっ!」


 俺は足がもつれて盛大に床に顔を打ちつけた。寝転んだままマジョをにらみつける。


 「な、何しやがんだ、マジョ」


 「余計なことをしようとしたのは君の方だろう。人の恋路に首を突っ込むのは野暮というものだよ、分からないのかいマウスちゃん」


 マジョが珍しく、少し怒っている。


 「マジョの言う通りだよ。ラックは女心だけじゃなくて、男心も分からない超鈍感ってよく分かった。帰ろっか、マジョ」


 プリンも何というか、含みのある嫌味を言った。


 そして、2人は俺を置いて帰っていった。


 クソッ。


 いや、ちょっとからかってやろうと思っただけじゃん。


 まあ、最低の行為だって自覚はあるよ、うん。でも面白そうじゃん。


 でも、これ以上余計なことをすると、明日からのマジョの特訓がとんでもないことになりそうだから、やめることにした。



 その後、俺は1人でシュワーを飲みながらパワーの様子を見ていた。


 マーコちゃんは相変わらず、何気ない冒険の日々を英雄譚のように語っている。


 パワーはその一言一言を逃すまいと、じっと聞いてはうれしそうにしている。


 本当に、恋してるんだな、パワー。


 一番お子様だと思ってたけど、そんな感情あったんだなお前に。


 正直、美女と美少女連れて冒険してるんだから、どっちかに恋してもおかしくないだろ。


 でも、パワーはそんな素振りを見せなかった。 だから、そういうのはないって勝手に決めつけていたんだよな。


 俺は、どうなんだろう。


 マジョが好意? を持っていてくれるのは純粋にうれしい。まあ、あいつは「興味」って言ってたけどな。


 マジョは顔見たら超絶美人だし、体型はナイスバディだ。要素だけだったら、俺がいつ好きになってもおかしくはない。


 でも、自分じゃよく分からない。


 プリンも、運命的に再会したし、この間おじさんおばさんちの横の田んぼで、何となくだけどめっちゃいい雰囲気になったな。エリーのイノブー達に邪魔されたけど。


 じゃあ今俺が初恋の相手であるプリンのことどう思っているか、と聞かれると、気にはなってるけど今はまだ初恋の人、と言うしかない。


 もちろん、ミッキーのことも当然気になっている。めちゃくちゃかわいいし、いい子だしね。


 こう考えると、俺って気が多いのか? それとも、俺の周りにかわいい子が多すぎるのか?


 おいおい、これじゃまるで、俺がさんざん嫌いだった、優柔不断なアニメの主人公そのものじゃねーか、俺は。 


 そんなことを考えていると、俺の隣に誰かが座ってきた。


 ミッキーだ。仕事終わりらしく、風呂に入った後なのか超絶いい匂いがする。


 「お疲れ~ラック。今日も人助け頑張った?」


 さっきまでミッキーのことを考えていたせいで、俺はどぎまぎした。


 「あ、ああ、ミッキーか。お、お疲れさん。ミッキーこそ、今日はどうだった?」


 ミッキーは大きな緑色の目を好奇心ありげに動かしている。茶金髪の髪がサラサラで、お世辞なしにめっちゃかわいい。


 「うん。今日もいくつかパーテーに参加してきたけど、どこもいい感じで終わったから良かったよ」


 そう言うと、ミッキーは俺の顔を下から覗き込むように言った。


 「何か悩んでるの? あ、もしかしてパワーのこと? なんか見てて、カワイイよね」


 「え、ミッキーも気づいてたの?」


 ミッキーはシュワーをあおると、またちょっと下から覗き込むように、極上のスマイルを見せた。


 「女の子の勘をなめてもらっちゃ困るよ? この間からパワーはずっとマーコちゃんにお熱だからね。みんな気づいてるよ、ラック以外」


 そっか。俺以外みんな気づいてたのか。


 「ミッキーは、このことどう思ってんの?」


 ミッキーは持っていたグラスを少し傾けて答える。


 「いいんじゃないかな? 誰しも、人を好きになるのは自然なことだし、それがどういう結果になっても誰も止める権利はないよね」


 何だか、恋をしたことがありそうな意見だな。


 もしかして、ミッキーは俺のことが……。いや、ないない。勘違いするな。


 でも、つい聞きたくなってしまった。


 「ミッキーもそういう経験あるの?」


 すると、ミッキーの笑顔がすっと素に戻った。


 以前もこの顔を見たことがある。


 ミッキーが、自分自身の内面に触れられたときに見せる、拒絶の表情だ。


 「……ないよ。私、そういう気持ち、よくわからないし。でも、誰かに決めつけられるのだけは嫌、かな」


 こういう時のミッキーって、本心では話してくれてない気がするんだよね。


 何というか、言いたくない事情を隠し持っているっていうか。


 ミッキーは、自分の出身やスタードに来る前の過去のことを、俺たちに話してくれたことはない。それとなく聞こうと思っても、毎回はぐらかされるし。


 ミッキーが、こうやってたまに素の反応を見せるのと、何か関係があるんだろうか。


 そう考えていると、ミッキーはぱっと明るい笑顔を見せた。いつもの「営業スマイル」だ。


 「あ、そうそう。ラックの所に来たのは話があったからなんだよね。ヴェネッツギルドからラック達に直々の依頼が来たって。ギルドマスターのマミーから、私に伝えてくれって」


 「え、ヴェネッツギルドからの直接俺たちに?」


 「そうらしいよ。すごいね、ラックたち」


 おいおい、いきなりすぎてちょっと理解が追いつかないわ。


 それ、一体どんなクエストなんだよ。


 だいたい、ヴェネッツにも高レベルの冒険者はたくさんいるだろ。


 そりゃ、ご指名はうれしいけど、何で俺たちなんだ? 


 ヴェネッツギルドからだから、確かに報酬はすごそうだけど、嫌な予感しかしないんだが。


 ギルドマスターのマミーから、の伝言か。マミーにはまだ会ったことことがないな。


 マミーって、前も言ったけど高レベルの冒険者しか相手にしないって聞いてたよな。


 そのマミーから、遂に俺たちに声がかかったってことか。


 「それって、どんな依頼か聞いてる?」


 「詳しいことは明日って聞いてるけど、何でもヴェネッツギルドの高レベル冒険者がことごとく失敗しているクエストらしくって。スタードからいくつかパーティーが挑戦したけどやっぱりダメで、それでメタルン狩りの実績があって、変わったクエストばかりクリアしてるラック達を指名したんだって」


 「マジか」


 おいおい、どう考えても大変そうじゃん。


 高レベル冒険者がみんな失敗したクエストが回ってきたってことだろ?


 まあ、内容聞いてないのにジタバタしてもしょうがないな。


 「わかった。明日内容聞いてから考えるわ。そういえばミッキー」


 「なに?」


 ミッキーは相変わらず穏やかな笑みを浮かべている。


 今なら、少しなら聞いてもいいのかな。


 「答えられる範囲でいいんだけどさ。前々から気になってたんだけど、ミッキーがその年で冒険者派遣会社を結成して、ギルドや冒険者から絶大な信頼を得ているのって本当にすごいよな。でも、どうやってそこまで持って行ったんだ? とてもじゃないけど、俺なんかにはできないなって」


 ミッキーは笑顔のままだけど、黙っている。


 「それに、正直、俺もミッキーに会った瞬間から、すごい引きつけられるというか、いや恋愛的な意味じゃなくてよ。でも、最初からすごい信用できそうだって感じがして。それが派遣会社の成功に影響したのかな、とも思って。それってもしかして、ミッキーのレアスキルか何かが関係してるの?」


 ミッキーの顔が笑顔から、驚いた表情に変わった。


 「すごいね、ラックは。……分かった。これは、話してもいいかな」


 そう言うと、ミッキーは俺の方を正面から向いた。


 「私のレアスキルは『太陽』だよ。生まれつきのパッシブスキルなんだけど、気がついたら周りとうまくいくようになって。……私、色んな事情抱えてスタードに来て、冒険者のみんなにお世話になったから、いつかみんなに恩返しがしたいって思ってて」


 「そうだったんだ」


 レアスキル『太陽』か。「スタードの太陽」って言われるミッキーにぴったりなレアスキルだ。


 どおりで最初から、ミッキーのことが気になってたんだな俺。


 ミッキーは笑った。いつもの営業スマイルじゃない。たぶん、ミッキー本来の、少しあどけない笑顔だ。


 「私、ずっと冒険者をやるつもりじゃなかったから、自分でパーティー組むんじゃなくって、色んなパーティーに参加してたの。そうしたら、パーティーに来てほしい冒険者と、1人でパーティーに参加したい冒険者、パーティーに参加したくてもできない冒険者がいるって気づいてね。それで、儲け度外視でキャラバンを作ったんだ。今は、そこそこ儲かってるけどね」


 最後は、少しいたずらっぽい感じで笑いながら言った。


 「そうだったんだ。やっぱりレアスキルが関係してたんだな。でも、レアスキルだけじゃないよ。ミッキーの人柄がみんなを信頼させたんだ、きっと」


 「ありがとう」


 ミッキーはうれしそうだ。


 少しだけ、気になる言葉があったな。


 「いろんな事情を抱えてスタードに」「ずっと冒険者をやるつもりじゃなかった」か。


 どういう意味なんだろ。


 「もちろん、うまくいったのはレアスキルのお陰だっていうのは分かってる。でも、この活動で少しでも救われる冒険者がいればな、って」


 「俺もその1人だよ。ミッキーがいなかったら、今ごろこの世界で野垂れ死んでただろうし」


 ほんと、そうなんだよな。俺ってクロとミッキーに拾ってもらったんだし。


 ミッキーは少し酔ったような顔をしている。


 「そんなことないよ。あのね、ラック、……」


 ミッキーは物憂げな表情で、何かを言いかけた。


 俺は、じっと次の言葉を待った。


 でも、その後に来たのは、いつもの「営業スマイル」だった。


 「ううん。何でもない。ヴェネッツのクエスト頑張ってね! おやすみなさい」


 そう言って、ミッキーは酒場を出て行った。


 何が、言いたかったんだろうな。



 次の朝、俺たちパーティーはスタードギルドに呼び出された。


 「あ、ラックさんおはようございます。クエスト受けてくれてありがとうございますね」


 万能巨乳美人受付嬢こと、アンが挨拶をしてくれる。アンもやっぱりかわいい。


 「いやー、この依頼、ヴェネッツの冒険者がたくさん失敗して、うちに回ってきたんですけど誰も引き受けてくれなかったんですよ。でも、変わった依頼をこなしているラックさんの噂を聞いて、向こうのギルドから直接指定の依頼が来たんです。すごいですねラックさん達」


 「まあね。やっぱ俺って、すごいのね」


 アンにそう言われてさすがに悪い気はしない。


 でも、同時にげんなりしていた。


 やっぱ、みんな引き受けたがらなかったんじゃねーか。


 すると、ギルドの中から老婆が現れた。老婆だが、目は異常に鋭い。


 「あんたたちがラックパーティーかい。私はスタードギルドマスターのマミーだよ」


 これがマミーか。初めて会うけど、ちょっと怖い人だな。


 「ああ、俺がラックだ。で、どんな依頼なんだ?」


 マミーは俺たち1人1人を値踏みするような目で見た。


 「依頼内容は、川の底に住み着いた海藻型の魔物を退治してほしいというものだよ」


 「海藻型の魔物?」


 そんなのいるんだ。聞いたことないな。


 「知らないのかいマウスちゃん。海の近い方には結構いるんだよ。ただ、あまり害になったという話は聞かないけどねぇ」


 マジョが説明してくれた。なるほどね。


 「そうか。害にならない魔物もいるよね。どうして討伐するんだろう」


 プリンの言うことに同感だ。こっちにもスライムとかみたいに、害にならず基本的に放っておかれる魔物は多い。要は害のない野生動物みたいな感じだな。


 それを討伐、ときたか。


 「知っているとは思うが、ヴェネッツは川を生かした交易都市だね。だが、この魔物は川の交わる重要な地点に生息していて、交易の大きな妨げになっているらしいのさ。向こうの冒険者が何度も挑戦してもうまくいかなかったという話だから難しいだろうけど、向こうのギルドからお前さん達に直接来た依頼だからね」


 「なるほど、そいつが邪魔ってことだな」


 「そういうことだね。頼んだよ」


 そう言って、マミーは奥に入っていった。


 「よし、じゃあ今日は準備して、明日の朝からヴェネッツに出発しようか」


 「うむ、そうしようかねぇ」


 その時だった。


 「ちょっと待ちなさい。そのクエスト、私たちも同行させてもらうわ」


 え? この声は。


 マーコちゃん?

 読んでいただきありがとうございました。


 第23話「恋の季節到来! そして、ラックパーティーにライバル出現?」でした。


 今回はパワーの恋について描きました。


 パワーが恋するなんて、この作品の構想当初は考えもしていませんでした。


 また、それに伴ってマーコとそのパーティーについても初めて触れました。


 これでスタードの主要登場人物が揃いました。


 マーコもなかなか癖がある人物になっています。今後も期待してください。


 そして、ラックとミッキーの交流も描きました。


 2人が今すぐ恋愛、というわけではありませんが、今後につながる重要な要素を書いてみました。


 ヴェネッツに一緒に行くと言い出したマーコちゃんに、ラック達はどのような反応を見せるのか。


 次回お楽しみに。

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