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53 第7章第4話 空中戦

 フッ!


 音も無くお伽噺の世界に着陸したんや。着陸って言っても、ただの草原に姿を現しただけなんやけど。え! 急に操縦室の警告ランプが点滅し出したんや。


 …………ブッブー、ブッブー、ブッブー……


「博士はん! 敵の攻撃や! 緊急ブザーが鳴ってるさかいに!」

「よし、みんな、臨戦体制じゃ! 香子ちゃん、レーダーで敵の確認を! 頑貝ちゃんはショットガンの準備を!」


「え? ショットガン? どこ?」

頑貝(かたがい)はん、ショットガンはジゾウVの指先から発射されるんや! 照準器は頑貝(かたがい)はんの左操縦桿のボタンを押すんや!」


「く、詳しいな! 伽供夜(かぐや)

「そんなの当たり前や! 昔から戦闘ロボットの定番になってるさかいに、誰でも知っとるわ!」


「え? そ、そうなんですか? 博士~俺、操縦する自信無くなってきたよ~」

「いいから、この体型の時は、頑貝ちゃんが攻撃担当なんだから、頑張っておくれ!」


「敵、石地蔵一体よ!」

「あ、博士、私達の後ろでおじいさんとおばあさんが手を振ってるわ!」

「しまった、丁度今、奴はおじいさん達の家を攻撃し始めたんだ」


「そう言えば、東の空がきれいな朝焼けになってはるわ。……パン、パン……今年もよそしゅうお願いいたしまーす!」

「かぐやちゃん、何やっての! この大変な時に」

「ああ、初日の出やないですか。ちゃあーんとお願いしないと、いい年にならへんよ」



 こういうことは、とっても大事なんや。ウチは、月のお姫様やさかい、みんなの幸せを祈るんや。



「博士、奴は空を飛んでますよ! 空から家を攻撃しようってんだ」

「むー……とりあえず、頑貝ちゃん。ショットガンで狙ってみて」


「了解……照準セーーット! 目標、石地蔵……ショットガン、発射!」


 パン、パン、パン、パン…………


「うっわー、ホントに右手の指から、弾が飛び出したぞ!」

「でも、あれじゃダメよ。全部避けられてるじゃない、へったくそね、徹は!」

「あーあー、弾が無駄になるうーーー」


「あー、香子(かおるこ)記誌瑠(きしる)も、うるせーよ。奴の動きが早ーんだよ!」



「仕方ない、ここは、分離体型で攻撃するか!」


 ナニナニなんや? 分離体型って? これは、見せ場屋やね! 博士~


「みんな、分離後は各自の判断で攻撃するんじゃぞ! よし、行くぞ! ジゾウVセパレーート!」



「「「「「 ゴー――!」」」」」



 うっわ、それぞれの椅子が回転して動き出したやん。ウチは、垂直上昇や! ウチは、頭やね。


「きゃあー、私は急降下だわ…………うっわ、足元まで降りちゃった!」


「あたしの椅子は回転して右の方へ移動したわ。ここは腕かしら?」


「うーん、ワシは腰だから、やっぱり下へ行くんだな」


「お、俺は、今の場所から動かないぞ。胴体の担当なんだ!」



 そして、それぞれが分離して空を飛び出したんや。みんな飛行形態に変化してる。頭は、ウチね。小さな両翼に垂直尾翼も飛び出してる。

 両腕は2本合わさって、やっぱり小さな翼があるわ。操縦は、香子はんね。

 両足は記誌瑠はんやわ。2つの足首が合わさって飛んでるの。

 腰から足に掛けては、水野博士はんが担当やわ。やっぱり2つが合わさって羽根が出てた。

 最後は、大きな胴体部分ね。操縦は頑貝はん。大きな戦車が空を飛んでるみたいや!



「伽供夜ちゃん、聞こえるか?」

「ええ、聞こえるや! 何なん? 博士はん」

「操縦パネルの右側に、ラビちゃんの席も作っておいたぞ、そこに乗せれば、ある程度機体操縦の補助操作が出来るんだ!」

「おおきに、博士はん。……ラビちゃん、よかったやん」


『やったーワタチの席ね。……よいっしょ……わーいわーい、これで、ワタチも戦えるわ!……あ、カグちゃん、前から敵が来るわ! 避けて!』

「わおー、危なかったわ」

『じゃあ、攻撃開始するわよ……後ろに回り込んで!』

「ラジャー…………それっ!」



「かぐやちゃん、凄いわ。あんな急旋回して、下から石地蔵の後ろに回り込もうっていうのね……あたしは、援護に回るわ!」


 ババババババアッバババババババアッ



「お、香子ちゃんが、援護射撃を始めたな。じゃあ、ワシだって」


 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド



「博士も援護射撃だ! 俺は…………ケッ、この胴体には射撃砲はついてないのか? じゃあ、この分厚い胸板で行く手を塞いでやらあーーおりゃああああああ」



『カグちゃん、今よ、胴体のブロックで、石地蔵のスピードが落ちたわ! 照準セット完了!』

「了解、ラビちゃん……パルスビーム発射!」


 ビビビビビビビビビビビビビビビビビビビ



「やったー、全弾命中や!」



 凄いやん、ウチ。なんかもうベテランパイロットやね。あ、石地蔵が逃げて行くやん。


「博士、追いますか?」

「いやあ、記誌瑠ちゃん、深追いは止めておこう。それより、次の攻撃に備えて作戦会議だ! みんな、一旦着陸しよう」



 ウチらは、それぞれの機体を個別に着陸させたんや。そして、不安そうにこちらを見ていたおじいさんとおばあさんの前に、ウチら5人は勢揃いしたんや。




(つづく) 


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


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― 新着の感想 ―
おお、今までと違ってロボットアクション回ですね〜。 かぐやちゃんとラビちゃんはノリノリ!w この章はアクション多めになりそうな予感。 追伸: 第7勝 ↑章タイトルに誤字がありました。
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