表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
46/300

46 第6章第7話 高級デートスポット?

「うっわーーーー、スッゴイおすねーーーー!」


『なんだ、カグちゃん、せっかく月に住んでて、高松島(たかまつしま)ドームに来たことなかったのね。ダメね~、そんなんじゃ流行に乗れないわよ!』


「ううーーっ……だって、ウチ、まだこっちの月に来たばっかりやし……会社の仕事もあるし……それに、香子(かおるこ)はんはあんまり買い物とか好きやあらへんみたいやし…………あのね、お酒飲むとこやったらぎょうさん知ってるよ!」


『どうせ、スナックとか居酒屋でしょ……そんなとこでお酒を飲んでたって、若い人来ないわよ』


「ええ?……だって、お料理だって美味しいし、静かな雰囲気やし、……それに、香子はんが奢ってくれるから……」


『もーー、そんなだから、彼氏もできないのよ!』


「そ、そんなことあらへんもん!……大丈夫やもん!……香子はんだって、記誌瑠(きしる)はんだって、彼氏おらへんし……」


『へええー、そうかな?……ホントに彼氏いないのかなあ?……香子さんって、今日お出かけなんでしょ? デートって、言ってなかった?』


「…………い、言うてへんよーー。……たぶん……買い物して、食事するだけって、言うてたもん!」




『ま、とにかく高松島ドームに入りましょ! さすがに動く歩道とはいえ、1時間半は疲れたわね』

「何言うてんの、歩道に立ってたんはウチやで。ラビちゃんはウチの腕の中で居眠りしてたやん」

『えっと……この高松島ドームは……』

「あ! ウチの話、無視したああーー」


『……オッホン! この高松島ドームは、全てがショッピングセンターになっていて、1つの階がとっても広いの。大昔の東京ドームより広いらいいの。このドームは一つの建物になっていて、全部で3階まであるの』


「ホンマ、入り口に入っただけで、広さは分かるわね。だって、向こうの端が見えへんやもんね」


『1階は、家具売り場が中心ね。その他に高級フルーツの専門店もたくさんあるみたい。それに何といっても入り口付近にある宝飾店と化粧品店は別格ね』


「値段がすごうて、絶対に宝石なんか買えへんって、香子はんは言ってたわ」


『ま、そうかもしれないけど、隣の化粧品店では店頭の無料お化粧サービスもやってるの。フリーメイキングサロンって言って、安い化粧品でも買うと、しっかりフルメイクのデモンストレーションをやってくれるのよ』


「へえー、ウチも後で、やってもらおうかな?」


『2階は、全て衣料品関係なの。男性用、女性用のすべての高級衣料が揃ってるわ。着物なんかも売ってるのよ』


「ウチ、昔はお城で着物着たから、懐かしいわ」


『3階は、本・文具・レコード・家電なんかを売ってるわ。それから、この高松島ドームで、誰もが一度は訪れる高松島食堂があるのよ。ここは、洋食から中華やフランス料理もあるの。それから、人気なのは御寿司ね。品質の割には値段が安いって評判よ』


「ウチらも、お昼はここで食べへん? ね、いいでしょ?」


『もちろんよ、ここまで来て、食堂へ行かないなんて、どうかしてるわ!……それから、絶対に行きたい場所がもう1つあるの』


「え? どこなの? 確か3階建てやった筈よね。もう行くとこ、あらへんのやない?」


『ところが、ここ高松島ドームには、屋上があるのよ。もちろん、ドームの中に納まってるから、宇宙服とか着なくても大丈夫よ。屋上はね遊園地になってるの。コーヒーカップ、メリーゴーランド、小型モノレールなど、いっぱい乗り物があるわ。後は、広い場所を生かして人工芝のパットゴルフ場もあるのよ』


「なに~? この屋上だけで、1日過ごせるやん!……あ! だからここがデートスポットになってるのか!」


『忘れちゃならないのが、屋上でしか味わえない極上濃厚バニラソフトクリームよ。スリルある乗り物の後に、ベンチに座って食べるソフトクリームの美味しいことと言ったら……』


「うわあーーーー、早よ、屋上へ行きまひょ! ラビちゃん、まず、屋上よね!」


『ワタチは…………いいんだけど……カグちゃん、目的は何だったかしら……?』


「うっ、……そっか……探さなあかんやった……」



 ウチは、すっごく美味しいご馳走を目の前に置かれているのに、お預けをされたワンちゃんのように、舌が乾いて来てしもたんや。


 仕方なしに、ウチらは入り口から入り、建物の中を探すことにことにしたの。ところが、1分もしないうちに、ウチらはターゲットを発見してしもうたの。なんと、新畑社長はんは、入り口のすぐのところにある女性用化粧品売り場で、何かを見ながらただ突っ立ていたの。



「社長はん、何見てはんのやろう? まさか、自分で化粧品使うわけあらへんやろな?」




(つづく) 


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
奢ってくれるって理由がリアルですねw 1時間半の動く歩道……めちゃ長い。 屋上遊園地は見なくなって久しいですが、フードコートのソフトクリームは美味しく感じますよね〜。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ