魔王の動き
それから、エリアルが戻った。
フロック達が街に戻ると、少し街が騒がしかった。ので、村人Aに話を聞いてみる事にした。
「おい、街が少し騒がしいが……何かあったのか? 村人A——ッ!」
「おお、お前達——帰って来たのか! ちょうど、良かった。
いや、俺もよくは分からないが——何でも魔王が動き出したとかで、国もギルドも殺気だってやがるんだ。
まぁ、詳しい事はギルドで聞いてくれ!」
「魔王が……」
「それって、まずいんじゃないの……?」
「とりあえず、ギルドに行ってみるッすッ!」
「詳しい情報を手に入れる為にも、ギルドに行きましょう」
そう話し合い。フロック達はギルドに急いで向かうとギルドでは、リサが出迎えてくれた。
「よぉ、お前達——戻ったんだな。
ちょうど良い。少し話があるから私の部屋に来てくれるか!」
そうして、リサの部屋に通されたフロック達、一向は……
「ボス、魔王が動き出したのですか?」
「ああ、実は……魔王が本腰を入れて動き出したと言う情報が入って来たんだ。
そして、嘘か本当かは分からないが他種族や各国を傘下に加える動きもあるらしく……
この国の上層部も気が気じゃなく魔王の調査をギルドに依頼して来たと言うことだ」
「その話、私もエルフの女王様より。聞き及んでいます!」
「そうか、お前が言うなら本当なのだろう……」
「で、ボス! これからどうしますか?」
「とりあえずは、今は魔王は見定めている所だ。今すぐ判断は出来ない。
と、言う訳で——戻って来たところ早速で、悪いんだが……お前達は魔王領に向かい詳しい情報を仕入れて来て欲しい。お願い出来るか?」
「何で、私達が……!?」
そうシロだけが、噛みつく……
「では、何かあったら……
カエル型通信機で報告を入れてくれ! 少し長い旅になるが、よろしく頼む。
魔王領までの道は、フロックが居れば——大丈夫だと思うが……一応、馬車と共に案内人も付けるか?」
「えっ!? シカト……私、シカトされてない……???」
「案内人は、大丈夫です。見知った道なので、迷わず行けます!」
「アンタ達、勝手に話を進めているけど……私達も行くなんて、一言も言って無いんだけど……勝手に決めないでくれる!?」
「おお、お前は——確か、最近加入した新参者だな…………まぁ、なかなかの魔力を秘めている。合格だ! お前も同行を許す」
「いや、許すも何も行くなんで、一言も言ってないんだけど……」
「なら、シロ。お前とは、ここでお別れだな……今まで、ありがとう。
エリアルも戻って来たし。お前は、用済みだ!『行くわよ! 私も行く! 勝手に決められたから少し意地悪をしてやろうと思って……』」
「……てか、用済み! とか、ひどくない」
「俺、コイツと一緒に旅をするの嫌っすッ!」
「まぁ、そう言うなよ……」
そして、リサは地図を広げると
「あと、この村と、この村と、この村と、この街と、この森と、この谷にも少し立ち寄って調べてくれ……。
何でも、この辺一帯の村々は——魔物からの襲撃により。莫大な被害と村自体が半壊しているらしいんだ。
なので、魔物の発生源とかを少し調べて欲しくて……」
「この村って……」
「…………先輩……」
「…………」
「リサさん。この村々ですが、私が故郷に帰る時に通った時には、そこまでの被害は見て取れませんでしたが……
いつ頃、魔物による被害があったのですか?」
「うむ……なら、エリアル——お前が通過した。
その後で、魔物の襲撃を受けたのであろう。
詳しい、記述は分からないが……大体——お前が、里帰りしていた頃とかぶっていると思うのだが……詳しい事は、村人にでも聞いてくれ!」
「ねぇ、フロック達は何か知らないの? 私の後を追って来たんでしょ?」
「いや……ちょっと、何言ってるか分からないな……」
「アレっすッよ! 俺達も急いでだから……」
「まぁ、アレじゃない! 見に行けは良いだけよ」
「よしッ! と言う訳で、これで決定だな。早速出発しましょう!!!」
「そうだな……。
まぁ、急いだ方が良いから。出発は、明日の朝にしよう。
それまでは、各々準備を整えて近しい者達に別れを告げて来てくれ……」
「今回の旅は、少し長くなるのね……」
「俺は、全然! 大丈夫すッよ!」
「私も平気よ!」
「俺は、ここで待っているから明日の早朝ギルドに集合って事で、解散!!!」
そして、各々ギルドを後にした。
*
皆んなが居なくなった部屋では、リサとフロックが二人きりで話している。
「フロック……もし、お前が魔王と相見えた時は、アイツらがお前を……
あの三人なら……お前をやれるのか?」
「エリアルは、カエル化も出来ます! 問題なく可能だと思います」
「そうか……すまないな。
あいつらにもお前にも……」
「それが、俺が望んだ事ですから……」
*
そして、次の日の早朝。
「準備は、OKか?」
「食料も水も荷物も馬車に積んだわ!」
「じゃー行きましょう!!!」
「……私は、眠いから先に乗ってるわよ」
皆んなが乗り込むと、フロックが馬車を出発させた。
「良しッ、出発!」
パシッ! パカラパカラパカラ……
「それにしても、フロック。ギルドの人達やリサさんに最後の挨拶しなくて良かったの?
意外とアッサリとしてるのね……」
「何で? ボスには、昨日会ったし……もう会えないって訳ではないからな。
それに、別れに涙を流すと——次に会った時に恥ずかしいからね……」
「…………」
「ところで、先輩——魔王領までの道のり分かるんですか?」
「当たり前だろ! 一度行ったことがあるんだから……」
「それ本当!? あんた魔王領に何しに行ったのよ……?」
「それは、もちろん魔王を倒す為だろ!」
「はいはい……それで、魔王は強かった!?」
「当たり前だろ! 俺が殺されたんだから……」
「死んだら、ここに居ないでしょ!」
「にしても、一度行った魔王領に、また向かうなんてフリー○ンみたいすッね」
「そうだな。俺は負けたけどな……『『アハハハハハッ!』』」
「と、言う訳でキバには——これから斧を使ってもらおうと思う。はいコレ!」
「えっ!? あ、はい……」
「そして、お前達は耳か髪色を変更できない……!?」
「出来なくもないけど……」
「しなくて良いわよ! またフロックが訳の分からない事を言ってるだけだし」
「訳の分からない事って、何だその言い方!」
「なら、アンタは何役になるのよ!?」
「俺か!? 俺は……フェルん」
「何でだよ!!!」
「先輩——俺、先輩の昔の話聞きたいです!」
「おお! 良いぜ! 聞かしてやるよ!
俺の武勇伝、武勇伝、武勇でんでんででんでん……」
「旅は、まだまだ長いからね。良い暇つぶしになると良いわね……」
「俺はな。ここより、もっと南の果ての大地出身でな……『ねぇ、フロック始めは——この村にでも泊まる?』
いや、まだ水も食料も沢山ある。少しの間、野営で先を急ごうと思う……」
「確かに、この辺は——あまり強い魔物は出ないから今のうちから節約するのね」
「て言うか、旅は基本的には野営だと思ってくれ。俺は、そう教わって来たし……魔王領に近づくに連れて村や街は無くなってくるから慣れておかなくてならないからな」
「そう言う事ね……分かったわ!」
「先輩! 続き聞きたいすッ!!!」
「おお……その前に、五キロ先に魔物の反応がある。お前達、戦闘準備に入ってくれ……とりあえず今日の朝ごはんだ!!!」
「私、朝ごはん——いらないからパスで……」
「じゃー自分、ひとっ走りして——狩ってくるすッ!」
そう言うとキバは、大きな斧をかついで走って行った……
その後、フロック達はキバが倒したレッドボアで朝食を済ませると、全く村や町には寄らずに馬車を走らせ続けた。
*
「今日は、この辺で野営をしよう」
「あの後、モンスターには遭遇しなかったけど……結構、体が痛くなるのね」
「馬車は、床が硬いからな……」
「そんな事より。先輩! 昔話が聞きたいすッ!!!」
「そんな焦るなよ。キバ……まだまだ旅は、始まったばかりだ!」
「キバ、アンタだけよ! フロックの話を信じているのは……」
「俺だって、信じてはいないすッよ! ただの暇つぶしです!!!」
「えっ……そうなの?」
そして、レッドボアの残りで夕食を取ると——その日は、休む事にした……。
*
次の日の早朝……。ケロッグ国の王都の街では、リサが朝早く目が覚めてしまい街を散歩していた。
「……朝は、静かだな……アイツらも昨日旅に出たと聞いたが、何処ら辺まで進んだ事やら……」
そんな事を考えながらリサが歩いていると、目の前にフロック達の姿が入って来た。
どう言う事だ!? 昨日出発したはずだが……何かあったのか? とりあえず声をかけてみるか……?
「おお……」
「ありましたか? 先輩……」
「あったあった!」
フロックの手に握られていたのは、愛用のマクラであった。
「これこれ! 俺は、マクラが変わると寝れないからな……」
「初日に気づいて良かったすッね!」
「間違いない!!!」
「にしても、1日で戻るとは思わなかったわ……」
「別に、良いじゃない。転送魔法が使えるんだ! 何かあったら、すぐに戻ればいいのよ」
「とりあえず、誰にも見つからないうちに戻ろう。さすがに一日で、帰ってくるのは恥ずかしい……」
「そうね……」
「おいッ! 何やってんだお前達……!?」
「げッ……ボス!!!」
「リサさん……」
「早く逃げましょう!!!」
「いや、別に逃げなくても良いだろ! 何かあった訳では無いんだな?」
「勿論です!」
「お前達、こんなにすぐに戻ってくると言う事は——来週あるこの街の祭りにも戻ってくるのか!?」
「えっ!? お祭り、行きたい——ッ!」
「絶対、行きましょう」
「勿論です!!!」
「まぁ、好きにやれ!」
「はい!」
そうして、フロック達は昨日まで旅した場所へと戻って行った。




