65 第8章第7話 最高の贈り物
「なあ、記誌瑠ちゃん? そろそろ、アレ、いいんじゃないか?」
「そ、そうですね。早くしないと、香子さんが寝てしまうかも、ですもんね!」
「そうじゃ、ワシ、準備してくるから、進行を頼んだぞ」
「は、はい、博士!……えーーっと。みなさん。……宴もタケナワですので、この辺でお待ちかねの余興ということにしまーーーす!」
「よっ! 待ってました!」
「やったー! かぐらちゃん、ここからが本番よ! いい?」
「え? 香子はん、何が始まるんですか? ウチ、楽しみやわ~!」
「それでは、トップバッターは、我らの天才科学者、水野博士でーーす! どうぞ!」
わっ! 部屋の電気がほんのり暗うなってしもうたわ。コの字形の座卓の正面に位置するスペースに博士が登場しはると、明るいスポットライトが当っとるねん。
どこから照らしてるのかよう分からんけど、ウチの正面が舞台やったんやな。
「いいぞー博士―!」
「今日も楽しい発明見せてね~!」
博士ったら、いつもの白衣を振り回して登場してきたの。何やあの大人しい博士が、ポップなBGMに合わせて、なんや踊ってるわ。
「みなさん、ごきげんいかがかな! それでは、準備はいいですか?」
「いいぇえーーい!」
みんなが、音楽に合わせて片手を付き上げて答えてる! スッゴイ盛り上がりね。
「さあ、今日もこの白衣から、たくさんのものを引っ張り出して見せますよ! ご覧ください、ただの白衣、種も仕掛けも……大ありだい!」
「いいぇええーーーい!」
「最初は、これだ!『ほうりゃーー!』」
博士は振り回した白衣をいつも通り身に着けはって、右のポケットから等身大のコップを取り出したんや。絶対にあんな大きなもんが入るようなポケットちゃうし。出したコップは、座敷の空いてる場所に放り投げはったわ。
「さあドンドン行きますよー!『こりゃあーー!』」
うっわ! 今度は、等身大の抱き枕をポケットから出しはった。しかも、博士はんの顔が付いとる抱き枕や!
「やったー、枕だわ! 今日は、お酒に酔ったら、これ使わせてねーー!」
香子はん、もう寝る気やわ。さっそく、博士の抱き枕抱えよったわ。
「さあ、次は連続でいくぞーーー!『ほいっ! やあった! それっ! とー! おんどりゃっーー!』」
凄いわ、博士の発明?……ん、奇術、手品やね。とにかく大きいの、出てくるもんが。ぜーんぶ、等身大なんやもん。消しゴム、鉛筆、ノート、ぜーんぶ等身大なんや。クッキー、ケーキ、チョコレート、ポテトチップス、食べ物やって等身大なやねん。他にも身の周りにあるいろんなものが、白衣のポケットから飛び出してきたんや。ぜーんぶ等身大やねん。
いったいあの小さいポケットに、どうやって入れてるのやろ。いつの間にか、あの広々としてた座敷が、物で溢れ返っとるわ。
「よーし、じゃあ、次が最後な! これは、今日の歓迎会に合わせて、伽供夜ちゃんにプレゼントじゃ!『せーの、ほい!』」
え? え? うわわわわわわわ! 最高や! こないなもん、もらえるんか? はかせーーー! ウチ、思わずプレゼンと見て、嬉しゅうなって、博士に抱きついてしもうたわ!
『きゅるるる……(ワタチも使っていい? ね、カグちゃん、一緒に包まって寝れるよね!)』
「そやねー、こないに大きいさかいに、枕にしても、お布団にしても、抱き着いても、最高やねん!」
なんと、博士はんのポケットから出てきたんは、ウチの身長よりももっと大きな、『ラビちゃんの縫いぐるみ』やったの。真っ白で、ふかふかの毛はとっても触り心地がええ感じやったわ。
ほんまに、最高のプレゼントやわ!
(つづく)
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