89 第10章第4話 会社の大掃除分担
「社長、全員揃いましたよ!」
「そ~お~、ん~仕方ないなあ~、香子君。それじゃあ始める~?」
「そうですよ社長、さっさと済ませて忘年会ですよ!」
「じゃあさ、今年は大掃除を省略して、すぐに忘年会を始めない?」
「社長ってば、まだ忘年会のお料理が出来てないんですよ! みんなが大掃除をやってる間に私がお料理をつくる予定なんですから!」
「あーそうだったね、記誌瑠君。今年も、やっぱり大掃除をやるのね~」
「社長、いいじゃないかね。会社ができて約2年、今年は大掃除も2回目なんだよ。去年よりは上手くいくんじゃないかのお」
「うーん、水野博士が言うならやっぱり始めようか~」
なんや会社の大掃除って2回目なんやね。そう言えば、この異次元探偵社は2年前に社長がみんなを集めて作ったって言ってたんやったわ。
恒例行事かって思ってんやけど、それやったらどんな掃除をしても大丈夫やん。ウチも遠慮なくできるやん。
「じゃあ香子君、去年みたいに担当場所決めてくれるかなあ~」
「あたしに任せてください! じゃあ、忘年会のお料理はきしるちゃんに任せたからお願いね!」
「はい、香子さん。ついでに台所の掃除もしながらやっちゃいますから、こっちは全部任せてくださいね」
「頼もしいわ、きしるちゃん。……えっと、ラビちゃんは自由に高いとこお願いね」
『きゅるるる……(任せて! 1階から3階まで、ぜーんぶやってあげる! その代わり、カグちゃん、後でちゃんとブラッシングしてよね!)』
「はいな、分かりましたさかいに、がんばっておくれやす!」
「おい香子、このチビスケも掃除するのか? 大丈夫なのか?」
「ふふーん、徹がびっくりするくらいラビちゃんは掃除が得意なのよ。たぶん、徹だってマネのできない掃除なんだから、後で驚かないでよね!」
「へー、そりゃあ楽しみだ! ふんっ」
あれ? ラビちゃんと頑貝はんの目がおうてるけど、なんか火花が出るような気がするんはウチだけ? なんとなく2人……あ、いや1人と1羽のライバル関係みたいやね。
「かぐやちゃんは、博士と一緒に地下室の掃除をお願いね」
「地下室って、水野博士の研究室とか異次元シャトルの倉庫があるところやね」
「そうよ。あそこね、去年は博士1人でやってたんだけど、何せ物がたくさんあるじゃない。なかなか掃除が進まなくて大変だったの。今年は、力持ちのかぐやちゃんがいるから大丈夫よね」
「ええ、まあ、重たいものなら任せときなはれ! でも、細かい作業は苦手やなあ~」
「大丈夫よかぐやちゃん、細かいことはぜーんぶ博士がやってくれるからね。……あ! 地下室の掃除に行く前に、窓の拭き掃除お願いできる? えっとね内側はいいから、外側だけでいいからね」
「外側だけならすぐ終わるやん。もちろん1階から3階までやろ?」
「え? 伽供夜君、3階の外窓を拭くのかい? 高いよ、危ないよ、やめた方がいいんじゃない?」
「あ、社長、大丈夫なんですよ。さっき、あたしの家でやって来たので、実験済みですから!」
「そうなの? 伽供夜君、落っこちて怪我とかしないでね?」
「あはははは、社長はん、心配症やね。高いとこは登ったりせえへんから大丈夫や。3階くらいはワンジャンプでイケるんや」
「ワンジャンプ?」
「あーはいはい、大丈夫なの、任せてあげて。……えっと、徹は1階事務所と2階の食堂や共有部分の掃除をお願いね」
「あー、分かったけど、俺の分担多くね?」
「大丈夫よ、2階の食堂は簡単でいいわ。あたしが後で忘年会の飾りつけをするからね」
「じゃあ、お前は他に何するんだよ?」
「決まってるじゃない、あたしと社長は、3階の掃除よ! 2人で念入りにやるの、ね、社長!」
「えっと、3階は僕の部屋しかないんだけど……別に掃除しなくてもいいんだけどなあ~」
「何言ってんの、社長! お部屋はいつもきれいにしておかないとお客さんが来た時困るじゃない!」
「え? でも、誰も僕の部屋なんかには来ないし、僕だって大抵は事務所で寝るからね」
「あ! やっぱり社長、事務所で寝てるんですか? ぜーったいダメですよ。また、あのソファーベッドで寝てるんでしょ!」
「いいじゃないか、記誌瑠君。少しぐらい……」
「香子さん、とにかく社長の私物をお部屋に片付けちゃってください。願いしますね。事務所には社長の私物は置かない様にしてください!」
「分かったわよーきしるちゃん! ちゃーんとお部屋を使えるようにお掃除するからね! 社長も手伝ってくださいよ~ ふふっ」
香子はん、めっちゃ楽しそうやわ。さっき自分の家を掃除してはる時より、何倍もニッコニコしてはる。たぶん、きれい好きで大掃除が大好きなんやね。
(つづく)
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