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82 第9章第13話 大将戦

 うっわわわわわわああああああああああああーーーーー!!!!


【みなさん、この会場の盛り上がりどうですか? 只今連絡が入りました、立ち見席も合わせて会場には5321人の鬼の皆様が詰めかけているようです。なんとこれは、鬼の人口の約8割ということになります。凄い人気ですね、解説の鬼平(おにへい)さん】


【そうですね、昨日の鬼サミットに駆け付けたのが500名ほどの鬼だったのに対して、本日2日目には約10倍にもなりましたね。これは、やっぱりトラジマシスターズの影響でしょうかね】


【たぶんそうだと思いますよ。なんせ今の会場の喜びようは、みんなトラジマビキニお姉ちゃんへの声援なんですからね……さあ、いよいよ次は大将戦ですね。次は、何が見ごろなんでしょうか、鬼平さん】


【やっぱり、あの華奢で大人しそうなミニスカお姉ちゃんの戦いぶりじゃないですか? きっと想像もできないような必殺技が出るかもしれません】

【これは、目が離せませんね~】





「なあ、記誌瑠(きしる)はん? 大丈夫か?」

「あああーーん、大丈夫な訳ないじゃないですか! きっと、今までの恨みをかって、私はボコボコにやられちゃうんだわーーー。わあああああーーーん」


(とおる)君、君が代わりに出るって訳にはいかないのかい?」

「社長、それはもう無理ですね。どうも、出場メンバーは、確定されてるようなんですよ」


「そやなー、今から変更したら、また面倒くさいことになるんとちゃうか?」

「そうねー、あたしとかぐやちゃんで勝ったから、普通は勝ち抜けなんだけどどうしても3試合やるっていうんだもんね」


「鬼の面子(めんつ)ってもんもあるみたいやさかいに……ま、今はウチらも鬼なんやけどな」


「わあああーーん、私には必殺技もとびぬけた特技もないのよ。私は、ただの総務兼経理課長なの、香子(かおるこ)さんや伽供夜(かぐや)さんのように戦闘課(せんとうか)じゃないの!」


「えっと、ウチも香子はんも『戦闘課』ちゃうけど……」



「記誌瑠ちゃん、大丈夫だよ。ワシに任せておきなさい。あっという間に記誌瑠ちゃんが勝てるようにしてあげるから!」

「グスン……ホント? 水野博士? 私でも勝てるの?」

「もちろんじゃよ。ワシの言う通りに動いてくれればいいんじゃよ!」


「私、動くっていっても空手もボクシングも出来ないのよ?」

「大丈夫じゃ……ゴニョゴニョゴニョ……そんで、モゴモゴモゴ……だけでええんじゃよ!」


「う、ううん……ちょっと恥ずかしいけど、私ガンバル!」



 なんやろ? 記誌瑠はん、少し笑顔になってきよった。また、博士はんの発明なんかな?




【本日のメインイベントーー! 大将戦です! ベテラン鬼チームは、エースの鬼吉です。彼は、あの一寸法師に勇敢に挑んだ猛者です。あの小さい一寸法師を飲み込んだのが敗因ですが、今回の相手は絶対に飲み込めませんので、本人も余裕の表情です。一方、トラジマシスターズの方は、トラジマミニスカワンピ―スお姉ちゃんです。どうも、必殺技のその場一回転というのがあるようですが、これは観客までも気を失うくらいの攻撃力があるようです】

【知ってますよ、実況のキーさん、あなた昨日ミニスカお姉ちゃんに会って、しかも回転技を食らったそうじゃないですか】


【いやあーお恥ずかしい。なんせ予期せぬ回転技だったので、もう目に焼き付いて、今でも思い出すとクラクラするんですよ】

【そんなに強烈なんですか?】


【はい……でも、これは、実際に見てもらわないと説明できませんね~】

【じゃあ、解説の私も楽しみにして待つことにします。その後、気絶しても起こさなくていいですからね!】




 実況の鬼まであないなことゆうてからに。単にクルッと一回転するだけやないかと思うんやけど。ただ、記誌瑠はんが回ると、短いスカートがパサッとめくれるだけやないん? 下にはちゃんとシマパン履いてるんやからね。




【さあ、いよいよ最後の戦いです。両者、土俵の中央に出て来ました!】



 カン!



【戦闘開始のゴングです!】



「え? 博士はん? これ? 何?」

 ウチら土俵サイドで見とったんやけど、博士はんに黒いサングラスを渡されたんや。もちろん、社長はん達もや。ラビちゃんの分もある。

「みんな、いいか? 記誌瑠ちゃんが、しゃがんだら、すぐにサングラスを掛けるんだぞ!」

 真剣な表情で、博士はんから指示が出たんや。





「ふぇふぇふぇ……俺がお前の必殺技とやらをぶち破ってやる!」

「ええ?……いやーあああー怖いーーーーーーーーーーーーー!」



【おーーといきなり、ミニスカお姉ちゃんが、叫び声を上げながら土俵の上で体を捻ったああーー!】

【いきなり必殺技ですか? もう早?】



 おや、記誌瑠はんいきなり回転しはったわ。ん? あの見せパンなんや? 昨日履いとったんとはちゃうな? 黄色に黒なんやけど、トラジマちゃうわ。模様が、なんか黒い点になってはる。



【み! 見えた――――! 必殺のトラジマアンダーだ!】



 うおおおおおおおおおおおおおおおーーーー!



【会場から地響きのような叫び声が聞こえるーーー。かくいう私、実況のキーですが、なんとか昨日の免疫がありますので、未だ持ちこたえています。解説の鬼平さん! 鬼平さん!……だめです、鬼平さんには免疫がなかったので、もうすでに気を失っています!】



「ふ、ふぁ、ふゅ、へへ……お、俺は……ま、まだ……倒れんぞ!」


「きゃああああーー!」



 あ! 記誌瑠はんがしゃがんだわ! 早くサングラス……ラビちゃんも、はいっと。


 なんと、次の瞬間、記誌瑠はんはお尻の部分のスカートを自分でまくって相手にお尻を突き出したんや。そのお尻には、ちゃんとトラジマのアンダーが履かれているんやけど、黒い模様のところが、異様に光を放っとるんや。


 瞬く間に会場は、記誌瑠はんの『癒しの光』に包まれてしもうたの。時間にして30秒ほどだったと思うやけど、会場のみんなを失神させるには十分やったみたい。



 しぃーーーーーーーーーーーーーーん ・ ・ ?



 しゃーないな、みんな倒れてしもうて、意識があんのはウチら異次元探偵社の社員だけやのん。終了のゴングやわ!



 カン! カン! カン!




 しぃーーーーーーーーーーーーーーん




「記誌瑠はん! 記誌瑠はん! 終わったでーー!」

「え? あ! ふーー」 


 あれまあ、当の記誌瑠はんも気ぃ失ってしもうたわ。じゃあ、今日はウチが記誌瑠はんを背負って帰ろうか。



「なあ、ラビちゃん? 鬼がみんな気を失ってるさかい、明日はどうなんやろうな?」


『きゅるるる……(大丈夫よ、結果はみんなが分かってるし、鬼サミットは初めから3日間の予定でしょ。明日の夜もここへ来れば、きっと分かるわよ。それより、早く帰って何か食べさせてよ! ワタチ、死んだ振りしててもお腹は減るのよね)』


「はいはい、たぶんシャトルに帰る頃には、この記誌瑠はんも目を覚ますから、きっと何か美味しい物作ってくれるやろ」




(つづく)




 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
失神させるほどの光は凄いですね。 しかし、皆が失神していたのなら無効試合な気もしますが、鬼たちが納得するのなら良いのかも。 にしても博士の技術力が凄い。 何故、ぴったりの衣装を用意出来るのか辺りが特…
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