52 第7章第3話 発進!
「うっひょー、博士、これが今回の異次元シャトルですか?」
「どうじゃ、頑貝ちゃん。これなら、どんな暴れん坊の石地蔵とでも戦えるだろ?」
「うっわー、大きいですね~…………これ、ビルの2階ぐらいの高さがあるやないですか?」
「でも、ちょっと見た目がね……博士? もっとカッコよくできなかったんですか?」
「何を言うとんじゃ、香子ちゃん。目には目を、石地蔵には地蔵ロボットじゃて!」
「確かに、大きいです。しかも、見た目がお地蔵さんですよね。……これ、今までより結構材料費かかってませんか?」
「いいじゃあないか、記誌瑠ちゃん。たまにじゃ、な、たまになんだから」
「博士、ちゃんとオプション装備はあるんでしょうね」
「おお、頑貝ちゃん、任せておきない。今回は、マル秘の仕様にしてあるから、全員がフルに活躍できるぞ!……本当は、ワシが留守番で社長が目立つようにしたんじゃが、社長が行かないんで、ワシも頑張らないといけなくなってしまったがのお~」
まったく、博士はんは放って置くと、予算関係なくおもろいもん作らはるし。また、記誌瑠はんが怒るんちゃうやろや?
「いいかみんな、これは『シャトル・ジゾウV』だ! さあ、出発するぞ、操縦室に乗り込むんだ!」
「「「「了解!博士!」」」」
いつの間にか倉庫の床には、5つのシングルシートが置かれていたんや。高級なゲーミングチェアみたいな感じかな? ウチらが指定された椅子に座ると、一度床下に椅子ごと吸い込まれたんや。
トンネルの中を椅子に座ったまま移動する感じやね。結構スピードがあったから、びっくりしたわ。香子はんや記誌瑠はんの叫び声が聞こえたわ。あ、ウチは平気やよ。こう見えてもジェットコースターは、大好きなんや!
そのうちに椅子は垂直上昇を始めたんや。ほんの数秒で、椅子は所定の場所に止まった感やね。明るい部屋みたい。周りにはいろいろな計器が並んでいたし、前面がビデオパネルやね。そして、やっぱり手の届くところに操縦桿があるんやわ。
部屋の真ん中に、丁度5人が2列に並ぶような感じかな。前は2人で、記誌瑠はんと香子はん。後ろが3人で左から、頑貝はん、ウチ、博士はんに並んでるわ。
「あ、あ、あのーー。マニュアルは、あらへんの?」
「ん、伽供夜ちゃん。よく知ってるね、マニュアルがあることなんて」
「だって、これからウチ、このジゾーVを操縦するんやろ? やっぱりマニュアルは見ておかんと」
「まあ、操縦はいたって簡単、殆どAIがやってくれるから大丈夫なんだけど……じゃあ、これ伽供夜ちゃんに預けておくから、暇なときに見ておいてね」
「了解よ、博士はん!」
「じゃあ、笠地蔵の世界に出発しようか!」
ウチらは、いつも水野博士が開発したこの『異次元シャトル』で物語の世界……つまり異世界へと行ってるんや。ウチも詳しいことはよく分からないんやけど、シャトル内部に組み込まれた『電磁誘導コイル』がフル回転すると、次元を飛び越えるらしいんよ。
せやから、出発っていっても別にシャトル自体が飛んだり動いたりはしないの。ただ、スイッチを入れると、フッと倉庫から消えるだけなんや。そして、向こうの世界に、またフッと現れるちゅうわけや。
「博士はん! ウチに出発のボタン押させてくれまへんか?」
「ん? 伽供夜ちゃん、やってみたいんかい?」
「あ、かぐやちゃん、あれ、試すんでしょ!」
「へえ、ウチ、今週はずっとあれ見てまして……一度やってみたかったんです!」
「何? また、伽供夜さん、昔の番組見て凝ったのね。今度は、何見てたのかしら?」
「ほな、よろしおま?…………電磁誘導コイル!……スイッチ・おーーん! かぐや!いきまーーーす!」
フッ~…………
(つづく)
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