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ダンジョン①

 そして、ダンジョンに到着した二人は……


「ここがダンジョンにね……」


「早速、入ってみよう!」


「ねぇ……私、モンスターと間違えられて斬られたりしないわよね!?」


「……大丈夫だろ!?」


「今の間は、何? 本当に大丈夫なのよね!?」


「心配するな。俺が必ず——治してやる!」


「斬られるの前提かいッ!!!」


 そんなこんなで、二人は文句を言いながらもダンジョンに入った。



「ダンジョンって、凄く広いのね……」


「ああ……俺も、このダンジョン初めて入ったけど——めちゃくちゃ広いな……」


「あんたも初めてなの……ここ?」


「ダンジョン自体に、あまり行ったことはないと説明したじゃねーか。

 カエルの姿になってからは、斬り殺されるおそれがあるからダンジョンなんて、入った事無いぞ!」


「あんたね……私に何かあったら、ちゃんと守りなさいよ」


「分かってるよ。あっ……冒険者だ。

 こんには〜〜」


 フロックは、出会った冒険者達に元気よく挨拶をした。


 すると、挨拶をされた冒険者達は……


「…………」


「……お前、ここを山か何かと勘違いしているのか?

 しかも、嫌われカエルなんか連れて——」


「ちゃんと、ただのモンスターじゃないって分かるんだ!? 良かった〜……」


「当たり前だろ! このダンジョンには、カエルモンスターは出現しないし。

 そのカエルは、もともと有名だったが……

最近は、エルフのねぇーちゃんと一緒になってからは、ますます調子に乗ってやがるからな!」


「別に、調子になんて乗ってないぞ……」


「うるせー! お前に言ってる訳じゃねーよ」


 そんな感じで、出会った冒険者達と口論になっていると……いきなり後ろから声をかけてくる老人が現れた。


「お主達は……ダンジョンに何を求めるんじゃ?」


 フロック達は、冒険者と言い争いをしていたが……

 突然、年老いた魔法使いらしき老人が話をかけて来たので、口論は一時中断となった。

 そして……


「誰だ!? じいさん……」


 すると、お爺さんの問いに冒険者が答える。


「金だ! 金——ッ。ダンジョンに来る理由なんて、それ以外にあるはずがないだろ!

 魔石は、売れば結構な金になるし……しかも、ダンジョンを攻略した者には——もれなく財宝と国王より貴族の位が貰える。

それを求めて、俺達は命を賭けてダンジョンを攻略するんだ!!!」


「正直で結構……でッ!? イケメンのお前さんは?」


「俺は……金には興味がねーし……貴族にもなりたくない。

 だから、ただの暇つぶしだ!」


「私達には、それが一番あった答えね……」


「他の者が、命を賭けて挑むダンジョンが暇潰しとは……フォフォフォフォ!!!

 これは、愉快愉快! お前さん達の活躍を楽しみにしているぞ……」


 そう言うと、老人は出口へと向かっていった。


「なんだ!? あいつ……」


 お爺さんの乱入で、言い争いが中断されたフロック達は——口論になった冒険者達とは別れて、ダンジョンの奥へと進む事にした。

 そして、言い争いをした冒険者達は……我先にとフロック達を置いてダンジョンの奥へと走っていった。


「アイツら、文句だけ言って先に行きやがって……次に会った時は、ギトギトにしてやる」


「なに、油まみれにでもする気?

 今のアンタじゃ無理でしょ! 諦めなさい」


 二人は、そんな事を話しながらダンジョンを進む。



「一階層だから、大したモンスターは出て来ないな……」


「そうね。

 人喰い植物と小動物系のモンスターなら脅威では無いわね」


「本番は、二階層からか……」


 そして、二層へと進むと……


 ところどころに毒にやられて倒れた。

 冒険者達を見つけると解毒薬で治療をして行く。


「また、冒険者よ……」


「二階層は、毒を持ったモンスターが多く生息しているみたいだな。

 強くは無いが……準備もせずに油断すると、救助を待つしかなくなるみたいだな」


「そうね。私達も油断したら同じになるわよ」


「心配するな。カエルの体は粘液で守られているから、ちょっとくらいの毒針は通さない。

 それに、俺の体内で生成した解毒薬と回復薬が沢山あるから問題ない」


「さっきから冒険者に飲ませてる解毒薬、アンタの体内で生成した物なの?

 どうりで普通の解毒薬よりトロミが強いと思った……」


「MPポーションもあるから、必要な時は言ってくれ!」


「私は、遠慮しておくわ。

 そんな事より……私達、ダンジョンに入ってから冒険者の救助しかしてないじゃない!

 当初の目的を忘れてない!?」


「……当初の目的って言っても、ただの暇つぶし。時間潰しに来てるだけだろ。俺達……」


「確かに、そうだけど……この体の使い方を教えてくれるとか言っていたじゃない!」


「あっ…….すっかり、忘れていた。

 でも、もう少し大型のモンスターになってからでも良いんじゃないか!?」


「じゃー早く先に進みましょう!」


「ああ、冒険者達を助けながら急いで進もう」


 そうして、二人は冒険者を助けながら先を急いだ。



 そして、小鳥系のモンスターと出会した。


「おお——こいつらは、ソードバード!」


「ソードバードって、翼が刃物の様に鋭く! 物凄く早く飛ぶ鳥型のモンスターよね?」


「ああ、攻撃力はそこまで高くはないが……油断して首を切られない様に気をつけろ!

 けいどうみゃくを切られると出血が止まらなくなる」


「分かったわ——!」


「とりあえず、コイツらは俺が片付けてもいいか? 久しぶりの人間の体に慣れておきたい」


「別に、構わないけど……」

『まぁ、底知れないフロックの実力を前から見たいと思っていたから——良い機会だわ。

 見せて頂こうじゃない! あんたの剣技(実力)を……』


 すると、フロックは一本の剣を構えるとソードバードの前に立ち塞がる。


 ソードバードは、フロックに標的を定めたのか一斉に襲いかかった。

 それをフロックは、そらを目にも止まらぬ速さで切り刻んで行く……


「……早い……なんて速さなの……目で追うのが、やっと……」


 すると、襲いかかったソードバードが一度距離をとった。


 そして、上空で旋回を繰り返すと——どんどんスピードが上がって行く……


「来るわよ! フロック!!!」


「分かってる!!!」


 いっせいに急降下してくるソードバードは、先ほどより数倍も早いスピードでフロックを襲った。

 フロックは、剣で薙ぎ払いながら倒しきれないモノ達を避けるが……少しずつ切り傷が、増えて行く……


「やっぱり、人間の体は硬くて動きにくい……」


「そんな事を言っている場合じゃないでしょ!

 頑張りなさいよ!!!」


「分かってるよ」


 そう言うとフロックは、剣をしまう……


 そして、少し短いショートソードを二本——呼び出すと!


「全て、叩き切る!!!」


 先ほどより早いスピードで、剣を振るう。フロックの周りには、剣の残像、風圧で……半円のバリアみたいな物が確認出来る。


「凄い……」


 エリアルが、そんなふうに見惚れている間にフロックはソードバードを全て倒してしまった。


「やっぱり、カエルの方が楽だな……皮膚を鱗に変えれば避けなくても良かっただろうし」


 そんな事を言っているフロックの顔の目元には、赤いラインが化粧をしたみたい入っていた。


「フロック……目もとが変よ……?」


「目……!? ああ、これはカエルの力が目だけ戻ったって事だな。

 どうりで途中から見える様に、なった訳だ」


「人間の状態でカエルの力が戻ると、そんな風になるのね……なんか、化粧をしているみたいで《《素敵よ》》」


「あ!? そうか……俺は、カエル方が強いしカッコいいと思うけど——ああー! 早くカエルに戻りてーーー!!!」


 エリアルは、そのままの方が良いんじゃない! と言う言葉を——そっと、胸にしまった。


 そして、二人は三階層へと進んだ。



 三階層に進むと、二人の前にはコボルトの群れが現れた。


 コボルトとは、二足歩行のオオカミ型の魔物で、動きが速く——鋭い爪と牙を使って攻撃をしてくる。

 

「今回は、お前が戦え——エリアル」


「えっ!? この数を一人で?」


「問題ないだろ。その体は、目も良いし! 柔軟な上に、脚力も強い。

 あとは、皮膚を鱗に変えればコボルトの攻撃くらい通さないと思うぞ。

 知ってるだろ。鱗ガエル、アイツに慣れば良いんだよ」

 

「鱗ガエルは、知ってるけど……

 もう少し詳しく教えて……」


 などと話している間に、フロックは


「じゃ〜頑張って、俺は! この先を見てくるから……」


 そう言って、いなくなってしまった。


「ちょっと——ッ! あんた、もう少し……」


 ガゥゥーーー!!!


「あっぶない!!!」


 エリアルを狙った——コボルトの攻撃が飛んで来た!!!

 エリアルは、それを避けると——コボルトから一度、距離をとった。


「私は、剣も使うけど……どちらかと言えば、弓をと魔法を使った中距離型なのに

 アイツが言っている戦い方は、近接戦闘よりなのよね。

 とりあえず、今——出来る事を確認して行くしかないわ……」


 そして、コボルトから距離をとったエリアルは、まず目に力を入れるとコボルトの動きを観察した。


(……見える! コボルトの動きがスローに見えるわ。これなら、近接戦闘でも戦える)


 エリアルは、ショートソードを構えるとコボルト達の攻撃を避けながら切り裂いて行く——ッ!


「しかし、本当に数が多いわね……。キリがないわ」


 すると、エリアルはいつのまにかコボルト達に囲まれ。コボルト達の一斉攻撃がエリアルを襲って来る。

 

 エリアルは、それを避けるために足に力を込めると高く飛び上がった。


「……なに!? 今の感覚……足に血液が集まり血管一本一本に血が巡る感覚……。

 これが、アイツの言っていた足を使って戦うって事?」


 そして、高く飛び上がったエリアルはダンジョンの天井に張り付いた。


「『!!!』何、この体——凄く便利!!!」


 天井に張り付いたエリアルは、コボルト達の様子を伺っていると……数匹が壁を登ろうとして、無理な事が分かると——辺りに落ちていた石を投げつけて来た。


 それをエリアルは、舌でキャッチすると……

 

 口に含んだ石ころをホッペに溜めた空気を圧縮して高速で、コボルトに撃ち返した!

 直撃したコボルトの頭が弾け飛ぶと、他のコボルト達は、一瞬怯んだ。


「凄い威力……

 並のストーンバレットを遥かに超える威力だわ!

 でも、そのせいでコボルト達が石を投げつけて来るのを辞めてしまったわ……どうしよう」


 すると、エリアルは弓矢を作る際の矢の先端を持っている事を思い出した。

 そして、それを口に含むと高速で打ち出しコボルト達を次々と屠って行く……

 しかし、石ころより小さい矢の先端はコボルトにかする数も多かった為に、致命傷を与えられず無駄になることも多かった。


「毒を塗る事が出来れば、かすっただけでも倒す事が出来るのに……

 ポイズンフロックにでも、変化出来ないかしら」


 そう思いながらポイズンフロックを思い出してみると、体の色が少しずつ変わって来た……


「えっ!? なに!? この色……模様は……

 ポイズンフロック?」


 そして、口に含んだ弓矢に毒をコーティングして打ち出すと……

 少しでも、かすったコボルト達が次々と倒れて行く。


「これなら楽勝ね。

 ……いや、フロックは近接戦闘で戦えと言ってなかった!? 今なら鱗ガエルに、姿も変えられる。試してみるか……」


 それから、エリアルは鱗ガエルをイメージすると……姿が少しずつ変化して行く。

 そして、全身に鱗が揃うと——エリアルは、コボルトのいる地面に降り立つ。

 すると、コボルトは降りて来たエリアルに——すかさず、爪による引っ掻き攻撃をして来るが……全身が鱗に覆われているエリアルには、全く効かなかった。


「チートじゃない。こんな能力……」


 そう思うエリアルは、コボルト達に……ごめん。と、思いながら次々に残り半分のコボルトを滅殺して行く。


「ふぅ〜……やっと、終わった。

 本当に、この体の便利ね……戦闘の時だけでも変身できる様にならないかしら」


 そんな事を思っていると、何処からか……フロックの声が聞こえて来た。


「………ぉ〜………ぃ。ぉおーーーい!!!」


「あんた! ちゃんと、説明してから居なくなりなさいよ——ッ!!!」


「ごめ〜〜〜ん。

 お詫びに、ゴーレムの群れを連れて来たよ! 次は、コイツらと戦ってみてよ」


「ふざけんじゃないわよッ! そんなに連続で、少しは休ませなさいよ!!!」


「あっ!

 エリアル……俺——手だけカエルに戻ったよ。ほらぁ〜〜」


 フロックは、手がカエルに戻っ他事で——とても機嫌が良かった。


「知らないわよ! そんな事!!! どぉーでもいい」


「次は、体液の使い方を覚えようか? 

 まずは、水鉄砲からだ!!!」


「話を聞けーーー!!!」


 そして、分泌液の扱いを教わったエリアルはゴーレムの攻撃を滑らせて、ほとんど無効にして……ヌルヌル、ベトベトで、無傷でゴーレム数十体を倒した。


「この三階のエリアで、目ぼしいモンスターはこんなもんだろ。

 この階層で敵となるモンスターはもういない。次は、四階層に向かうぞ——ッ!」


「はぁ……はぁ……あんた、本当に……少し休ませなさいよ…………」


「えっ!? だって、エリアル無傷だろ?

 早く次に行こうぜ!」


「無傷でも、休憩は必要よ……本当に、少しだけ休ませて……ッ」


「仕方ないなぁ……」


 そして、二人は休憩を取ると——フロックは、エリアルに体内で作る水系の速攻魔法を教えた。


「覚えた!? なら、出発しよう」


「…………オニ……」


 そして、四階層へと進んだ。


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