275 第23章第2話 いざ、潜入!
「みんな、宇宙ステーションにドッキングできたぞ。社長、どうするんじゃ?」
「あー……えっとな、中に入ろう!」
「宇宙ステーションの中へか?」
「うん、中へ入ると……少し先に、どうも小さな部屋があるみたいなんだ……」
「お? 社長、何か情報でもあるのかい?」
「いやあー今、人類委員会から届いたメールに、地図みたいのが添付されていてね~……これ、どっちだ~?」
「あー、アナタ、これ、あたしに任せて! このドッキングハッチを入ると、まっすぐ廊下に沿って進むのよ!」
「了解だ! 先頭は俺達が勤めるから、みんなは後から着いて来てくれ!」
なんや、頑貝はん? “俺達”って? “達”ってことは、ウチも先頭ちゅうことやね!
「よっしゃ! ラビちゃんは、ウチの背中に引っ付いとってや! ほな、行で~」
ウチは、ゆっくりとセーラーアースの扉を開けたんや。もちろん、念のためにヘルメットも被っとるわ。開けた扉の向こうは、もう1枚の扉になってるわ。つまり、これが宇宙ステーションの入り口やね。2つの扉の間は、隙間なく耐圧ラバーで囲まれて空間が繋がってるんや。すべて、自動で宇宙ステーション側からのセッティングなんやね。
「ほな、宇宙ステーション側の扉も開けるで~」
「気を付けろ、伽供夜。開けると同時に一旦姿勢を低くするのを忘れるな!」
「了解や! 頑貝はん!」
ギイギギギイイイイイイイイ……
ウチが、宇宙ステーション入り口の扉をゆっくり開けたんや。すかさず、頑貝はんがウチを飛び越えて、中に転がり込むようにして前転しながら飛び込んだんや。頑貝はんは、小さなレーザー銃を持っとったわ。これも、博士はんの手作りやな。
バギューーーー……バキューーーーー……
「大丈夫か? 頑貝はん?」
ウチも慌てて中を見たんや! せやけど、扉の向こうは、ただの廊下になっとるだけで、何もおらんかったわ。
「頑貝はん、今の銃声はなんや? 何かいたんか?」
「あははっはは……別に何もいないよ。ただ、ちょっと景気づけに一発撃ってみただけだ!」
「あほか! びっくりするやないか。そないな銃、危ないんやから、どこでも簡単に打ったらいかんって!」
「大丈夫だって……あははは……ちゃんと、光線の程度は落としてるから」
「何をゆうとんのや。どんなに弱くても、レーザー光線が、この宇宙ステーションの大事な機械に当たって壊れたら、どないするつもりや?」
「……す、すいません……」
まったく頑貝はんは、ほっといたら何をするかわからんな。ちゃんとウチが見張っておかんとえらいことになるかも……やわ。
「ん? どうしたんじゃ、伽供夜ちゃん?」
「あ、博士はん。それが、頑貝はんが、レーザー銃を………………」
「あははははは、やっぱりな。大丈夫じゃよ。そんなこともあろうかと、頑貝ちゃんに渡したのは、ただのレーザーポインターだからの。撃っても、ただ、赤く光るだけだし」
「えええ? 博士~……そんなんじゃ、もし、敵がいたら危なかったんじゃないのかよ~」
「大丈夫よ頑貝君。ちゃんと、私達が扉の向こうの様子は、スキャニングして、何も無いって分かってたんだから」
「あれ~、記誌瑠まで。それじゃあ、俺だけが、ウキウキしてたのか~?」
…………いや、大丈夫やと思うわ、頑貝はん。ウチだってな…………少し、ウキウキしてたし。……でも、今は、内緒にしとこっと。
「ねえ、徹ったら、いつまでそこで遊んでるの? 早く、その廊下を前に進んでよ!」
香子はんは、タブレットで、人類委員会から送られてきた地図を見ながら、みんなを前に進むように急かしたんや。
背の高い社長はんでも、十分通れる廊下やったわ。そんなに狭い感じもせえへんけど、とにかく金属的な壁が、もう“宇宙ステーション”って感じやった。窓もなければ、一切の装飾品もない廊下は、とても長く感じたんや。
途中、何カ所か扉のような切込みは見えたんや。
「この線みたいんは、なんやろ?」
『多分だけど……きっと、どこかに通じる別の廊下の入り口か、部屋に繋がる扉ね』
そういえば、人が1人は入れるくらいの大きさやね。
「俺の推理じゃ、どっかにスイッチとかが、隠してあって、それを押すと扉が浮き出で来るんじゃないかなあ」
また、頑貝はんの“知ったかぶり”が始まったんや。でも、今は、そないなことを確かめる余裕はなく、みんなして廊下をまっすぐ進んで、奥へ奥へと行ったんや。
(つづく)
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