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逆光(『晴読雨読』45巻より)
『逆光』 2―C 山根 葉
誤解は想い違い
過ちは重い違い
擦れて 削がれて 失っても
戻せると思えたのは なぜ
絡めた指が するり離れる
気配だけが燻ったまま
細く長く 伸びた影ひとつ
振り返れば終わるから
光だけを見て 『今』から目を背けた
「それでもいい」と言ったのは
あの日の僕の唇
「それじゃ嫌だ」と求めたのは
あの日の僕の執着
離れた指が 消えていく
僕の届かない場所へ
うまく息が出来なくて
目を開けていられないんだ
眩しさ逃れるフリして
喪失に目を閉じた