99 第12章第2話 宝船救助隊?
「えっーと、みんな、今回のミッションだけど……『七福神の宝船を救助せよ!』だ」
「社長はん? 今回はお伽噺の世界に行かへんのですか?」
「ああ、伽供夜君、『七福神』っていうのもお伽噺なんだよ」
「へ? そうなん? ウチ、知らんかったわ」
まあ、七福神ゆうくらいだから、きっと神様なんやろな。神様やったら、よくお伽話の会議にいはったけど、ぎょうさんおったからなあ~。なんせ、神様だけでも会議室いっぱいになるんや。大抵は、神様だけの別室が用意されてて、ウチらとはあんまり関わらんかったもんな。
「記誌瑠君、いつもの『地球歴史記録全集』で調べてくれないか?」
「はい、社長…………えっと……七福神の検索を…………あ、あった! じゃあ説明しますね……」
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…………特にお正月は、いい初夢を見るために枕の下に『宝船』の絵を入れて寝るのである。この宝船には、七福神が乗っていて、宝船の絵を敷いて寝ている人のところを回って、『福』を配っていくのである…………
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「……だそうですね。今回、この七福神の乗っている宝船を助けに行かなきゃならないということは、船が故障でもしたんでしょうか?」
「記誌瑠はん? この宝船に乗ってるのは、七福神っていう神様なんけ?」
「うーん、伽供夜さん、えっとね、七福神って呼ばれていることは間違いないんだけど、七人の神様がいるのよ。『大黒天』『恵比寿』『毘沙門天』『弁財天』『福禄寿』『寿老人』『布袋』という神様でね、全員合わせて七福神っていうの」
「へー、ウチ、何人かしってるわ……恵比寿って漫画描いてはいるし、布袋って歌うたってるやん!」
「……? あ、かぐやちゃん、また、深夜のアーカイブテレビで情報仕入れてるわね。いったい、今回はどんな番組みてるの?」
「あのな、芸能ニュースってゆうやつがある、ワイドショーっていってたわ。いろんなニュースが見れておもろいんやわ~」
「もー、あれはもう200年以上も前の情報だから、信じちゃだめよ!」
「そうなんか? 香子はんだって、時々見てるやん」
「あたしはね、ワイドショーに出てる歌って踊れるアイドルを見てるだけよ。もう化石なのよね、今はそんなアイドルなんか全然いないんだもんね」
「あ、そーやね……香子はん、好きやもんね、あの4人のグループ……たしか、フォーなんとかゆうてたね」
「ふふふ……ニッチモサッチモふふふんんほんにゃららっららららん! えい! ってね……」
「もー、2人とも何をいってんですか! 漫画を描いたり、歌を歌ってるのは、人間ですよ! ここでいう恵比寿も布袋も神様なんです!」
「あ、えっと、記誌瑠はん、そうなんやね……脱線してしもうて、カンニンや」
ウチもちょっと調子に乗ってしもうたわ。せやかて、香子はんもワイドショーに夢中だってことが分かって良かったわ。
ただ、真面目な記誌瑠はんには、怒られてしもうたわ。
「まったくお前達は分かってないなあ~宝船を助けに行くんだぞ。ちょっとやそっとの船じゃダメだ。カッコ良くて強い船じゃないと。今回は、この船が大事なんだけど、博士、なんかいい船ありますか?」
「おお、頑貝ちゃんの好きそうなのが一つあるんじゃが……」
「え? まさか博士? あの趣味で作ってたやつ使うんですか?」
「社長、今こそ、アレの出番じゃと思うんだけどなあ」
「まあ、仕方ないですけど……ちゃんと僕のことを『艦長』って呼んでくださいよ」
「もちろんじゃ! ワシだって『センセ』と呼んでおくれ」
「え? 社長はんじゃなくなるん?」
「そうだぞ、これに乗ったら、僕は艦長になるんだ! 頼むよ!」
「なんか、よう分からんけど……分かりました艦長はん!」
「よし、よし……伽供夜君は、素直でよろしい!」
なーんか、社長はん……えっと艦長はんは、えらい喜んどるけど、周りのみんなは複雑な顔してはるなあ~。頑貝はんは、「またか……」とかいって「俺だって……」とか、ブツブツゆうてはるわ。
そういえば、なんで博士が『センセ』なんやろな?
「かぐやちゃん? あれ? ひょっとして、アーカイブテレビで、アレは見てないの?」
「アレ? って、なんでっしゃろ?」
「あの、宇宙へ行くやつよ。あたしはね、初代のユキね。記誌瑠ちゃんが、2代目なのよ。……かぐやちゃんは、……ま、後でゆっくり考えましょうね」
ウチは、何をいうてんのかさっぱり分からへんかったわ。でも、ウチ、悪い奴から宝船を守るんやったら、全力で戦うに決まっとるやん!
(つづく)
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