51 第7章第2話 ミッション確定?
ブッブー ブッブー ブッブー ブッブー
「はいはい、分かりましたよ。今、行きますよ~……」
仕方無んや、人類委員会からのメールは社長しか受信でけへんのやさかいに。特別なんやね。せやかて、この世界には、インターネット網も電子メール配信も、決まったIDが無いとでけへんのやさかいに。
そんなIDが貰えるのは、社長はんみたいに人類委員会からの仕事をやってる人だけなんやから。
あ、社長はんが戻ってきたんや。
「……むー。みんな聞いてくれ、今回のミッションは、『おじいさんとおばあさんを石地蔵の攻撃から守れ!』だ」
「え? 攻撃? ひょっとして今回は、戦闘系ですか?」
「また、徹はそんなに燥いだ顔して」
「いいじゃないですか。最近、ちょっとショボいミッションが続いたんで、香子だって暴れたいんじゃないか?」
「そ、そんなこと無いわよね、かぐやちゃーん。あたし達は、そんな野蛮じゃないわよね~」
「攻撃? 戦闘系? 確かに、今朝もジムで香子はんとは、スパーリングしてきたけど……毎日のことですやん」
「え? 伽供夜って毎日そんなことに付き合ってんの?」
「失礼ね徹は。そんなことって何よ。体を鍛えるのだって大切な任務なのよ、ねーかぐやちゃん」
「はいな、確かに香子はんとジムに通うようになって、体のキレがようなりましたさかいに」
「じゃあ、今回の任務も、僕はお休みってことで、頼むよみんな!」
「ほな、今回も社長はんは、行かれんのですか?」
「ああ、僕はやっぱりこのソファーベッドの寝心地を確かめることにするよ…………それより、記誌瑠君、歴史全集の方で確かめなくていいのかい?」
「ああ、そうでした」
記誌瑠はんは、ページを捲ったんや。今回は、物語の題名が分っとたんで、索引から『石地蔵』を検索したんやね。
「あったわ、石地蔵が出現する物語で、一つだけ『赤文字』に変化してるやつが」
「社長……今回は『傘地蔵』のようですね」
「そーら、やっぱりメンドクサイ案件だ。確か、傘地蔵は6体だったはず。もしも、攻撃を仕掛けているのが6体の石地蔵だったら大変だぞ」
「うっわー想像しただけで、ワクワクする~」
「だから、徹……止めなさいよ、そんな危ない想像するのは」
「じゃあ、読むわよ」
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……歳の瀬、笠が売れなかったおじいさんとおばあさんは、新年の日の出とともに石地蔵の襲撃を受け、家を破壊されてしまった。貧しかった2人は、今年も正月から酷い目にあったとしょんぼりしてしまったとさ……お終い。
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「例のごとく、物語の最後が、アンハッピーになってるわ」
「ほんまに石地蔵の攻撃って、危ないんかな?」
「かぐやちゃん、けっこう昔話って戦闘色の強いものがあってね、こじれると目も当てられないのよ……だから、早く行って戦闘を止めさせましょう!」
「あーあ、だからワシは、戦いに行くのも、戦いを止めに行くのもイヤなんじゃ。結局、戦闘に巻き込まれるからな」
「ダメですよ、博士。戦闘となれば、益々博士の力が必要になるんだから。さ、今回のシャトルはどれにするんですか?」
「へー博士はんも戦うんですか? 博士はん、そないに強いんでっしゃろか?」
「まあ、博士が強いというより……博士が俺達を強くしてくれるんだよ、さあ、伽供夜もがんばるぞ!」
もう、戦闘モードになると頑貝はんはやけに張り切るんよね。せやかて~頑貝はんが張り切ると、お金もかかるとちゃうんか? なんか、記誌瑠はんの機嫌が悪くなってきた気がするんよね。
「もう……、武器用の火薬は高価なのよね。あんまり暴れないで欲しいわ。それでなくても、博士からのシャトル作成には予算が掛かったのよね」
なんか、記誌瑠はんの愚痴が聞こえた気がするねん。
「仕方がないのー。じゃあ、みんな地下のシャトル格納庫に行くかのー」
(つづく)
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