291 第23章第18話 最後の秘密兵器?
《…………ふっ、何を今更。お前がいくら頑張ったところで、私の計画はかえられないんだ。やれるもんなら、やってみるがいい! …………大丈夫じゃ、お主ならできるはずじゃ。わしが見込んだ“かぐや姫”なんじゃからのう。思いっきりやってみるといい》
なんか、人工知能0099の中の水野博士はんも、ウチを信頼してくれとるわ。ホンマに、実物の博士はんと同じや。
「ねえ、かぐやちゃんには何かいい方法があるの?」
「うん、まあ……、香子はん。やってみんことには分からんけど……」
「大丈夫さ、伽供夜君、ここにいるみんなが君を応援してるんだ! 何でも言ってくれ、全力で手伝うからさ」
「社長はん、……ありがとうございます。ウチ、絶対地球の運命を変えて見せるわ」
「伽供夜、運命を変えるって、これからの運命をなんとかするのか?」
「いいや、頑貝はん。変えるんは、今までの運命や!」
「え? 過去を変えるってことか?」
「そのためには、絶対に水野博士はんの協力がいるんや」
「…………そっか、分かったぞ! ワシが、ちゃんと完成させればいいんじゃな!」
「博君? 一体何を完成させるの?」
「決まっとるじゃろ。アイツが邪魔しなければワシが完成させたもんじゃ」
「そうか、博士。タイムマシンを完成させるんですね。…………つまり、伽供夜君、君は過去を変えようっていうんだね!」
「社長はん、ウチは思い出したんや。ただ青い地球が好きやっただけやなく、地球に住むたくさんの人達から未来の地球を守って欲しいって頼まれてたんや。せやから、ウチはウチのできることをやってみるんや!」
「ねえ、博君? そんなに簡単にタイムマシンを完成させられるの?」
「大丈夫じゃ、記誌瑠ちゃん。これを見てくれ!」
「何? この小さなキューブは?」
博士はんは、小さなサイコロ状のものを掌に載せてたんや。色は、メタリックでとっても堅そうやったわ。
「博士はん、なんやコレ?」
「ワシはな、異次元転送装置は完成させたんじゃ。でもな、あれはワシのタイムマシンを改造したものなんじゃ」
「え? ということは、もうタイムマシンは完成してたのかい?」
「社長、すみません、報告してなくて。でも、月にはこの金属が無かったんじゃ。この希少金属は、タイムマシン作成には無くてはならないものなんじゃ」
「え? でも博士、今、手に持ってるじゃないのかい?」
「そうじゃ、ワシはこの金属を小惑星ベスタで見つけたんじゃ。あそこの工場の1つで、この金属を精製しておったんじゃ!」
「そうか、月には博士が居るって知ってるから、奴はこれを月には搬入しないようにしてたんだ」
でも、ウチは1つ気になることがあったんや。
「博士はん、その金属があれば異次元転送装置をタイムマシンに出来るんは分かったんやけど、ウチらは今、異次元シャトルに乗ってるわけやないんや。そもそも改造するもんがないんとちゃうか?」
ウチらがいつもお伽噺の世界に行く時に使ってたシャトル、あれこそが博士はんの大発明タイムマシンやったんや。ただ、部品が1つ無かっただけやったんや。
「大丈夫じゃ、異次元転送装置なら、あそこにあったじゃないか!」
「あ! そうだわ、さすが博君! 私達が月のウサギ達の世界に転送された、あの部屋ね!」
「そうじゃ!」
「よし! みんな、ここを脱出して、この宇宙ステーションで最初に入った部屋に行くぞ!」
「了解社長! さあ、善は急げだ!」
《…………ふふふ、私がそんなに簡単に君達を行かせる訳がないじゃないか。何をしようとしてるかは分からんが、自由にはさせんぞ! …………急げ、あの部屋は、ここを出て真っすぐ進んだ正面にある! …………また、お前か、いい加減にしろ! お前は俺の邪魔ばかりして! …………うるさい! わしだってお前なんじゃ。この人工知能試作ナンバー0099は、2人で1人前なんじゃよ!》
やっぱり、あの2人だけでは上手くいかんみたいやね。あの2人が、お互いに協力し合えば…………。
「行くぞ! みんな、続け!」
頑貝はんが、真っ先にこの部屋を飛び出して廊下に出たんや。
「わあ!」
ところが、廊下に出た頑貝はんは、いきなり大声を上げたんや。
「どうしたんや! 何があったんや!」
「ダメだ! 伽供夜は来るな!」
ウチも廊下に出ようとしたんやど、廊下にいる頑貝はんにいきなり止められたんや。そんとき、ウチの肩に後ろから手を当てて引っ張った人がおったんや。ウチは、廊下に出る前に、物凄い力でもう1度部屋の中に引き戻されたんや。
(つづく)
最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。
今後ともどうぞよろしくお願いいたします。




