30 第5章第3話 参考人招致
「ウー、ワンワン! ウーウー、ウオンウオン! シャアアアー!」
「おいおい、伽供夜Gちゃん、これはシロじゃないか?」
「お前、それにしても、シロが凄い怒っているように見えるけど、大丈夫なのか?」
「や、ヤメテ下さいね、私、齧られるのはイヤですよ!」
「ホントに、かぐやGちゃんは、何をするか分からなくて、面白いわね~」
「おおきに、香子ヤマはん! 大丈夫や、ウチに任せてくれなはれ」
ここはウチの腕の見せどころや! っていっても、アーカイブテレビで見ただけやけど、何とかなるやろ。なんせ、ウチはお姫様なんやからな。
ウチは、吠えまくっとるシロはんを抱きしめたんや。別に『締めよう』いうんやないよ。ちょっときつく抱いただけやし。
それから両手でシロはんの顔を持ち、ウチの顔を近づけて行ったんや。絶対に目は離さんようにせんといかん。ジーっと見つめながら、「ほーら、よしよしよしよし……」って、思いっきり可愛がるんよ。
「伽供夜Gさん、やめた方がいいわよ! 危ないから!」
記誌瑠はんが心配してくれとるわ! でも、大丈夫や、ウチに任せといてえな。
オンオン、バンバン、グワワワワ……
「あ! ほーら、かぐやGちゃん、自分の鼻を齧られちゃったわよ!」
「大丈夫か? 伽供夜G……お前、鼻血出てるぞ……」
「もうー伽供夜Gさんったら、言わない事じゃない!」
ウチはまあ平気なんやけど、……なんやみんはんが期待してはるから……あのセリフいったほうがええんやろな……。
「ナンジャーー、こりゃああああーー!」
やっぱり、みんはん大喜びしてはるわ。でも、本当はこっちのセリフの方がいいんや。せやかて、シロはんは本気で噛んでたわけやないんや。ほら、もうウチの鼻をなめ出したわ。
「……ヨーシ、ヨシヨシ……ヨシヨシヨシ……ホーラ、ええ子や! ええ子や! ヨーシヨーシ、ヨシヨシヨシ………………」
ホンマにめんこいなあ。
「ヨーシヨーシ……お前はええ子や~ホレホレホレ……ヨシヨシ……」
「あ! シロがかぐやちゃんに甘えてるわ! かぐやGちゃん、凄いわ!」
「おーおー、シロが嬉しそうに舌を出して伽供夜Gの顔を見て喜んでるぞ!」
「オーオー……分かってくれはったか。いい子じゃ、いい子じゃ。ヨーシヨーシ、ヨシヨシヨシ……」
「ははーん! かぐやGちゃん? ひょっとして、あなた自分の動物王国作ろうとしてない?」
「あはっ……香子ヤマはん、バレましたん?」
「やっぱり!……だって、この間アーカイブテレビで見てたのは、刑事ものの後に動物ものもやってたものね!」
「えへへへ……ウチ、可愛いもの大好きですねん! 特に小さうて、フワフワしてて、めんこいのは、もう我慢できひんのです!」
「あら、水野ボスはん。何を持って来たんや?」
「ああ、みんな、これを付けてみなさい……ああ、片方の耳に入れるだけでいいからね!」
水野ボスはんは、小さなイヤホンを渡してくれはったの。これ、何に使うんやろか?
「これはな、動物の声が聞けるもんなんだ。どんな動物でも、泣き声を日本語に変換してくれるんじゃ」
「うっわー、ボスはん、凄いやないの! これでウチの動物王国計画も……うふっ!」
「伽供夜Gちゃんったら、またニヤニヤして。だめよ、自分の動物王国建国の夢ばかりみてちゃ。ちゃんとミッションやってね」
「えへっ、すんません」
動物王国の夢はちょっと後回しにして、とにかく動物鳴き声翻訳イヤフォンを早速付けてみたんや。
『まったく、何しとんねん! ワイは、束縛されんのが大嫌いやねん! 早う解放せんかい、オンどりゃ!』
え!? どないなっとるん?
(つづく)
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