表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

87/300

87 第10章第2話 秘技ガラス磨き

「さっ、午前中はあたし達の家を大掃除するわよ!」

「なあ香子(かおるこ)はん? 掃除ならいつもやってるやないですか? わざわざしなきゃダメなん?」


「何言ってんの。今日は、いつもは出来ないところをやるのが大掃除なの!」

「そうなんや、いつもは出来ないことをやんのね! よし! じゃあラビちゃんもウチから離れて大掃除を手伝うてちょうだいね」

『きゅるるる……(ええー? カグちゃんはペットにも掃除をさせるの? ワタチはウサギヨ~大掃除なんてできない~)』


「あれ? かぐやちゃん、ラビちゃんがなんか言ってない?」

「ああ、ラビちゃんな、大掃除が大好きみたいなんや! だから、いっぱい手伝いたいって言ってんやと思うわ!」


「へえええー、じゃあいっぱい頑張ってもらいましょうかあ!」


『きゅるるる……(もう、カグちゃんったら。ワタチ、そんなこと言って無いわよ! 他の人にはワタチの言ってることが分からないと思って、適当なこと言っちゃうし!)』

「はいはい、ラビちゃん、いい子やね~。ラビちゃんの丸くてフワフワなこの尻尾は、いろんなとこ磨くブラシに丁度ええんちゃうか?」


『きゅるるる……(イヤー! もう、ワタチの大切な尻尾、そんなことに使わせないわよ! ベーダ!)』


 あははは、ラビちゃんが怒ってはるわ。なんか、そのせいで尻尾が毛羽立ってるやん。このままあちこち歩き回ったら結構ホコリが取れるんちゃうやろか?


「なあ、ラビちゃん、お部屋の天井に上ってみいへん? 下はウチらで掃除するやさかい、ラビちゃんは高いとこで、好きに遊んどいてええよ!」

『きゅるるる……』



「あれ? ラビちゃんったら、棚の上とか天井付近を喜んで行ったり来たりしてるのね」

「なんか、ラビちゃんったら、高いとこが好きみたいやわ」

「じゃあ、あたし達で1階のリビングやシャワールーム、2階のプライベートルームを掃除しましょ。午前中には終わらせるわよ!」


「はいな、香子はん……まずは、何をしたらええんですか?」

「そうね、あたしはいつも洗えないものを洗うわ。窓に掛かってるカーテンを全部持って来てもらえる?……その後、かぐやちゃんは窓を拭いてもらえるかしら?」


「窓ですね! ウチ、張り切って磨きますわ!」

「ああ、()(ごろ)しの窓もあるから、できれば外からも磨いてね。でもね、高いところは無理をしなくても平気よ。手の届くところだけでいいからね!」



 よっしゃ! ウチは、あちこちのカーテンを外して香子はんに預けてから、左手にガラスクリーナー、右手に拭き取り用のクロスを握りしめて準備したんや。

 始めは、1階リビングの窓や。ここはベランダになっとるさかい、窓も大きいんやさかい、内側と外側両方を磨くのにちょっと時間が掛かってしもうたわ。

 トイレや台所には小さな窓もあるけど、ここは開かんようになってるわ。これが填め殺しちゅうやつなんな。内側はええけど、外側は……あ、外へ出れば拭けるやん。


 窓ガラスって面倒くさいな。内側と外側両方磨かんときれいになったかどうかわからへんし。




 よし、今度は2階の部屋の窓磨きをしよか。2階は、ウチと香子はんの寝室や。それぞれの部屋の内側から窓を開けながらガラスを磨いたんや。でも、ここの部屋にも填め殺しの窓があったんや。

 仕方ないので、ウチは外へ回ることにして部屋から出ようとしたら、香子はんがカーテンを持って上がってきたんや。


「あれ? 香子はん、もうカーテンの洗濯が終わったんか?」

「ちょうど、2階分が終わったから持って来たのよ」

「早いんやね~もう乾いたんけ?」


「ううん。まだ乾いてないわ。乾くまで仕上げると時間が掛かっちゃうじゃない。だから、もうカーテンをつるしちゃうの。そうすれば、皺にもならないし、しかもこの部屋で乾燥できるから部屋の保湿にも成っちゃうの。いいでしょ!」


「さすが、香子はんやね」


 ウチは、そう言って部屋を後にしたんや。






 その後、ウチが窓を拭き始めると、香子はんが妙な声をあげよったんや。


「うわあああーー、かぐやちゃん、何やってんのーーー???」



「え? ウチはな、――シュシュッ」



「窓の外を――キュキュッ」



「拭いとるだけや――キュキュッ」



「そんな窓の外って、ここは2階よ! 何やってんのよ!」



「何って、ウチはな――シュシュッ」



「2階は高いやさかい――キュキュッ」



「ジャンプしながら――キュキュッ」



「窓、拭いてんのや――キュキュッ」



「ええ? 確かにかぐやちゃんのジャンプ力なら楽勝だと思うけど、そこまでしなくても……」



「え? なんて? ――シュシュッ」



「これ、ちょうどええねん――キュキュッ」



「いつものトレーニングと――キュキュッ」



「同じやもんね――キュキュッ」







「あ、へー、そうなんだ。さすがかぐやちゃんだわ。……しかも、ガラスがスッゴイ奇麗になってるし、これ、会社の3階にも届くんじゃないかしら?」





(つづく)



 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
窓掃除は割と面倒ですよね〜。 しかし、カーテンは勉強になりました。 中々洗濯までは出来ないので、毎回買い替えてたのですけど、日当たり良い窓なら乾くのですね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ