表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
29/300

29 第5章第2話 聞き込み開始

「よし、着いたぞ。みんな降りていいぞ!」


 向こうに見えるのが、花咲家(はなさきけ)や。ああ、おじいはんは花田咲夫で、おばあはんが花田咲子だから、花咲家っていうんやね。その方が手っ取り早くて分かりやすいんやね!


 それにしても慎ましやかなお家やね。


「あのー、今回は変装せえへんの? 可愛いワンちゃんになるとか? 可愛いネコちゃんでもええんやけど……」


「うーん、伽供夜(かぐや)ねえ、そんなに変装したいか? でも、今回はまず花咲家がどんな家なのか知らなきゃいけないので、全員普通の村人だな」

「そーなんや? 村人はんか~。 可愛いんかいな?」


「いや、まー、そんなに可愛くは無いと思うが……可愛くなきゃダメか?」

「あ、いえ、まあ、そんな……大丈夫なんやけど……」




「それじゃあ、花咲家について、ワシらで村人達に話を聞いてくるとしようかの」


水野博士(みずのはかせ)はん、話を聞いてくるんやね……そうか!……『聞き込み』やね! ボス!」

「え? 伽供夜ちゃん? 誰がボスだって?」


「大丈夫や、ボス! ここは、最年長の方が、やっぱりボスなんや!」

「そうかい?……まあ、一応じゃ本部は、ワシが守ろうかの~…………それにしても伽供夜ちゃん、また昔のテレビ見てたね。まあ、ワシにしたらそんなに昔じゃないけどね」


「ほな、ゴリラさんは、北の方を頼むんや!」

「こら、伽供夜。誰が、ゴリラだよ!」

「いいえ、これは『何でも夢中になるゴリ推しのゴリラ』はんですよ」

「おい! 『ラ』は関係ないんじゃねえかよ!」

「あ、いえ、『ラ』は、見た目で付けてみたんやけど……」

「余計悪くないか?」


「デンカはんは、東を頼んます」

「え? 私がデンカ? 女でもデンカって言うの?」

「もちろんや。お淑やかで、経理に厳しい記誌瑠(きしる)はんにピッタリや!」

「ま、まあ、今回はちゃんと割り当てがあって、嬉しいけど……」


「ヤマはんは、南やで!」

「あたしが、どうしてヤマなのよ?」

「えっと、『落としのヤマはん』なんです。どんなに口の堅い人でも、香子はんの圧力には絶対に負けてしまうやんか」

「まあ、なんかカッコ良いけど……、それでかぐやちゃんは、何なの?」


「あ、ウチはGと呼んどくれやす! 西の方の聞き込みしますさかいに」

「何だよ伽供夜、Gって?」

「えっと、ジーパンのGですが……」

「あーはいはい、分かりましたよ、Gね。いいんじゃないの!」


「ほな、ボス。ウチらは、聞き込みに行くさかいに!」

「ああ、気を付けてな……」

「……(ゴソ、ゴソッ)……はい、ボス、これ使うておくれやす」

「あ、ああ、すまんな、G…………」


「何あれ?」

「なんや記誌瑠はんは、これをしらんのか? これは、こうやって片手で顔の前に持ち上げてな、もう片方の手の人差し指をちょっと当てて隙間を作って覗くんやわ」


 まったく、これだから若いもんはダメやね。ま、ウチも若いさかいに、アーカイブテレビで覚えたんやけどね。







 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ボス、遅くなりました」


 最後に戻って来たんは、片貝はんやったわ。なんや村人の衣装の上に膝までのコートを羽織ってはるわ。もちろん色は、草色やね。これから桜を咲かせようっていうのに、季節感まるでないんやけど、何となく聞き込みには、このコートはかかせまへんよってに。


「おお、ゴリラさん、お疲れ様。もうみんな戻ってるけど、ずいぶん時間が掛かったね」

「いや、何、その、このコートを探すのに手間取っちゃって……あははは」

「え? それで遅れたのかい? まあ、じゃあ聞き込みの報告をしてくれるかい」


「はい…………えっと、このコートは、よく似あうらしいです」

「何言ってんのゴリラさん! そんなコートに夢中にならなくてもいいのよ! (とおる)……あ、ゴリラさんは、もー」


「うるせえよ、香子……いやヤマさんはよー」


「いいからさー、次はあたしが報告するよ! ボス!」

「ああ、たのみます、ヤマさん」


「あたしは、花咲家の御夫婦について聞き込みをしました。おじいさんもおばあさんもとってもいい人で、仲も良いそうです。村人達にも親しまれていて、花咲家を悪くいう人は誰も居ませんでした」

「ご苦労様、香……いや、ヤマさん」


「これじゃ、隣のイジワルなおじいさんなんて出てこないわよね」



「それじゃあ、次は私が報告します」

「記誌瑠……いや、デンカ頼むよ」

「はい、花咲家の資産について調べて来ました。預貯金、不動産、その他宝飾関係の資産は全くありませんでした。2人とも年金暮らしです。ただ、その年金も堅実な生活の為に十分生活には潤いがあるようです。従って、ペットのシロにも不自由はさせていないというのが、調査結果です」


「おおお、益々、何不自由なく、幸せな暮らしなんだのおー。これじゃあ、シロが宝ものを掘り出すなんてことしなくてもいんだなあ~」


「そうなんや、ボス! これだけで、もう花咲家に事件が起きる隙などおまへんわ」

「おや? 伽供夜……いや、Gよ。君の調査でも、変化なしなのか?」


「いいや、ボス! だからこそ、ウチは証人を連れて来たんや」

「証人?」

「はい! どうして花咲家に事件は起こらへんか! その中心人物や!」

「そ、それは、いったい……誰なんだ!」



「ボス! この人が証人です!」


「うわわわわ……こ、これは……!」




(つづく)


 最後までお読みいただけて、とても嬉しいです。

 今後ともどうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
かぐやさんそのコードネームは…なんか土手っ腹に銃弾受けそうでおすすめできない…w
年金暮らしだったとは……。 にしてもGだと、黒くてカサカサと早い方を連想してしまいます(苦笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ