表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第1章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで最高の仲間たちと出会う
17/43

第17話 勇者ユウ編③ 何だその態度は! 僕たちは勇者パーティーだぞ! 

 ページを開いていただきありがとうございます。

 「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第17話です。

 今回は、天竜山脈で天竜に敗れ負傷したユウたちが、体勢を整えるために一旦王都エイガーに戻ります。

 そこで彼らを待っていたものとは。ユウの屈辱、そしてこれまで語られなかったサクとゴウの抱く思いとは。

 勇者編が長くなってしまったため、プリン編と分けることにしました。

 よろしくお願いします。

 ラック達と同時期 勇者パーティー




 僕たち勇者パーティーは、僕の怪我が治ると一時体勢を立て直すため天竜山脈の麓から王都エイガーに戻った。


 王都に戻ると、貴族達が僕たちの所に次々とやってきた。


 「天竜山脈を攻略されたそうですが、魔都にはたどり着いたのですか?」


 「天竜と戦ったと噂で聞きましたが、史上初の天竜征伐者となられたのですか?」


 僕は何と答えていいのか分からないでいた。正直に答えれば、勇者パーティーの、ひいては僕の評判に関わってしまうからだ。


 そんな時、いつも僕を助けてくれるのはゴウだ。


 「我々勇者パーティーは確かに天竜山脈を越えて、魔都への侵入を試みました。ですが、天竜との激闘の末、けが人が出たためやむを得ず王都にいったん帰ってきました。ここで体勢を整え、次は天竜の洞窟に向かいます」


 貴族達は怪訝な顔をしている。


 「ふむ、ものは言い様とでもいいましょうか。要は天竜山脈を突破できなかったということですかな」


 「勇者様の侵攻を見通して魔都に投資をしていたのに、無駄金になってしまったなぁ」


 こんなはずじゃなかった、という貴族達の声が聞こえてくる。異世界から来た僕たちに魔王と戦わせて、自分たちは楽をして魔都の権益を得たい、そういう貴族達の思惑を聞くとイライラが止まらなかった。


 しかし、文句を言おうとした僕をジュウがそっと制した。どういうつもりだ。


 「私たちの活躍なしには貴方たちの願いは叶わないはずです。私たちは勇者パーティー、礼を欠く対応をすれば、どうなるか分かりますね?」


 ジュウは笑顔で言ったが、貴族達には意図が伝わったらしい。


 「い、いえ私たちは、勇者様にお願いしなければならない立場であることは、十分わかっております」


 「し、失礼しました」


 そう言って貴族は去って行った。


 僕は少しすっきりした。ジュウが言ったことで、というのは少し気に食わないが、貴族達に勇者パーティーの価値を再認識させたからだ。


 「ゴウ、ジュウ、ありがとう。僕たちは勇者パーティーだ。誇りを失ってはいけない」


 ゴウとジュウはうんと力強く頷く。


 「ククッ、誇りねぇ~。それも大事だろうけど、次のダンジョン攻略が一大事だよ。天竜の洞窟を攻略すると言ったからには、しなきゃいけないからね」


 サクは相変わらず不安要素ばかり口にする。


 「サク、自分が誇り高き勇者パーティーの一員だという自覚はないのか?」


 僕の問いにも、サクは薄く笑っているだけだった。


 「ククッ、誇り高きはともかく、勇者パーティーになってこれだけ王家から優遇を受けている以上、成果は残さないとね。大学の学費もタダになったし、両親が土地をもらったのもあるからね」


 サクは勇者パーティーに入ったことで、この世界の実利を得たということか。それもいいだろう。


 ただ、とサクは言った。皆サクの言うことを黙って聞いている。


 「魔都侵攻は甘くはないよ。魔族は人類より強いし、魔王の実力はアンカールド1さ。闇雲に行くよりは、遠回りしながらすこしずつ実力をつけていくほうがいいと思うけどね、ククッ」


 ゴウはうんと頷いた。


 「確かに、サクの言うことは一理ある。俺たちはこの世界に来て日が浅い。レベルを上げながらこの世界への理解も進めることもいいだろう。ただ、決めるのはユウ、お前だ。俺はお前の決定にどこまでもついて行く」


 「私も、ユウ君の決めたことには絶対について行くよ」


 ジュウはともかく、ゴウの変わらぬ力強い支持が嬉しかった。


 僕は改めて決意する。


 「僕たち勇者パーティーだ。だから、ただ魔王を倒すだけでは駄目だ。この世界で名声を後世まで残す功績を挙げてこそ、勇者パーティーというものだろう。天竜山脈では天竜を突破することができなかったけど、方針を曲げるつもりはない。次は天竜の洞窟を突破して、世に勇者パーティーありと示そうじゃないか」


 それを聞くと、ゴウとジュウは拍手をした。当然だろう。僕の決断だからね。


 「さすがは選ばれし勇者、ユウだ。初志を曲げないその姿勢、まさに勇者そのものだ」


 「ユウ君の言う通りだよ。私たちは勇者パーティーなんだから」


 サクはと言うと、ただ「ククッ」と笑っているだけだった。


 その日は王城でこの世界ならではの豪華な夕食を食べ、王城内に用意されたそれぞれの部屋で休むことになった。明日王に謁見して旅の報告をすることになっている。


 僕ははすぐにジュウを自分の部屋に呼びつけた。もちろん、性欲のはけ口にするためだ。


 そうとは知らないジュウは嬉しそうに部屋にやってきた。


 ジュウは僕の妹プリンと同じ中高一貫の超お嬢様高校に通っている。日本有数の旧家の娘で、僕と付き合うまでは男というものを知らなかった。


 だからだろう。僕がどんなことをしても笑顔で嬉しいと言っている。まあ、僕の魅力を考えると仕方ない気もするけどね。


 ジュウが入ってきた。間抜けな顔だ。僕にとってジュウはこの世界限定の相手、元の世界に帰ったら捨ててしまう関係に過ぎないのに。


 その日も、僕ははジュウを好きなように扱った。これもまた当然なことだ。僕はこの娯楽の少ない異世界ですっきりすることができるし、ジュウもそれを望んでいるんだからね。




 「ユウ君に部屋に呼ばれたんだ。じゃあね、サクちゃん」


 そう言って嬉しそうにジュウは私の部屋から出て行った。


 私は勇者一行として旅をする中で、自然とジュウと仲が良くなった。魔法テントでも常に一緒だし、女子2人だから話が弾むからね。


 ジュウは旅の途中でも、頻繁にユウに呼ばれては体を重ねているようだ。


 私から見ればユウなんて取るに足らない、虚栄心の塊みたいな男だけど、ジュウはあんな男に恋をしているようだった。


 私はまともな恋をしたことがない。そもそもする意味が見いだせなかったからだ。


 私は幼い頃から天才と呼ばれ、気がついたら自分以外の同世代のほとんどが幼稚に見えるようになっていた。


 当然同世代の異性にも興味がなく、何度か愛を伝えられたけど全て断っていた。そのせいか、私は男に興味がないと思われている。


 正直言って、異性に全く興味がないわけではない。ただ、興味が出るような男がいないだけだった。


 大学の魔法研究科に行けば自分よりすごい男がいるかもしれないと少しだけ期待したけど、そんな男はやはり居るはずがなかった。


 だから、私は男に夢を見ていない。


 唯一、大学のマジョ先輩にはかなわないと思った。


 魔力自体もそうだけど、マジョ先輩は研究のためなら全てのことを厭わない気だ。


 勇者パーティーも自分の研究に意味がないと断ったくらいだから。


 私は勇者パーティーを断ることができなかった。


 下級貴族に過ぎない我が家は、私の魔法研究に家の将来を託している。


 だから、父も母も弟も、私が勇者パーティーに決まったときは相当喜んだものだ。これで我が家の栄達は間違いないってね。


 でも、私にとっては本当に迷惑だった。


 私は家から自由になり、自分の好きな研究をして暮らしたい。


 そのためなら、魔法都市ボムボムに移住したいとまで思っていた。


 その私が今や、勇者パーティーとして魔族を倒す側だ。笑えるじゃないか。


 私はジュウが私の部屋を去った後、ゴウの部屋を訪ねた。ゴウと少し話したいことがあったからだ。


 私が見る限り、ゴウはユウよりも遙かに頭が切れ、勇者パーティーをより現実的な方向に導く力がある。


 でも、ゴウは不自然なくらいにユウの言うことを第一にする。


 私には理由が分からなかった。


 「ゴウ、ちょっと話があるんだけど、いいかい」


 部屋をのぞくと、ゴウは何やら本や手紙を読んでいた。


 「サクか。めずらしいな。どうぞ」


 そう言うと、ゴウは本をぱたりと閉じた。タイトルには「アンカールド史大全」と書いてある。


 椅子に腰掛けるように促され、私はゴウの対面に座った。


 「こんな時間にどうかしたのか?」


 「ククッ。今頃ユウとジュウはお楽しみ中さ。君は興味がないのかい?」


 ゴウは少し困ったような顔をした。


 「ユウとジュウの関係に口を出すのは野暮だろう。それに、女に興味がないわけじゃないが、今は勇者パーティーとしてユウの活躍を支えるのが最優先だと考えているからな」


 ゴウは神妙な顔つきだ。


 「ククッ。単刀直入に言わせてもらうよ。君ほどの実力、知力がありながら、なぜユウの下に着くことにこだわるんだい? ユウは悪い奴じゃあないけど、単純なヒロイズムに酔っているきらいがある。彼の言う通りにしている間は、君達の望むような勇者パーティーの栄光は難しいと思うけどね」


 「お前の言いたいことはよく分かるし、忠告は受け取っておく。でも、これは理屈じゃないんだ」


 この理知的に見える男が『理屈じゃない』、か。


 「ククッ。理屈を超えた何かときたか。ぜひお聞きかせ願いたいね」


 ゴウはコーヒーをぐっとあおった。


 「ああ。まず、俺の父はユウの父の会社の顧問弁護士をしている。といってもこっちの人間であるお前には分かりづらいよな。簡単に言うと、父がユウの父に相当お世話になっているんだ。俺の父とユウの父も同級生でな。貧乏弁護士だった父を会社に引き入れてくれたんだ。お陰で今は俺の家族は豊かな暮らしができている」


 「なるほど、ユウの父君が君の父君の恩人と言うことか。それは分かった。でも、それだけで君がユウに盲従する理由になるとは思えないね」


 ゴウはふっと笑う。色んな感情がこもった顔だ。


 「盲従か……。そう見えるかもな。でも、俺にとってユウはそれぐらい大事な存在なんだ。まず、ユウの父親の会社はいずれユウが継ぐ。その時俺は弁護士としてユウの会社を支えると決めている。これは親に言われたことじゃない。自分の意思だ」


 「ふうん。その理由も聞いていいかな」


 「ああ。きっかけは小学校の頃だな。小学校、分かるか?」


 「こっちにも似たような、幼年学校があるから分かるよ。それで?」


 「小学生の頃、ユウを含めて仲の良かった友達が3人いたんだ。1人はユウ。もう1人は何というか、悪運が強くて憎めない奴だった。あと1人はおとなしい奴だったけど、動物が好きでな。学校の動物をとても大切にしていたんだ」


 ゴウとユウの幼少時代、そしてアースの友達か。実に興味深いね。


 「でも、ある時その友達が学校に来なくなってしまった。そいつが大事にしていた学校の動物を、何者かが殺してしまったんだ」


 「ほう。そんなことが」


 「ああ。俺は友達だと思っていたから、何度家に行っても部屋から出てくれなかった時はショックだった。その時ユウが励ましてくれたんだ。『あいつのこれからを静かに応援してやろう』とな。学校に来なくなった友達はそのまま転校して、憎めない奴は中学が別だったから、今の俺にとって本当の友達はユウだけだ。だから俺はユウがこの世界でやりたいことを実現したい。それだけだ」


 ゴウは静かに遠くを見るような顔をした。


 「ククッ。なるほどなるほど。話してくれてありがとう。そういうことがあったんだね。幼い頃からの絆、と言ったところか」


 私はゴウの部屋を出る。


 ゴウの言っていることは本当だろう。でも、全てを言っている訳ではない気もしていた。


 私は私で、今後の勇者パーティーについて考えないとね。実に気は進まないが。




 次の日の朝 王城広間




 「よく戻ってきてくれた、勇者よ」


 「はっ」


 僕は形式上、王に頭を下げる。


 実際にこの世界を救おうとしているのは僕なのだから、頭を下げる義理はないけれども、王に立場があるだろうからね。


 いわゆるノブリス・オブリージュというものだ。


 「さて、天竜山脈を越えられず、天竜に敗れて帰ってきたと聞いたが、それは本当か?」


 な。


 昨日、貴族達にはそれらしく説明していたはずだ。それがなぜこんなことを言われるんだ。


 「いえ、私たちは天竜との激闘の末、一時撤退してきただけですが」


 「一時撤退、か。私に入っている情報では、ユウ、お主が天竜に負けて天竜山脈の麓でしばらくの間寝ていたとあるが。弁解があれば聞こう」


 「くっ」


 僕は何も言うことができない。


 そもそも、なぜ向こうで起きたことが王に筒抜けなんだ。


 「王よ、確かにそうかもしれませんが、我々はあくまで勇者の急な負傷によって撤退しただけです。この後は天竜の洞窟を抜け、魔都に達し魔王を倒してみせます」


 さすがはゴウ。僕のことをうまくフォローしてくれた。


 「ものは言い様というものだな。いいか、お主ら勇者パーティーには大金をかけている。豪華な生活も召使いも最高の武器防具も、全てはアンカールド大陸統一という我らの大義のためだ。ひいてはその先の魔王領の再開発という人類の栄光に向けた、名誉ある役目を君たちは担っているのだ。失敗は許されないのだよ」


 僕は思わず王をにらみつけた。


 なぜ僕が、大勢の前で罵られなければならないんだ。


 ここに居る王族や貴族達は、大陸統一後の利権にしか興味がない。


 危険なことを異世界から来た僕たちにやらせようという卑しい奴らだ。


 実力でものを言わせるしかない。


 「必ずや、天竜の洞窟を攻略しましょう。それで満足でしょうか」


 王はあごひげに手をやった。


 「ふむ、天竜の洞窟を攻略したら、勇者パーティーをこの世界の救世主と認め、王家として勇者パーティーの功績を永久に語り継ごうではないか」


 こうして、王との謁見は終わった。


 自室に戻る前、自分たち専用の広間に着くと、僕は声を上げた。


 「なぜ、僕たちがこんな目に遭わなければならないんだ。僕たちは勇者パーティーだぞ! 戦っているのは僕たちだ。彼らは安全なところで僕たちをいいように使っているだけじゃないか!」


 僕は思わず感情的になってしまった。


 僕らしくもない。でも、言わずにはいられなかった。


 ゴウが僕の肩に手を置く。


 「ユウ、まずは落ち着こう。お前の言う通り、俺たちの力を示せばいいだけだ。武器や防具の修理ができ次第王都を出て、天竜の洞窟に向かおうじゃないか」


 「私はユウ君をずっと信じている。私たちならきっとできるよ」


 ジュウも僕も脇に立った。いつもは煩わしいが、今日だけは頼りになる気がした。


 「ククッ。まあ、力を示すしかないだろうね」


 サクは相変わらずだが、それでも前を見ている。


 そうだ、僕たちの旅はまだ始まったばかりだ。


 この世界にいつまでも名を残すような、そんな栄光の旅路が。


 僕という選ばれし人間に、ゴウという最強の友達がついていれば、不可能なことなんてないはずだ。

 最後まで読んでいただきありがとうございました。

 第17話「僕たちは勇者パーティーだぞ!」でした。いかがだったでしょうか。

 王や貴族の醜い願望や、ユウがこれまでの人生で味わったことのない屈辱、サクの事情、そしてゴウのユウに対する思いと、書きたいことがたくさん書けました。ジュウの内面だけ書けていませんが、いずれ書きたいと思います。

 次の勇者編はしばらく先(5話後?)になります。次は天竜の洞窟という非常に長く厳しい洞窟の攻略になります。何となく、結果が見えているような気もしないでもないですが、気長にお待ちください。

 一緒にアップする予定だったプリン編ですが、可能であれば明日昼にアップしたいですね。

 無理だったら一週間後になると思います。その時は申し訳ありません。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ