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勇者

 僕の名前は、レオン。

 僕は訳あって、父親と共に果ての大地にある。古代の遺跡で最強の勇者となるべく修行を行っていた。


「レオン——ここの遺跡には、魔素が多い為に強い魔物が多く発生する。

 お前は、そいつらを倒して最強の勇者となるべく経験を積むんだ。分かったかッ!」


「はい、父さん……」


 僕は、最強の勇者となるべく毎日——父に鍛えられていた。

 そして、何より僕の父の教えは徹底していた。


 勇者とは……


 一つ、絶対に倒れてはならない。


 一つ、感情を持ってはならない。


 一つ、全ての悪を滅ぼさなくてはならない。


 父が求める勇者とは、仲間を犠牲にしても屍を越えても魔王軍を殲滅させる。


 そんな、最強の勇者!


 そして、父は——僕にそんな勇者を求めていた。


 僕の父が、そこまで強さを求めるのには——理由があった。

 それは、父の経験に基づくものであった。


 父は、その昔——東の勇者と呼ばれていた。

 そして、父は勇者として魔王を倒すべく魔王領へと向かっていた。が……

 父は魔王と戦う事なく魔王軍の幹部に敗れる事となってしまった。

 そして、父は——その時、亡くなった仲間や村人達の責任を押し付けられてしまい。

 父は、仲間や王国に対して嫌気がさしてしまったが……勇者としての責任感だけは残ってしまった為に、心を殺す事を決意した。

 なので、それからの父は仲間に対して感情をもつ事をもっとも固く禁じた。

 


「くそ——ッ! 俺達は、魔王にも届かないのか……」


「勇者——魔法使いが……魔法使いが……息をしてない」


 仲間の戦士が東の勇者を攻める。


「お前が、魔王領に攻めるとか言い出したからこんな事になってしまったんだ!」


「しかし、こうしなければ近隣の村々が……

 今だって、魔王軍は村や王国に対して侵攻していると言うのに、そんな事を言い争ってる暇はない」


「仲間が死んでるんだぞ。何だ! その言い方は——」


「俺達は、死ぬ事だって覚悟の上で旅をして来たんじゃないのか!?」


「そんな訳ねぇーだろ! 俺達は、お前が守ってくれると思ったからついて来ただけだ。

 勇者だったら、村人も仲間もちゃんと守れよ——ッ!」


「そんな……俺一人に、そんな力は……それに、仲間なら……」


「俺達は、もう限界だ! 

 このパーティーを抜けさせてもらう」


 そして、東の勇者の前から全ての仲間が離れて行った……

 その後、近隣の村に向かうと村は全壊……生き残った村人達から父は責められ——更なる絶望へと落ちた。


 しかも、国からは——この事が原因で、東の勇者は勇者の称号を剥奪され……父は、勇者としての称号も失った。


「ああ……勇者とは、ここまで全ての責任を負うしかないのか……

 なら、俺なんかではダメだ!

 精神も力も、もっと強い人間でなくては、勇者でなくては……」

 

 そんな状況でも、東の元勇者が闇落ちしなかったのは、責任感の強さが大きかった。

 そして、東の元勇者は自分よりも強い勇者を探す旅に出た。

 そんな矢先に、東の元勇者は魔物の襲撃を受けた村を訪れると……


 その小さな村では、大人達が魔物に襲われ殺されていく中。

 一人の十歳にも満たない子供が大人用の槍を振り回し——魔物を薙ぎ払う姿を目撃する事になる。

 それが、後のレオンで……

 その時、元勇者は——その子供の姿を見ると、そこに助太刀に入り子供と一緒に魔物を殲滅した。

 そして、魔物を倒し終えると東の勇者は——その子供に話しかけた。


「よぉ、ボウズ……お前、なかなか強いな」


 そう声をかけて、覗き込んだ子供の顔は——血と汗で酷く汚れていた。

 いったい……どのぐらい一人で戦っていたのか……見当もつかない……


「坊主、両親は……?」


「居ない……」


 その言葉を残して、子供は糸が切れた様に崩れ落ちた。


 そうか、我慢していたのか……


 それから二人は、死んだ村人達を集めると——アンデットとならない様に全て焼いてから地面に埋めた。


「お前、平気なのか? コイツら、知り合いじゃないのか?」


「秘密になっているが……ここは、暗殺者の村だ。だから、死んだのは暗殺者か暗殺者として育てるために攫われて来た奴隷達だ。僕も暗殺者として育てられた——だから何とも思わない。そう、育てられたから」


「そうだつたのか……

 お前は、コレからどうするんだ?」


「皆んな死んだから分からない……

 僕自身も死ぬべきなのか……それとも、このまま暗殺者を続けるべきなのか……」


「なら、俺と来るか? お前の戦闘スキルは使える。俺が鍛えてやるから勇者になって魔王を倒せ——!」


「僕が、勇者? 人を沢山殺したのに……」


「なら、その分——人を助ければ良いだろ」


「僕が、人を助ける……?」


 すると、レオンのお腹が鳴った。


「食べ物をくれるならやってもいい……」


「よしッ! じゃ決まりだ。

 お前、名前は?」


「……とくにない。二十一番と呼ばれてた」


「二十一番か……少し味気ないな。

 なら、俺がつけてやる! レオンなんてのはどうだ!?」


「レオン……名前なんて、別に何でも構わない。そんな事より、食べる物をくれ……」


「じゃー決まりだ。

 レオン、俺が名前をつけたって事で、俺の事は——これから父と呼べ。

 その方が色々と説明が面倒じゃなくでいいから——と、言う訳でコレからよろしくな。レオン! 俺が、お前を最強の勇者にしてやる」


 それから、二人は旅をしながら最強の勇者となるべく修行にあけくれた。


 ある時は、ダンジョンに入り最強と言われる武器を探したり。

 ある時は、武道大会に参加して体術を強化したり。

 そんな事をしながら旅を続けていると、元東の勇者は、レオンに魔法を教えようと思いついた。

 別に、魔法が使えない訳では無かったが……二人は、いや——元東の勇者が、最強の魔法を知りたくなったのだ。

 そして、それを求めて西の賢者の元に向かっていた。



 ここは、街から少し離れた森の中……

 その奥地にある大きな木の下にある一軒の家に西の賢者は住んでいた。


「アンタが西に賢者か!? イメージ通りのお爺さんなんだな……」


「…………」


「誰じゃ、お主達……いきなり失礼じゃな。

 魔法とは、研究が必要なのじゃ! 

 それゆえに、最強の魔法使いとは……この世で、一番長生きした魔法使いの事を言うのじゃ!!!」


「そうか、自己紹介が遅れたな。

 俺は元東の勇者と呼ばれていた勇者だが、魔王軍に敗れて——魔王には遠く及ばないと分かった時から魔王を倒すべく勇者を探していた。

 そして、見つけたのが——このレオンだ! だから西の賢者。頼む! この子に最強の魔法を教えてくれ……」


「お前が、東の勇者……!? そして、この子に魔王を倒す可能性があると言うのか?」


「こいつの潜在能力は、計り知れない。

 コイツなら必ず魔王を越えられる」


「わしも東の勇者の事は、小耳に挟んでおった。

 それを踏まえた上で、おまえさん達二人を間近で見て……その話が嘘ではない事は分かる。

 そして、東の勇者のお前さんが——そこまで言うなら、わしがこやつに魔法を伝授してやろう。

 小僧、わしは厳しいぞ! ついて来れるか!?」


「……出来なければ、殺せばいい」


「…………」


「先に言っとくが……コイツは、もともと暗殺者の村で育ったから。思想が偏ってるんだ——だけど、気にせずビシビシ鍛えてやってくれ!

 それが、コイツがいずれ人として生きる意味になる」

 

「そう言う事なら、任せておけ!

 俄然やる気が出たわい」


 そうして、レオンと西の賢者の魔法の修行が始まった。



「なかなか、筋がええの。

 魔法とは、使い所じゃ……戦闘中は、大きな魔法を使うのは難しい。

 じゃから、初歩の魔法を使うのじゃ! 魔力の消費も少なく連発出来る」


「なら、大きな魔法は使わないのか?」


「それは、最初の一撃と最後と——あとは、ピンチの時にとっておくのだ。

 極大魔法など、ポンポン使うべきではない」


「分かった。おぼえておく……

 だから、早く極大魔法を教えてくれ」


「お前さんには、まだ早い!!!

 まずは、基礎を徹底的に叩き込むのじゃ——ッ!」


「……分かったよ。じいちゃん」


「わしは、お前さんのじいちゃんではない!

 分かったなら、さっさと練習を続けろ)



 それから数年で、レオンは西の賢者の魔法を全て覚えると、新たな力を求めて旅に出る事になった。


「わしが教えられる事は、もう無い……

 しかし、果ての大地の古代の遺跡なら古代の魔法が眠ってるやもしれん……。

 わしもついて行く——果ての大地に向かうのじゃ!!!」


 そうして、レオンと西の賢者と東の元勇者は、果ての大地へと向かう事になった。


 そして、三人が辿り着いた。

 果ての大地は魔素が異常に濃く強い魔物の発生が多い為にレオンにとって、毎日良い実戦の戦闘訓練が出来ていた。


 しかし、始めは良かったが……東の勇者の剣技に西の賢者の魔法を習得した。

 レオンの強さに魔物の強さが追いつかなくなると、西の賢者と東の元勇者は考えた。


 そして、レオンに対して負荷をかせる事にした。


 それは、古代の遺跡で見つけた。


 呪いの防具……


 一つ目は、魔力を放出する腕は……コレは、体内の魔力をを常に放出して魔力を使えなくする腕輪で、魔力が無い状態でも戦える訓練の為に用いられた。

 これにより、少ない魔力を——どう上手く回復させながら戦うか……上手く使う為のスキルを磨く為に使われた。

 しかも、それだけではなく……人は全ての魔力を消費すると気絶する。

 その為に、東の勇者は——そんな状況を想定して、魔物に囲まれた時に気絶してしまっては、死に直結する為に、魔力が無くなっても気絶しない様の訓練もかねていた。


 他にも、スピードを制限する足枷に——常に精神攻撃をしてくる兜。

 そんな呪いの防具をつけたままで、一週間寝ずに魔物と戦い続けた。

 しかも、武器はナイフを二丁と——後は闘気を込めた手刀だけで……これは、武器が無くなったとしても戦い続ける為の訓練を兼ねていた。

 しかし、元々暗殺者としての訓練も受けていたのでレオンには、とくに問題なく戦闘をこなしていった。


 そして、数ヶ月経った頃には、魔物がウジャウジャいる遺跡で、仮眠をとりながら一ヶ月間——戦い続ける事が出来るようになっていた。


 しかし、魔王軍は——そんな果ての大地、古代の遺跡で修行を行う三人の事をほっとかなかった。



 三人の前に、魔王軍が現れた。

 それは、くしくも東の勇者が——あの時、苦渋を舐めさせられた。あの部隊……


「くそ——ッ! 魔王軍にレオンの事が見つかってしまったか……もう少し、もう少しだったのに……」


「あの時、撃ち存じた。東の勇者よ! 

 こんな所に隠れていたとは、やっと見つけだぞ!」


「僕の事では、無いみたいですよ。

 父さん……」


「なら、好都合——お前と賢者は逃げろ!

 アイツらは、俺が何とかする」


「心配するな。わしは戦闘は好まん……

 魔法を覚えるのは好きだが、戦いに使いたいとは思っておらん。じゃから、危なくなったら転送魔法で避難させてもらう」


「西の賢者! すぐに逃げてくれ——。

 そして、レオンも連れて行ってくれ!」


「僕は、逃げるなんて嫌ですよ。

 それより、この呪いの枷を外して下さい。普通に、僕が魔物を倒しますから」


 そして、二人はレオンの呪いの枷を全て外すと……


「しかし、お前をここで失う訳にはいかないんだ!

 お前は、いずれ魔王を倒す為に——その力を使わなくてはならない……

 だから、この魔王軍は——俺に任せて、じいさんと逃げてくれ——ッ! これが父からの最後の願いだ……」


「……父さん…………別に、問題ないですよ。

 僕にとっては、いつも通りです。

 あなた方が、近くの村で休んでいる時も……

大人の遊びだとか言って飲みに行っている時も……

 僕は一人寝ずに魔物と戦い続けていましたから、何の問題もありません。

 あんな奴ら、ここのモンスターと然程も変わりません」


「……そうなのか…………そうか、では、わしは避難させてもらう。

 二人は、力を合わせて魔王軍を殲滅してくれ! 殲滅し終わったら、通信魔法で連絡してくれ! すぐに戻ってくる。

 と、言う訳で……じゃー無事を祈っておる」


 そして、西の賢者は消えて行った。


「くそ——ッ。あのジジイ……本当に戦わずに逃げるとは……しかも、レオンも置いていきやがって……」


「大丈夫ですよ。父さん、これも練習だと思ってチャチャと倒しましょう。

 もしあれだったら、父さんも休んでいていいですよ。

 このくらい、一人で倒さなくては、どの道、魔王には到底勝てないと思うので——」


「いや、俺も戦う! コイツらは、俺を追って来たんだ。

 その責任は、東の勇者の俺がとる!」


 そして、二人は果ての大地で魔王軍とぶつかり合う事になった。

 この時の魔王軍の数は、10万を超えていた。

 しかも、遺跡の魔物と合わさり——数は、それ以上……戦闘は、数日間続いた。


「…………コレで、最後か……」


「……お……お前……本当に、人間か…………こ、この数をほぼ一人で…………ぐはぁッ」


 レオンが最後の魔物を倒した後に、西の賢者に連絡を入れた。


『賢者様……終わりました……』


『おお、早かったの。では、戻るとするか……』


 そして、西の賢者が戻ってくると……


「お前さん達、本当に二人であの数の魔物倒すとは……信じられんな。

 所で、東の勇者は何処じゃ……!?」


「……さぁ……父さんは、離れた所で戦っていたと思いますが……」


 それから二人は、東の元勇者を探すと…東の勇者は、血だらけで倒れていた。


「……父さん……」

「東の勇者! 大丈夫か!?」


「ぐはッ……さすがに、この数は無理があった……」


「…………そうですか?」


「レオン……父の最後の言葉を聞くのじゃ……」


「はい……」


「レオン……お前は、もう俺達をとっくに超えている。

 だから、後の事は任せた。魔王を必ず倒してくれ……

 そして、コレだけは覚えておいてくれ! 俺は、お前を一人でも戦える様に鍛えた! だから、仲間にする者は俺や賢者以上の腕の持つ者だけにしろ! でないと、俺と同じ過ちを繰り返す事になる。

 分かったか……レオン。忘れるな! 仲間にする者は、必ず俺達より強い者だけだ!」


「分かりました。

 父さんの最後の遺言なので、従いましょう。では、僕は魔王を倒す旅に旅立ちます!

 さようなら。賢者様……」


「もう、行くのか……? 

 なら、コレを持って行け! 何かの役に立つはずじゃ……」


「ありがとうございます」


レオンは、賢者から貰ったものを空間魔法に収納すると——果ての大地から魔王領へと向かって旅立った。



「わしらの息子が旅立ったが……」


「わしらのじゃなくて、俺のな……」


「別に、お前の息子でもなかろうに……てか、お主まだ生きておったのか?」


「ああ……だから、早く回復してくれ。本当に死ぬから……」


「仕方ないのうぉ……どれ! ヒール……」


「イッテテテ……

 アイツ、どれだけ強くなったんだ……俺を守りながら戦い続けるなんて——。

 もう、俺はお前に必要ない……後の事は、任せたぞ! レオン……」



 それから、レオンは魔王領を目指して旅をした。


 その道中、魔物に襲われた村々を救いながら旅をしていると、途中で——ドワーフとエルフが仲間に加わった。

 本当の事を言うと、仲間になったと言うより……勝手についてくる事になった。の方が、正しい。

 それは、レオンが口下手だったせいで——二人の同行を断れなかったのが原因だった。

 レオンは、元々暗殺者の為にあまり人と話すのは得意ではなかった。

 そして、エルフとドワーフが仲間になる際も断る事が出来ずについてくる事になった。

 しかし、レオンは迷っていた……父である東の勇者との最後の約束……あの二人より弱い者は、仲間にしてはいけない。


 確かに、エルフとドワーフは——なかなか強かったが……レオンから見ると賢者と父より強いのかが分からずに、ズルズルと旅を続けていると……

 魔王領に近づくにつれて、異変が起き始めた。


「ちょっと、アンタ——私の邪魔しないでよ——ッ!」


「お前こそ、ワシの邪魔をするな! 出しゃばり女が!!!」


「なにーーー!!!」


 そう、二人は魔王領に近づくにつれて敵の強さに己の実力がついていかずに、喧嘩が増え始めた。

 そして、戦闘でも焦りから……互いの邪魔をして——魔法の巻き添いになったり。

 殴り飛ばしたモンスターがぶつかるなど、見るに耐えないほど、お粗末な戦闘を繰り広げていた。

 そんな時、魔王領に入ると野良の魔物達との戦闘が数日続くと——とうとう二人に限界が来た。



「……魔物が来た。二人とも起きてくれ……」


 そんなレオンの声は、疲労の限界を迎えた二人には届かなかった。

 そして、寝ている二人を守る為にレオンは魔物の群と一人戦った。二人を守りながら……


 それから、魔物を殲滅したレオンは二人をかなり離れた村へと転送すると、一人で魔王を倒す為に魔王領に向かった。


 その後二人は、数日間目を覚まさなかった。


 そして、二人が目を覚ました時には……



 レオンは、最後の戦いに向けて——魔王領の手前の街でポーションなど武器やアイテムなどを揃えていると……

 街に、魔王軍より! 警告の通信が入った。


「この街に、勇者一向が隠れている事は分かっている。

 直ちに勇者を差し出すなら、命だけは助けてやる。

 100万以上の獣王軍が魔王領にて待っている。

 もし勇者を差し出さなければ、100万以上の魔物がこの街を滅ぼすであろう……あろう……ぁろう……ぁろぅ…………」


 すると、街は大パニックに——街の人達は、勇者を血眼になって探し始めた。


「勇者は、何処だ!?」

「勇者って、エルフとドワーフのあの三人組よね……」

「エルフとドワーフでも良い探せ!!!」

「でないと魔王軍が攻めてくるぞ……」

「でも、勇者様は私達の為に戦ってくれているのに皆んなは本当にそれで良いの?」

「そんな事を言っても、数を聞いただろ! 今は魔王軍に従うしか無いだろ——ッ!」


 すると、国王軍が現れると——街の人達に勇者の差し出しを要求した。


「街の者達よ! 国王からの命令だ——ッ。

 直ちに勇者を魔王軍に差し出せ!」


 そして、反対していた街の人達も……


「王様の命令なら、仕方ない……」


 そして、国民全てが力を合わせて勇者を探し出した。



「魔王様……今頃、勇者は守ってきた人間達の裏切りで絶望をしながら、この地にやって来ます。それを我が見事に倒して見せます!

 この100万以上の獣王軍で——」


「ああ、期待している」


「明日には、勇者も現れるでしょう。

 それまでは、醜い人間どもの行動を観察するのも、またいっきょう」


 すると、一人の魔物が魔王と獣王の元に走って来た。


「魔王様、獣王様——ッ。勇者です! 勇者が現れました!!!」


「なに——ッ!」


「早すぎはしないか……人間どもに警告を入れたのは今さっきだぞ——!」


「魔王様……人間の醜さゆえです。

 我々に恐れをなした人間が、急ぎ勇者を探し差し出したのでしょう」


「いや……それが、勇者は我々が警告を入れる前に魔王領に侵攻していたとのことです。

 しかも、一人きりで……」


「一人きり!? 仲間は……」


「分かりません……

 そちらの方は、何の報告も受けていません」


「まぁ、良いだろう。

 一人で来るとは、舐められたものだ! わからんが、これも、何かの作戦か?

 しかし、都合は良い。

 全軍に告げる。愚かな勇者を血祭りに上げろ!」


「「「「「おおーーーーー!!!!!」」」」」


 その歓声と共に、魔王達の遥か前方では激しくぶつかり合う爆音と砂煙が上がっていた。


「まぁ、勇者とて——たかだか人間です。

 10万も使わなくても決着は、着くでしょう。

 しかし、我は獣王——ッ! 獅子はウサギを狩るのにも全力を尽くす! 相手が悪かったな勇者よ……ズタズタにしてやる!」


 そして、それからも激しい爆発音が幾度となくこだまする。

 その度に、魔王と獣王は勇者討伐の報告を待つが、いくらたっても報告がない。

 それから、数時間が経ち……少し静かになるが勇者を倒したと言う報告が無いまま夜を迎える事になった。


「夜まで粘るとは、勇者もなかなか……

 だが、視界の悪い夜でも獣王軍の猛攻は止まらんぞ! 愚かな勇者よ」


 そして、勇者は夜通し魔王軍と戦いながら朝を迎えた。


「……なんて(ヤツ)だ!!! 夜も持ち堪えやがった」


「しかし、もう魔力も尽きただろう……」


「勇者は、MPポーションで魔力を回復をしながら戦っている模様です!」


「えっ!? ズルッ……」


「ズルくはないと思いますが……」


「……何でもいい! では……兵をもっと当ててポーションを使い切らせろ!!!」


「はあーーーッ!!!」


 それから三日三晩戦い続けた勇者は、半分以上の魔王軍を屠っていた。

 この頃になると、実際の所——魔王と獣王は焦っていた。

 人である勇者がここまで強いとは……


「魔王様……我が出向き。勇者のポーションだけでも破壊して来ます……」


「大丈夫なのか、獣王よ……」


「なに、心配はいりません。我が倒れても魔王様が残っていますから……」


「すまない……」


「あら、獣王さん。魔王様。深刻な表情で、どうなさったのですか?」


 そう、ひょうひょうとした口調で話すのは、悪魔であり。

 最強の魔王軍幹部の一人である。サタン!


 そして、悪魔は、二人に尋ねた。


「如何なさったのですか? 魔王様……そんなにも、焦りの表情を浮かべて——」


「……実は——ッ」


 二人は、事と次第を悪魔に伝えると……


「では、私目に——その役目、お任せ下さい! 魔王様……

 必ずや勇者の首を持ち帰って見せます!」


 ここに来て、魔王軍の中でも最強とうたわれる悪魔の登場は、嬉しい。大きな誤算となった。


「では、頼む! サタンよ。

 勇者の首を持って参れ!!!」


「御意——ッ!」


 すると、悪魔は数十の群れをなし勇者に向かっていった。


 悪魔とは、力も魔力量も普通の魔物より。格段に多い為に、魔物の中でも圧倒的な強さを誇る。

 そらが、数十体の群れてなして——勇者に向かっている。

 そして、サタンは——それで十分に勇者を屠れると自負していた。

 そして、悪魔と勇者の戦闘が始まると……

戦闘は、あまりにも激しく周囲に居た魔物達も巻き添えとなり。魔王軍には、またもやかなりの兵を失うと言う大損失を与えた。

 そして、その後——勇者はキッチリと悪魔を倒しすと……

 それを見た獣王は、とうとう覚悟を決めた!!!


「魔王様! 行ってまいります……」


「…………獣王よ。武運を祈っておる」



 そして、獣王は勇者の前に立った。


「我は獣王、この獣王軍の大将である!!!」


 そして、勇者と対峙した獣王は必死で戦いの末に……勇者の持つポーションの破壊に成功した。

 しかし、その代償は大きかった。

 全てのポーションの破壊に成功した獣王は、その代わりに勇者に撃たれる事になってしまった。が……

 その甲斐あって、勇者は魔力と回復がない為に魔物を倒すスピードは格段に低下……残り40万の兵を倒すのが困難になっていった。

 そして、それから一週間の時間を費やした。


 そして、ほとんどのモンスターを倒した勇者は疲労困憊だが……魔王の元に辿り着いた。


 ボロボロの勇者……


「よくぞ、我の元に辿り着いた! 勇者よ。

 我の手を取れ! さすればこの世の半分をお前にくれてやろう……」


 勇者は、静かに首を振る。


「なら、七割でどうだ!? なんなら、人間界は全てお前にくれてやろう。

 そして、我々魔族は魔王領にて静かに暮らす事にするよ!!!」


 勇者は、静かに首を振る。


「そうか、そうか、分かった……

 ならば、我も覚悟を決めよう。

 お前の望み通り——地獄に送ってくれるは——ッ!!!」


 そして、勇者と魔王の最終決戦が始まった。


 魔王は、莫大な魔力を武器に強力な魔法を次々と繰り出した。

 勇者は、魔力がない為にそれを全て剣技で受けるしかなかった……


「コレでもくらえーーー!!!」


「…………魔力が……」


「如何した——ッ!!! 勇者! お前の力はこんなもんかーーー!!!」


「くそーーーッ!!! 魔王ぉぉーーー!!!」


 そして、激しくぶつかり合う二人の戦いに幕が閉じる事となった。


 勇者は、最後の力を振り絞り魔王に対して強烈な一撃を加えると……魔王は、倒れたかと思われた。


「…………ッ…………か……買ったのか……?」

 

 しかし、魔王の心臓は二つあり。生き残った魔王は、力の全てを使い果たした勇者に


「愚かな勇者よ!

我、豪炎に焼かれて死ね……」


「くそぉぉぉ魔王ぉぉーーー!!!」


 そして、勇者は灰となり。


 跡形も無く消えた……。


 一人残された魔王は、力尽きて倒れると……


「バケモノか……

 マジで、死ぬかと思った…………」



「そして、魂となった。

 俺は、ボスに捕まってカエルに転生させられたってわけだ」


「はいはい……凄い凄い。マジで、もう良いすッよ! 先輩……

 さすがに10回も聞くと飽き飽きして来ます」


「そうね。最初は、面白い作り話だと思ったけど……ここまでしつこく話されると、つまらないを通り越して腹が立つほどつまらないわ!!!

 バカなアンタに誰でも知ってる話を教えてあげる。

 魔王と戦ったのは、勇者とドワーフとえるふの三人よ! ちゃんと、覚えておきなさい」


「そんな……俺の過去。そして、真実を聞きたいと言ったのは、お前達の方なのに……」


「まぁ、良いじゃないすッかそんな事……それより! そろそろ街は、お祭りの季節ですよ。そろそろ戻りましょう」


「お前らは、この旅をなんだと思っているだ——ッ!!!

 最終的には、魔王を殺すのが俺達の目的だからな!!!

 覚悟しておけよ! 魔王は、めちゃくちゃ強いからな——ッ!!!」


「何、夢物語を話しているんですか!?」


「そして、次は、必ず出来る(魔王を倒せる)! この体なら……」


 そして、フロック達一行は祭りの為に一度街に戻る事になった。


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