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ダンジョン①ー②

 四階層へと進む途中で、フロックの足もカエルへと戻ったが……

 しかし、何だか——人間の体に短くて細い手足がくっ付いているのは、とても気持ちが悪かった。


「ねぇ……あんたは、一応——手足はカエルに戻ってるけど、私は——いつになったら戻るのよ?」


「知らねーよ。自然エネルギーが無くなれば、元の姿に戻るんじゃねーのか?」


「何で、キレ口調……? 

 いきなり戻るの? それと……一つ聞いて良い? 自然エネルギーって何? 魔力とは違うのよね……?」


「質問が、多いな……」


 歩いて向かっているだけなので、エリアルは——今まで聞けなかった疑問に思う事をフロックに聞く事にした。


「俺もよくは分からないが……魔力とは、違うけど……近いモノでは、あるらしい!?

 分かりやすく例えるなら……魔力は、水で自然エネルギーは炭酸水? みたいな……?

 いや、違うか??? 魔力が水で自然エネルギーは、ジュースみたいなモノ?

 まぁ、とりあえず似ているけど違うモノって言う事だ」


「分かりにくい……」


「あれだ! 魔力の他に、剣士が使う闘気ってモノがあるだろ。それの親戚みたいなモノだ!」


「そうなのね。分からないけど……」


 結局、分からなかった。


「良いんだよ。

 別に、気にしなくて——もう、カエルになる気ないんだろ。お前——!」


「いや、なりたくない訳ではなくなったのよね……。

 この体のとても、使い勝手が良くて便利だから人間の姿に戻れるなら。

 たまにカエルの体に、なっても良いかなぁ〜と思って——。

 所で、あんたは普段から人間の姿に変身したりカエルに戻ったり出来るの?」


「まぁ、可能だな。

 わざわざ人間に、なんてなりたくは無いけど……」


「それって、私も可能?」


「多分……可能だな。 

 なんなら、後で試してみるか?」


「お願いするわ」


 そんな事を話している間に、四階層をへと到着した。

 


「…………」


「…………何ここ……?」


「家だな! 誰かの家」


「確かに、家だけど……家具やテーブルなんかがデカ過ぎない!」


「確かに、あのテーブルや椅子なんかを見るかぎり……ここは、巨人の家だな」


「巨人て、人を食べるのかな……?」


「知らんがな。 

 でも、見つからない方がいい事は間違いないな! 害虫と間違えて潰されるかも知れないしな」


「そうね。 

 出来るだけ見つからない様に、行動しましょう」


 すると、遠くの方から地響きが聞こえて来る。


ドスンッ……ドスンッ……ドスンッ……ドスンッ!!!


「ヤバい! 巨人が来た!!! 隠れろ!」


 そして、二人は物陰に隠れると……


 そこに現れたのは、子供の巨人だった。


 その巨人の子供は、テーブルの前で立ち止まると……指をちゅぱチュパとしゃぶりながら、テーブルの上の物を直視していた。


「テーブルの上に、何かあるのかな?」


「テーブルの上なんだから食べ物に、決まってるだろ!」


「確かに、巨人の食べ物って何かな?

 そんな事を考えてたら、お腹空いて来ちゃった……」


「確かに、腹減ったな。

 せっかくだから、巨人が居なくなったら上に上がって巨人の食べ物の確認と、あれだったらチョイと摘み食いをしてみようぜ!

 どうせ俺達の体格じゃ対して摘み食いにならないと思うし」


「確かに、良いアイデアね。そうしましょう!」


 そして、もう一つの足音が聞こえると……

 母親の巨人が現れて——。

 二人が何を話しているかは、分からないが——子供の巨人は、母親に怒られた様子で——話し合いが終わると、巨人達は二人とも——その場から立ち去って行った。

 それを確認したエリアルとフロックは、カエルの手足を使い。テーブルの足をよじ登っていると……その頃にはフロックは——頭を残して、ほとんどカエルに戻っていた。


「ねぇ……フロック」


「あ?」


「カエルの体に、イケメンの顔が付いているって——物凄く気持ち悪いんだけど! 

 それ、どうにかならない!?」


「別に、不便は——ないから俺は問題ないぞ」


「いや、こっちが迷惑なのよ。

 ずっと、怖いのよ! あんたの見た目が」


「お前だって、カエルなんだから気にするなよ」


「嫌なのよ。なら、顔だけでもブサイクに変えてよ!!! イケメン! って、所が——よりいっそう気持ち悪さを引き立たせるのよ」


「お……お前、失礼だぞ! 

 そんな事を言っていると、世の中のブサイクを敵に回す事になるぞ! 気をつけろ」


 そんな喧嘩をしながら、テーブルの上によじ登ると……お皿の上に檻が置かれており。

 その中には、人間が捉えられていた。


「…………」


「…………こわ……」


「こわ……

 じゃないわよ。助け出しましょ」


 そして、二人は檻に近づくと……硬質化する粘液などを何やかんや使って鍵を開けると

 中に入ると、気絶をしていた冒険者達に駆け寄った。


「コイツら……入り口で会った生意気な冒険者達だ!」


「こっちは、リーゼントベアーから助けた冒険者よ……」


「少し怪我をしているみたいだから回復してやるか……」


 そう言うと、フロックは入り口で——言い争った冒険者を回復の粘液でベトベトのギトギトにした。


「本当に、ギトギトにしたのね……」


 そして、他の者達にも回復の粘液をぶっかけると……

 女性の冒険者が、薄らと目を開けて——フロックを見てこう言った。


「……ぁぁ……なんて、イケメン……私の王子様が助けに来てくれたのね……」


 彼女には、フロックの顔から下の部分は目に入ってなかった。


「顔だけはね……全身を認識したら、恐怖でまた気絶するわよ!」


 すると!


ドドドドドド…………


 巨人が走って近づく音が聞こえたので、二人は急いで机の下に張り付き——隠れると、現れた子供の巨人は、ギャーギャー騒いだ後に、檻をまた閉めると何処かへ走って行った。


「急いで、彼らを助けましょう」


「ああ、巨人が戻って来る。その前にな——」


 それからテーブルに、よじ登ると二人は冒険者の元へ駆け寄る。


「どうするの? フロック……

 また、胃袋に入れて運ぶの? この人数いける?」


「いや、今回は転送魔法で運び出そうと思う」


「あんた、転送魔法まで使えるの!?」


「俺は、基本的に何でも出来るぞ」


「基本的に何でも出来るって、前にも言っていたけど……何でもって、幅が広過ぎるのよ。

 何でもじゃ、分からないのよ」


 そして、この頃のフロックの姿は——全てがカエルに戻っていた。


「まぁ、条件はあるけど……今回は、転送魔法は二回使える。

 一回は、自分達の脱出の為に使いたいから余分に使えるのは、今回きりだな……」


「それなら、大丈夫じゃない。

 これより先には、冒険者は居ないと思うわ……

 このダンジョン四階層から難易度が異常に高過ぎるのよ。

 どう逆立ちしたら、人間が巨人なんかに勝てるのよ。

 大きさが違い過ぎるのよ。迷宮の主人も少しは、考えて作りなさいよ!」


 そんな文句をエリアルが言っていると……


「そうだな。

 なら、急いでコイツらを転送するか。巨人が戻って来る前に……」


「そうね。急ぎましょう」


 そして、フロックは冒険者達を転送魔法で地上へと送ると……


「ねぇ、向こうに送った冒険者達は大丈夫なの?」


「……まぁ……こっちに居るよりは安全だろう」


「確かに、そうね」


「そんな事より。俺達も急いで——ここから離れるぞ」


「そうだった——ッ!

 ゆっくり話している場合じゃない——急ぎましょう!」


 それから二人は、天井からぶら下がるライトに舌を使いよじ登ると、天井に張り付きながら移動をした。

 すると、巨人の子供が母親を連れて戻って来た。

 そして、巨人の親子はテーブルの檻の中の人間が居なくなって居るのを確認すると大声で騒ぎ出し暴れ出した——!!!


「うわぁ……揺れる揺れる……」

「落ちる……落ちる……」


 二人は、天井に必死に掴まる。


「巨人達、凄く怒っている!!!」

「それは、そうだろ。無駄口たたいてないで、掴まってろ!!!」


 それから、揺れがおさまると……


「落ち着いたみたいね……」


「そうだな……」


「それにしても、この体は便利ね。

 あんなに揺れていたのに落っこちないで掴まってられたわ!」


「そうだろ、そうだろ……人間になんて戻りたくなくなるだろ」


「一生は、嫌だけど……そうね。

 この屋敷から脱出するまでは、人間には戻りたくはない、かもね」


「……エリアル…………お前、人間に戻ってるぞ…………」


「えっ!?」


 すると、エリアルは天井に掴まっていた手足が滑り出した。


「うわぁぁぁあぁぁぁーーーーー!!!」


 フロックは、瞬時に舌を伸ばしエリアルをキャッチするが……


「お……おもひぃ……」


 エリアルは、ぶら〜ん……ぶら〜〜ん……と、揺れながら……。

 助かった事に、ホッと! ため息を吐くと——下の巨人達は、大声を出したエリアルに気づいき……ボーと、ぶら下がったエリアルを眺めていた。


 そして、母親と子供が何か話すと巨人達は動き出した。


「フロック、フロック!!! 巨人達が……何か棒と台を用意している。

 ヤバいんじゃなの!? 早く何とかしてよ!!!」


「わ……分かってる…………」


「ヤバい! ヤバいって、早くフロック、早く!!!」


「エリアル、このまま振り子で——向こうのダクトまで、お前を飛ばす!!! 行くぞ!」


「分かった!!!」


「「い〜ち〜、にぃ〜〜の〜、さぁ〜〜ン!」」


 そして、エリアルは宙を飛び——ダクトへと一直線……


「いっ……けぇーーー!!! エリアル!!!」


「アイ キャン フラーーーーーイ!!!」


 エリアルがダクトへとぶつかる。


「ゔべぇッ……」


ガタンッ!


「エリアル! 急げ! ダクトのフタが外れたぞ!!!」


 エリアルは、バタッバタッ! と、ダクトのフタをよじ登るとダクトへとダイブした。


「……はぁ……はぁ……危なかった〜……」


「エリアル、そのままダクトを使って逃げろ——母親の方が、お前の方に向かっている!」


「あんたは、どうするの?」


 フロックは、子供の巨人が棒で突っつくのに耐えながら……


「俺は、大丈夫だ!!!

 カエルの体にも戻ったし、何とかなる。だから、気にせず行ってくれ!」


「分かったわ! 後で、合流しましよ」


 そう言うとエリアルは、反対を向き走り出した。

 そして、フロックは、天井から滑り落ちた。


「ゔわぁぉあぁぁおぁーーー!!!」


 エリアルは、そのフロックの声は聞こえていたが……彼を信じて走り続けた。

 それもそのはず……エリアルを捕まえようとする母巨人の手がダクトの中に入って来て、それから必死で逃げていたからである。


「ちょっと……待って!!! この巨人の手、なんか伸びてない……マズイ! 本当にマズイんだけど!!!」


必死に逃げるエリアル……そして、落下するフロック……

 巨人の子供は、フロックの落下地点で口を大きく開けて待っている。


「怖!!! 丸呑みなんて、僕は嫌だ!

 なんて、言ってる場合じゃない」


 フロックは、空中で体をよじると落下地点の軌道をずらした。


ペト……


 フロックは、巨人の額に降りると——急いでテーブルへと飛び移った。


「そう簡単に、俺を食べれると思うなよ!」


 しかし、巨人の子供は腕を伸ばしフロックを捕まえに来る。


「へッ! そう簡単に、捕まえられると思うなよ! このヌルヌルした俺様を……」



 一方で、エリアルの方は……


「ちょっと、何処まで伸びるのよ! この腕は……カエルの体じゃない今は、ヌルヌルしてないから捕まったら一貫の終わり……」


 エリアルは、母巨人の手から逃げながら必死に走る。


 そして、ダクトの穴へと落っこちてしまった。


「ゔわぁあぁぉぁぁぁぉぉぉぉーーー!!!」


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