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手紙

 二人は、フロックの取って来た果物を食べながら今後についての話しをた。


「この六階層は、安全地帯(セーフティーゾーン)であり。

 モンスターが発生しないから、これからこのダンジョンを攻略する際は、ここを拠点にしよう」


「そうね。綺麗な湖とその元となる水源もあるし……何より食料となる果物や小型の動物も生息している。

 拠点を構えるに、こんなベストな階層——他にないわね」


「そうだな。階層を一つ戻れば、戦闘と……ご馳走の宝庫だし……じゅるッ……。

 と、言うわけでここで、お前の戦闘訓練も兼ねて時間潰しの為に滞在する事にする」


「ねぇ、フロック……一つ頼みがあるんだけど——私にも、自然エネルギーの使い方を教えてよ。(もう、あの薬を飲むのは嫌なのよ!)」


「確かに、俺が側に居なくてもカエルの力が使える様になるのは便利だからな。

 でも、エリアル——俺は嬉しいぞ! お前もカエルになりたいと思ってくれているとは」


「別に、カエルには——なりたくないけど……いざって時の保険よ。自分の身は自分で守れる様にならないと……って、巨人達に追われた時に思ったのよ」


「分かった、分かった。

 照れ隠しは、良いよ。自然エネルギーの使い方もレクチャーしてやるよ!」


 そう言って微笑んでいるフロックに


「まぁ……いいわ! 教えてくれるなら……」


 なんかムカついたけど……そう納得したエリアルであった。



 そうして二人は、食事をとり体を休め。

 体力が戻ると——五階層に戻り基礎体力向上の為の戦闘訓練を行った。

 倒しても倒してもモンスターが湧いて来る五階層は、もっとも良い練習場所であった。


 そして、魔力切れ……体力の限界を迎えると六階層に戻り自然エネルギーの訓練を行った。



「……ちょっと、待って——休憩は!?」


「自然エネルギーを集めると体力も回復するから同時進行だ! 一石二鳥とは、この事だな」


「少しぐらい休ませてよ!」


 そんな事を言いながら二人は、自然エネルギーの訓練に取り掛かった。


「まずは、あぐらをかいて座ってくれ!

 それか、手を組んで目を瞑る。これが、基本姿勢だな」


「なんか、お坊さんの修行みたいね」


「そうだな。心を無にして空っぽにしないと自然エネルギーは、集まって来ないから。

 お坊さんも同じ様な事をしているのかも知れないな……知らんけど!」


 そして、二人は修行を続けた。


「ここからは、出来る限り自分を空っぽにするんだ! そうすれば、自然エネルギーが勝手に集まってくる」


「……空っぽって、どうすればいいのよ!?」


「空っぽは、全身の力を抜くんだ。

こんな感じで……」


 そう言うとフロックは、口を開けて——ぼけ〜とし始めた。


「えっ!? そんなブサイクな顔をするしかないの?」


「…………別に、ブサイクな顔をする事はないが……全身の力を抜く為に……」


「待って、一緒にやるから! 順を追って説明して!」


 そして、フロックは順を追って説明をする。


「まず……この体勢から、目の力を抜く……それから……鼻、口の力を抜く……頬の力を抜き顔全体の力が抜けて来たら……首の力を抜き……胸の力を抜く……肩の力を抜き……腕、指の力を抜いて行く……それれから、下半身の力を徐々に全て抜いて行けば……」


「zzz」


 話を聞きながらエリアルは、戦闘の疲れもあったせいか寝てしまっていた。


「エリアル、起きろ!」


「……ぇ!? あっ……ごめん。寝てた……

 この訓練、何もしないし……魔力切れ、戦闘の疲れから、すっごく眠くなる」


「間違っていないから、安心しろ。

 基本的に自然エネルギーとは、寝ている時に誰でも微量ながら集まって来る。

 その為に、寝ている時は——傷や体力の回復が早くなる。と、言う訳だ!

 そして、自然エネルギーを使うと言うのは、それを強制的に集めて戦闘に応用する。  

 そして、今は自然エネルギーを集める訓練だ。

 だから、今は——回復の為ではなく。自然エネルギーをコントロールしたいのなら、起きているのと睡眠の狭間でエネルギーを集める必要がある。分かったか?

 分かったら、返事———ッ!」


「それって、かなり難しわよ。

 ここまで魔力も体力も消耗していると、自然エネルギーを集めなくても眠くなるし……

 戦闘訓練前に、この修行を行えないの?」


「それは、まだ無理だな。

 自然エネルギーを集める為には、最初は魔力も空っぽになる必要がある。

 だから、事前に戦闘で魔力と体力を消耗させているんだ」


「そう言う事なのね……なら、分かったゎ。

 もし、また寝てしまったら起こしてちょうだい!」





 そうして、二人の修行が数日たった。


 そんな、ある日……エリアルの目元に、赤いラインが入った。


「……おっ!!! エリアル、目元だけカエル化しているぞ。やったな!」


「……ぇっ……ほんと……やった〜…………」


 ぼ〜としながらエリアルが答える。

 

「エリアル、そのままの状態で俺と戦闘をしてもらう」


「そんな事をしたら……カエル化が解けちゃうわよ!」


「大丈夫だ! 一度なれば、自然エネルギーが無くなるまでは持続する。と、言うわけで

 行くぞ! エリアル……」


「そう言う事なら、分かった……」


 そして、二人は軽く手合わせをする。

 カエル化! が目だけのエリアルは、フロックの敵ではないが……動体視力は、今までの比ではなかった。

 そして、この戦闘は——エリアルの強さを測るものでは無かった。



「一分って、ところか……

まぁ、初めはこんなもんだろう」


「……はぁ……はぁ……一分じゃ……戦闘で、使えないわよ!

 もう少し長く持続出来るように訓練して!」


「初めてだから、仕方ないと思うが……分かった。

 確かに、目だけなら数十分は持続出来た方がいいからな。と、言う事で……もう一度、カエル化をして——これを飲め!」


 そう言ってフロックは、エリアルに乳白色の液体の入った瓶を渡した。


「…………これは! 

(私は、これを飲みたくないから自分で自然エネルギーを集める訓練をしているのに……)」

 

しかし、今は仕方がない……。

 自分の力不足が悪いのだ! そう自分自身に言い聞かせて、自分を納得させてフロックから渡された液体を飲み干した。


「…………ゴクンッ!

(この味と喉にへばり付く感覚が……何とも不快……)飲んだわよ!!!」


「よしッ! なら、全身のカエル化を止めて——目だけに力を集めろ」


「……やってみる!」


 すると、エリアルの目だけが……さっきよりカエルに近づいた。


「凄いな! お前、エルフだけあって——魔力の扱いとか上手いな……」


「あんたなんかに褒められたからって、嬉しくなんてないんだからね!」


「……どうした!? いきなりツンデレ?

 まぁ、いい。じゃ〜行くぞー」


 そうして、二人の手合わせが……また始まった。



「薬を飲むだけで、かなり伸びたな……。

 これなら、戦闘でも使えるが……本当なら薬を使わないで、このくらい持続出来た方がいいな。

 とりあえず、今日はカエル化の時間を長くする為の訓練だけにしよう」


 そう言うと、その後……


 二人は、一日中……ぼ〜として自然エネルギーを体内に溜め込んだ。


 そして、次の日。

 二人は五階層に向かうと……


「エリアル、俺は手を出さない。

 まずは、目だけを使って戦ってみてくれ!」


 そう言って、フロックはエリアルに戦闘を任せた。


「分かったわ……」


 その後、エリアルは目だけをカエル化すると十分ほど戦闘を続けた。


(目だけでも、こんなに戦闘が楽になるなんて……凄いわ! この力……)


 それから、薬も使い全身化も試す……



 その後。数日そんな事を繰り返すとエリアルのカエル化は、自身で目だけなら三十分! 手足だけなら十五分……全身化は五分しか出来ないが——薬を使えば一五分〜二十分近くは持続出来る様になった。


「カエル化した時の必殺技まで覚えるとは、十分過ぎるな!!!」


「そうね。今だったら、私一人でも巨人の家を攻略出来るかも……」


「試してみる?」


「いや、辞めておくわ……」


 そんな事を話していると、一通の手紙がフロックの元に転送されて来た。


「何これ? また、ギルドからの依頼!?」


「こ……これは……!!!」


 フロックは、その手紙を見た途端に血相を変えると——ッ!!!


「エリアル——ッ! すぐに戻るぞ!!!」


「なになに……!? どうしたの? いきなり……

 この前は、ギルドからの依頼なんて無視すれば良いとか言っていたじゃない!?

 どうしたの? そんなに、慌てて……」


「これを見て分からないのか——ッ。

 これは、色が違うだろがぁーーー!!! ボスからの呼び出し依頼だ!

 分かったら、急いでカエルぞ!!!」


「……分かった。カエルゎ……」


 そう言うと、二人は急いで転送魔法で街に帰還した。



 街に戻ると、二人は急いでギルドへと向かって走った。

 そして、ギルドに着くと——ギルドは、もう人で溢れていた。


「何事……皆んな、リサさんに集められたの?」


 すると、他の冒険者に声をかけられた。


「お前ら、何をやっている!!! 早くこっちに集まれ! ボスがもう到着する。

 殺されるぞ——ッ!!!」


 そう言って、皆んなが集められたのはギルド内の中庭……

 そして、一段高い台が設置されており。

 その一段高い段上の前に、ギルドに所属する全ての冒険者が整列して集められていた。

 そして、段上の上には——複数の上級冒険者とギルドマスターが整列をして待っている。


 その前をリサさんが、ゆっくりと歩いて通過する。

 その光景を皆んなは、固唾を飲んで見守った。


「………………」


 皆んな、一言も話さずに——リサさんが話すのを待つ。


「………………」


 そして、段上の中心に立つとリサさんがゆっくりと話し出した。


「お前達、よく集まってくれた。

 知っている者もいるかも知れないが……

 実は、少し前に——この国のお姫様が魔王軍幹部に攫われた。事件が起こった!」


「それは、一大事ではないですか!!!」


 一人の若い冒険者が、その言葉に反応をすると……会所は、静まり返った。


「「「「「「「………………」」」」」」」


「…………まぁ、話を最後まで聞いてくれ!」


「はい、しかし……何故!? そんな主要な案件をギルドマスターではなく——リサさんが話しているのですか!?」


「…………」


「私が、話を聞いてくれ! と言ったのが聞こえなかったのか?」


 すると、その若い冒険者を数名の人達が連行して行った。


「……………」


 会所は、またも静まりカエル……


「話を続けよう。

 攫われたお姫様だが、ある冒険者によって無事に助けられたから心配しないでくれ!」


 しかし、その冒険者達は——お姫様を助ける際に魔王軍幹部のゴルバチョフを倒してしまった。

 そして、それに激怒したゴルバチョフの息子が軍を率いて、この国に攻めて来る事になったとの事であった。


 リサは、その程度なら問題ないが……と、続け——問題は、ここからで

 その隙に乗じて隣のスネーク国が攻めて来る為、国はそちらに軍を当てがうしかない為に魔王軍の方をギルドで対処して欲しいとの願い立てであった。


 そして、今回の魔王軍幹部の息子コルバチョフはゴルバチョフ軍を率いていた事もあり。事実、父親であるゴルバチョフより厄介な敵な為に

 今回は、ギルドマスターに代わりリサが指揮を取る事になった。


「敵の数は、我らより遥かに多い……しかし、我らは負ける訳には行かない。

 私と共に、死んでも良いと思う者だけついて来い!」


 そのリサの声を聞いて、皆んな下を向く……


「…………」


 すると、若い冒険者達が一人、また一人と

その場から立ち去ろうとする。

 それを止める者は、誰一人として居ない……


「今、この場を立ち去る者は、自分の恋人、友人、親、兄弟が魔王軍に殺されても何とも思わない者達だな。なら、よかろう……

 戦える者が戦わなくて、一体誰が大事な人を守ると言うのだ!!!」


 すると、その場から立ち去ろうとしていた者達の足がピタリと止まる。


「さぁ、決めろ!!!

 大切な者達と一緒に、逃げ続ける人生を選ぶのか! それとも、この街で一緒に笑って過ごせる明日を掴みに行くのか!!!」


 その言葉で、逃げようとした者達も戻って来ると……


「よく決断してくれた! 勇敢なる諸君よ。

 私が君たちを勝利に導く……私に心臓を預けよ!!!」


「「「「「「「「「「「はーーーッ!!!」」」」」」」」」」」


 掛け声と共に、心臓を捧げるポーズをとる冒険者達!!!


「部隊は、追って連絡するので今日はギルドで作戦内容の確認をしてくれ!

 では、以上!!!」


 そう言うと、リサが立ち去ると……ギルドマスターと上級冒険者が冒険者達を誘導し始めた。

 そして、エリアルとフロックはギルドマスターからリサの元へと向かってくれと頼まれたので、二人はリサが待つ部屋へと向かった。





 二人が部屋に着くと、リサは椅子に深く腰掛けて二人を待っていた。


「よく来てくれた。二人とも……

 ゴルバチョフを倒すとは、よくやってくれたなフロックよ!!!」


「それほどでもございません! BOSS」


 フロックは、膝まずき返事をする。


「本当に褒めているわけではないが……まぁ、良いだろう」


「で……魔王軍が攻めて来るのは、いつ頃になるのでしょうか!?」


「話が早くて助かる。

 早くて、三週間……遅くても、一ヶ月以内だろう」


「分かりました。

 では、それまでには準備を整えておきます!」


 「ああ、頼む!」


その言葉を聞くとフロックは、一瞬で姿を消した。


「消えた!? 転送魔法では無いから……瞬間移動!?」


 エリアルが、そんな事を言っているとリサが近づいて来て……耳元で…………


「違うぞ……」


 そう言うと、地面に目線を送る……


 エリアルも目線の先を確認すると、小さくなったフロックが——ゆっくりと静かに扉の方に向かっていた。


「あいつは、カッコつけたがりだからな。

 瞬間移動風に見せたかったのだろう……」


「はぁ……」


 そんな事を話しながら小さいフロックを眺めていると……何処からか走って来る足音が近づいて来た!

 そして、思いっきり扉が開かれるとフロックはその扉にぶつかり窓ガラスを破り外に、飛ばされた。


「「あッ……」」


 扉から現れたのはキバであった。


「お久しぶりです! 先輩、姉さん!!!

 姿が見えたんで、追いかけて来ちゃいました。って……あれ!? 先輩の姿がないすッけど……何処にいるんすッか? って、げっ! 魔王じゃないすッかー!?」


「おおーー! 君は、確かキバ君だね。

 よく来てくれた! そう言えば、君も確かゴルバチョフの件に関わっていたね」


「なんすッか!? そうですよ。

 俺達で、お姫様を救出したんすッよ!!!

 感謝してください」


「じゃー、感謝を込めて——君をこの軍の部隊の一番隊の隊長に任命するよ」


「俺が隊長すッか!? マジですッか……一番隊の隊長なんて最高じゃないすッか!!!」


「そうだね。よろしくお願いするよ。

 そして、エリアル君には第六部隊の弓兵を率いる隊長に任命する。

 事の発端は、君達のせいでもあるから頼むよ!」


「わ……私が、隊長ですか!? 無理ですよ」


「大丈夫だ。弓兵は、いくつかの部隊に分けるてはずになっているし……

 それに、無理でも何でもやって貰わなくては困る。

 何度も言っているとおり君達にも責任があるのだから」


「俺も頑張りますから、姉さん! 一緒に頑張りましょう!!!」

 

「一つ聞いて良いですか? リサさん……

 今回の戦の兵力差は、どの程度なのでしょうか?」


「そうだね……コルバチョフ軍が1万弱として、我々ギルド軍は——今は、五百ってところじゃないか……」


「五百……五百って、戦として機能しないですよ!!!」


「今は、だよ! 今は……

 決戦日までには、最低でも半数……いや……三千は絶対に欲しい所だね」


「足ります? たった三千で……」


「大丈夫だ!!! こちらには、君たちが居る。期待してるよ」


「頑張りましょう。姉さん!!!」


「………………」


 そして、エリアルはリサの圧に押され。断る事が出来ず! 弓兵の兵隊長を務める事になった。


 それから、数週間が経ち……決戦の日を迎えた。


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