42 第6章第3話 頼れる?ラビちゃん
はっ! そうや、これでラビちゃんからいろいろ話が聞けるやん。
「ねえねえ、ラビちゃん。ラビちゃんは、社長はんと一緒にここに来たんやね。どうだったんや? 社長はんとは、何かお話してたん? どうして、社長はんとお父様は、知り合いなん? いったい社長はんって、どんな仕事をしてるん? ねえ、ラビちゃんってば~」
『……あーもー、そんなに、次から次へと質問しないでよ。ワタチ、そんないっぺんには答えられないんだから! いい加減にしてってば。それより、カグちゃん、一人で何楽しいところに来てるのよ。ワタチを独りぼっちにして、どうして一緒に連れて来てくれなかったのよ!』
うっわ、ラビちゃん、めっちゃ怒ってはるやん。これは、まずいやん。ラビちゃんの言葉が、分かるようになったさかい、ちゃんとお話しせなあかんな……。
「えっと、ええっと……地球に家出した時はな、ウチ、赤ちゃんの姿になってたんや。だから、ラビちゃんを連れては行かれへんかったんよ。ゴメンな」
『そっか、お城を抜け出すのに、自動竹形移送機なんか使うからよ。あれは、自動で好きな場所に行けるけど、座席が小さいのよ。あれは、ワタチ達みたいな小動物用なのよ!』
「えへっ、そうなんだ。ウチ、知らんと物置から引っ張り出して、行先を地球にセットして出発ボタンを押したら、急に光線を浴びてな、赤ん坊になってしもたんよ。まあ、1週間で大人に戻ったけど、最初はびっくりしたんよ」
『カグちゃん、そんな無茶したらダメよ! まさかあんな近い地球に家出するなんて思わないじゃない。ワタチは、てっきり冥王星とか行っちゃったんじゃなかいと思ったのよ』
「ウチが、そんな遠いとこ行くわけあらへんやろ。ほんまにゴメンって、ラビちゃん。これからは、いつも一緒よ。どこにでも連れて行くさかいね」
『頼むわよ、カグちゃん。ワタチだって、あの何もない月で、退屈してたんだからね』
「う、うん……。ところで、さっきの話なんだけど、社長はんのこと何か知ってる?」
『ワタチが、そんなメンドクサイこと、知ってる訳ないじゃない!』
「なーんだ、ラビちゃんも知らないの~?」
『カグちゃん、何、ボーっとしてるのよ。知らないんだったら、調べればいいのよ! さ、カグちゃん、調査開始よ! その社長さんとやらを調べましょ!』
「う、うん。ラビちゃんも協力してよね」
『分かってるわよ! ワタチに任せなさい! じゃあ、明日は朝から会社へ行って、社長さんを見張るわよ!』
「うん、ラビちゃん。分かったよ。ほな、今晩はこのくらいにして、明日に備えましょう」
ウチは、真夜中過ぎに、こんな相談をした後、久しぶりにラビちゃんを抱きしめながら眠りについたんや。
(つづく)
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