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(第2章完結!)女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで異世界を成り上がる  作者: エルティ
第1章 女神ガチャに外れて捨てられた俺が、運だけで最高の仲間たちと出会う
11/43

第11話 俺が攻撃に向いていない? じゃあ俺冒険者に向いてないじゃん

 ページを開いていただきありがとうございます。

「女神ガチャに外れた俺が、運だけで異世界を成り上がる」第11話です。

 今回ラックは仲間から非情な宣告をされてしまいます。

 はたしてラックの冒険はどうなるんでしょうか?

 俺たちはクエスト終了後、30分かけてスタードまで戻った。


 お家に帰るまでが冒険ですってな。


 ギルドに帰るまでの道中もとても安全で、ちょくちょく魔物を倒しながらスムーズに進んだ。


 「この! この! この! この!」


 マジで俺今日何回攻撃したんだよ。右腕が棒のようだわ。


 スタードに帰りつき、俺たちはギルドに戻ってクエストの報告をした。


 ギルドの受付嬢アンが歓迎してくれた。


 「ラックさんお疲れ様でした。無事でしたか? 報酬はこちらになります」


 こんなにへとへとになるまでやったのに、クエスト報酬は3000イェンだった。


 まあ、子供達の遊び場を掃除したようなもんだからな。


 小学生にはいい小遣いだろうけど、俺にとっては酒場で飲み食いすれば消える額だ。


 おいおい、あんだけやったのに小学生のバイト代かよ。


 ただ、俺の運のお陰か、スライムやドブネズミからレアドロップ(スライムの核、ドブネズミの上牙)が結構出た。


 と言っても、商人に売っても合計5000イェンだったけど。


 「1日働いてこれじゃ、正直やっていけないな」


 俺は思わずそうつぶやく。


 「マウスちゃん、お金のことなら何も心配する必要はないさ。何なら私が養ってあげよう」


 マジョが俺を慈愛の目で見ている。


 いやいや、これはペットをかわいがってる時の目じゃねーか。


 俺は苦笑いするしかない。


 「俺はお前のペットか何かかよ」


 ま、それも悪くないんだけど、でもそうじゃないんだ。


 「いや、それじゃ駄目なんだ。自分の稼ぎで自立できるようにならないと、女神エレクトラになんてたどり着けない。まして、お前のヒモやってるようじゃ絶対無理だろ」


 「うん、その意気だよラック」


 三次元の天使(俺が内心勝手につけた)、ミッキーが声をかけてくれる。


 少なくとも、1日あたり1人1万イェンは稼げないと冒険の継続は難しそうだ。


 もう日が暮れかけている。


 そんな時、気遣い上手のミッキーがまた声をかけてくれる。


 「ラック、今日は疲れたんじゃない。初めての冒険だったから緊張もしただろうし。今日の成果は初めてにしては十分だよ。だから、ラックの初冒険をシュワーでお祝いしないとね」


 自分も疲れてるはずなのに、こんな優しいこと言ってくれるなんて。


 「ウッ」


 ちょっと泣けてきた。


 ほんと、ミッキーって天使だよなぁ。


 それにしても疲れたわ。冒険者ってこんな疲れるのかよ。


 クロも言ってたな。冒険者は体が資本だって。毎日冒険なんてできないって。


 それ考えると、毎日連続で冒険してるって言われてる勇者パーティーってマジですごいな。


 うっかり選ばれて入らなくて良かったわ~。


 そんなことを考えている俺をよそに、マジョはうれしそうだ。


 「マウスちゃん、今日は本当によくやったねぇ。いくらかレベルが上がったんじゃないのかい」


 マジか、と思った俺はステータスボードを開く。


 


ラック(幸村幸夫) 盗賊 レベル8 


HP36 MP18 パワー13 スピード26 テクニック26 魔力8 信仰8 運1175


レアスキル 『剛運』 『超運』


 「おいおい、ほんとにレベル上がってんじゃん。やったぜ!」


 でも、主要ステータスはほとんど変化がない。相変わらず、運が爆上がりしてるだけだ。


 俺ってほんっとに運しか伸びないんだな。


 「ふん。運だけで何にも役に立たないだろ、こんなやつ」


 「んだと?」


 「ちょっとハイ。そんなこと言わないの」


 ハイの野郎、聞こえてるっつーの。悪口は小声でも聞こえるってことわざあるの知らないのか。


 ただ、今日は結構ハイに助けられたから、これ以上何も言えねーわ。


 「ラック、盗賊ならとりあえず解錠は取っておくと役に立つよ」


 スキルポイントが手に入ったから、ミッキーの助言の通りとりあえず盗賊に2ポイント振って基本技である「解錠」を覚えた。


 今後の冒険できっと役に立つだろう。宝箱とか、じゃんじゃん開けてみたいしね。


 しかし、まだスキルポイントが8余っている。


 「なあ、余ったスキルポイントはどうしようか」


 マジョはこっちを向いて即答する。


 「それは、君の最大の特徴であるレアスキルを上げるべきだよ」


 そう言われて俺は、「剛運」と「超運」のスキルを開いた。


 「剛運」は、確か運に関する判定率を大幅に引き上げるスキルだ。俺は剛運にスキルポイントを4振った。


 すると、スキル「運判定1.1倍」を覚えた。相変わらず、効果は全く実感できない。


 「意味あんのかこれ?」


 次に、「超運」にスキルポイントを4振ってみた。


 「マウスちゃんは盗賊だから、この中だとパリィと影縫いが役立つんじゃないかい」


 俺はマジョの助言に従って、運判定の防御スキル「運パリィ」と、同じく運判定の妨害スキル「運影縫い」を覚えた。


 影縫い、は何となく分かる。確か相手の影を攻撃して動きを止めるスキルだろ。ニンジャっぽくってかっこいいよな。


 消費MPが安いのもいいな。俺全然MPないからね。


 ただ、影がないところだと使えないみたいだけど。


 それに対して、「運パリィ」ってのはほとんどパッシブスキルみたいなものらしく、ずっと発動してても消費MPはかなり少ない。これなら1回の冒険ぐらいは持ちそうだ。


 でもパリィって、つまりは相手の攻撃を武器で弾いて受け流すんだよな。ステータスが終わってる俺にそんなことできんのか?


 「この運パリィっての、ほんとに使えるのか?」


 俺が思わずそう聞くと、マジョは珍しく、いつものマッドサイエンティスト風の顔をせず、穏やかに笑った。


 俺はマジョのそういう優しい表情を初めて見た。まるで包まれるみたいだ。


 「ああ、きっと使えるさ。そして、これからの冒険がもっと楽しくなるはずだよ」


 何かマジョめっちゃ優しいな。こんな奴だったっけ?


 そう思っていると、マジョは急に真顔になった。


 そしてマジョは、俺の今後の冒険者人生を決定づける、残酷な言葉を発した。


 「ところで今回の冒険でよく分かったんだがねぇ。残念ながらマウスちゃん、君は攻撃に向いていないようだよ」


 「は?」


 一瞬マジョの言っている意味が分からなかった。


 「俺が攻撃に向いてない? おいおい、俺って一応前衛の攻撃職だけど?」


 そんな俺の不安をよそに、手痛い追撃が後ろから来た。


 「うーん。確かに、マジョさんの言うとおりかもしれない。ラックは攻撃役じゃない方がいいかもね」


 なんと、ミッキーまでマジョの意見に賛成してきたじゃないか。


 お前ら正気か? 俺は目を思いっきり見開いた。


 せっかく初めての冒険が終わって気分がいいのに、何てこと言うんだよ。


 それってつまり、俺がそもそも冒険者に向いてないってことじゃん。


 ……でもなぁ。


 スライム相手にクリティカルで5ダメージ、じゃあなぁ。


 「じゃあ俺、これからどうしたらいいんだよ……」


 俺は消え入るような声を出した。ハイが「知るか」という顔をしている。


 すると、マジョは意外なことを言った。


 「マウスちゃんの能力、特に運は、攻撃よりも防御に役立つはずさ。要は、マウスちゃんの代わりに攻撃してくれるメンバーを迎えれば、このパーティはとても強くなるはずだよ」


 マジョの言っている意味が全く分からない。


 「え? 俺が防御? 俺って盾なんか持てないし、そもそも防御力とか皆無なんだけど。無理だろ」


 訳の分かっていない俺に、ミッキーが優しく解説してくれる。


 「ラックって運がものすごく高いよね。だから、『運パリィ』で相手の攻撃をはじけば、きっとパーティーの防御役ができると思うよ。もし『運パリィ』に失敗しても、『運回避』でかわせるはず、だよ。短剣を二刀流にすれば確率はもっと上がるから、試しにやってみたら?」


 「運パリィ」に「運回避」。確かに今回取ったスキルだけど、使い方なんて考えてもいなかった。


 そんな戦い方があるのか。


 でも待てよ。これってもしかして……。


 「なあ、防御で活躍できるってのが本当だったら、それはそれで嬉しいんだけどさ。盾防御と違って、運パリィも運回避も運依存の確率スキルだよな。もし両方とも外れたらどうなるんだ?」


 「その時は、即死だろうねぇ」


 「そう、なっちゃうかもね」


 二人は口をそろえてまた絶望的なことを言う。


 「いやいや待て待て。命を確率に委ねろってことか?」


 そんなの、無理に決まってるだろ。


 しかし、マジョの表情は真剣なままだ。


 「マウスちゃん。君は女神エレクトラに復讐するんじゃなかったのかい? そのためには、リスクを背負う。そう言っていただろう。これこそがそのリスクだよ」


 くっ。それは、その通りだ。


 俺は最短距離であいつまでたどり着かなきゃいけない。だけど……。


 「安心したまえ。君は私の大事なモルモットだ。必ず守るし、君がこの世界で望むものは全て実現すると約束したはずだよ。研究対象に死なれては困るからねぇ」


 ついにモルモット呼ばわりされてるよ俺。


 マジョは俺を安心させるかのように笑った。


 「それに、君の運は桁外れだからねぇ。ここら辺りの敵では、まず攻撃が当たることはないだろうさ」


 そんなもんなのか。じゃあ、ちょっとは自信持っていいのか。


 「……わかった。ちょっと防御の練習やってみるわ。でも、攻撃を捨てたわけじゃないからな。とりあえず、メインのアタッカーを勧誘しないとな」


 ギルドの有料掲示板に募集を載せて数日経っていたが、マジョ以外に名乗り出る冒険者はまだいなかった。


 俺の代わりに戦ってくれるメンバー、そんなのいるのかよ。でも、マジョに言われると妙に納得してしまうな。


 「……話は終わったか? そろそろ酒場に行きたいんだが。ユウも待っているだろうからな」


 ハイはユウに会いたくて仕方がないらしい。ちょっとからかってやるか。


 「ユウに早く会いたいんだろ~、ハイ」


 「……殺すぞ」


 おいおい冗談も通じないのかよ。マジで俺こいつに毛嫌いされてんな。


 こんなやつだけど、俺からしたら超絶勝ち組だからな。だって彼女いんだぜ。


 彼女って幻かなんかか? 俺の前に今まで現れたことないんだけど。


 この世界じゃ二次元の嫁すらいないんだぜ? 童貞の俺には三次元の彼女なんてそもそも無理ゲーだって。

 第11話「俺が攻撃に向いてない? じゃあ俺冒険者に向いてないじゃん」を読んでいただき、ありがとうございました。

 ある方に「冒険の描写がリアル寄りだ(厳しめだ)」というお言葉をいただきました。

 力を持たずに転生(この作品だと転移ですが)した者にとって、異形の魔物が棲む異世界が厳しいのは当然ですよね。

 最初から主人公が強い話はいくらでもありますが、私はラックの今後の成長を見ていただきたくこの作品を書いています。(ついでに、ラックの1人ツッコミもですが)

 ちなみに、転生ではなく転移にしたのは、死んだら異世界に行くという設定があまり好きではないからです。

 死ななくても行けるほうが安全だし、元の世界に戻れるっていう安心感もあるので転移という設定で書かせていただいています。

 いずれラックが現実に戻ることはあるのでしょうか。

 次回第12話では何と早くも2人目の仲間? が登場予定です。

 3人目はもうすこし後になるかと思います。誰が仲間になるのか、予想してくださいね。

 ……、という予定でしたが、勇者パーティーの話を1話挟ませてください。彼らはラック達とは同じ時間軸で動いています。お楽しみに。

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