表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
56/300

56 第7章第7話 爆発の恐怖?

「ん? オカシイな? 爆発の音がしないぞ!」


 どうしたんや? ミサイル打ったのに、爆発せえへんわ! おや? 記誌瑠(きしる)はんだけ、なんも反応しよらんね。


頑貝(かたがい)ちゃん? ミサイル、爆発しなかったね」

「はい、博士……俺、ちゃんとミサイル発射しましたよね」

(とおる)ったら、また、寝ぼけてたんじゃないの?」

「煩いよ、香子(かおるこ)。現にミサイルが奴に当たった音は聞こえただろう?」


「はいな、『ドッカン』ってゆうてはりましたなあ~……それより、頑貝はん、白い煙が晴れて来ましたな」


「あ、石地蔵が小さくなってるわ」

「元の大きさに戻ったんやね」


「しかも、何か大きな声出して……泣いてる?……泣いてるよ、あのお地蔵さん」



「よし、みんな、ロボットから降りて傍に行って見よう」



 とにかくウチらは、訳も分からず、泣いているお地蔵はんの傍に行ったんや。お地蔵はんは、全身石なんやけど、どうも目から大粒の涙が出てるみたいや。しかも、両手を自分の目の辺りに持ち上げ、丁度小さい子が泣きじゃくるような感じに見えるやん。


 どう見ても、ウチらがいじめたみたいになってるんやないの? たまらず、ウチは、お地蔵はんの頭を撫でながら、慰めたてみたんや。


「なあ、なあ、泣かんとくれやす……ミサイルが当たって、びっくりしたんか?」

「うん……」

 お地蔵はんは、泣きながら、小さく首を縦に振ったんや。


 したら、記誌瑠はんが、近寄ってきて、お地蔵はんに寄り添いながらおかしなことをいい出したんや。


「大丈夫よ! あのミサイルは、危険なモノじゃないからね。……ちょっとぶつかると、痛いかもしれないけど…………たぶん、あなたの体の方が丈夫だからね!」




「えっと、記誌瑠ちゃん? ミサイルが危険じゃないって? どういうこと?」

「あ、水野博士(みずのはかせ)……えっと、実は、ミサイルの火薬を注文されたんだけど……ちょっと予算が……」


「予算がって……火薬入れなかったの?」

「だ、大丈夫ですよ! 火薬買えなかったけど、ちゃんと、代わりのもの入れておきましたから」


「あのーー記誌瑠はん? 代わりの物って……この白い粉のことでしゃろか?」

「う、うん……まあ、そうね……」


 ウチは、その粉を嘗めてみたんや!


「ああああ、かぐやちゃん、変なもの嘗めない方がいいよ、爆発したらどうすんの?」

「大丈夫やわ、香子はん、これ……小麦粉ですわ」


「確かに、火薬に比べたら安いけどね」

「お、俺が撃ったミサイルが、小麦粉だったの? ええ、じゃあ、爆発はしない?」

「いやああ、上手くいけば、粉塵爆発(ふんじんばくはつ)するかなって……あははははは」


「記誌瑠ちゃーん、粉塵爆発って、ここは外だよ。着火源も見当たらないし……ダメだよね~」

「いいえ、博士はん。着火源なら、ぎょうさんあるやないですか? ショットガンとか打てばええんです。何だったら、ウチの機体のパルスレーザー弾撃ちまひょか?」


「いやいや、かぐやちゃん、もういいから止めてね。もう戦わなくても大丈夫だと思うから」

「そうですか~? 香子はんがそう言うなら、ウチ、もう止めるけど…………ラビちゃん、もうええんだって、せっかく携帯ショットガンを持ってきたけどね~」


『キュルル、キュルケルルル……(もう、カグちゃんったら、どこからそんな物騒な物もって来たのよ。携帯するなら、もっと小さいデリンジャーぐらいにしておいたら?)』

「そうやね、あれなら、フジコちゃんみたく、スカートの中に隠せるもんね」



 ウチは、おたくやあらへんよ。ただ、ちょっとだけ、細かいことが気になるだけや。だって、その細かさがやっぱり主役への道やないかと思うねん。


 それよりも、記誌瑠はんがこっちを見て、笑って……いや、怪しい笑みを浮かべてるねん。きっと、今度は最初から爆薬買わんと、小麦粉で予算計上するつもりやわ。



「なあー、ところで、お地蔵はん? なんで、泣いとんの? もう、痛いことあらへんやろ?」


「うう、うっ、うっ……だって……だって……オイラだけ……」




(つづく) 


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まさかの小麦粉w でも、いきなり舐めるなんて勇気ありますね〜。 洗剤だったら危ないです! 地蔵はなんで攻撃的だったのか気になりますね。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ